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トヨタ式人づくり~プラスアルファの知恵を習慣にしよう

トヨタ式人づくり~プラスアルファの知恵を習慣にしよう

(2014年7月18日更新)

 
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技術が発展した現代において、モノづくりの差をつけるのは、機械設備ではなく「人」です。だからこそ、まず「人をつくる」ことが何よりも重要です。

今回は、トヨタの現場で大切にされ、実践されている人づくりの考え方「トヨタ式人づくり」を、何人かの部下を持つ人を対象にした通信ゼミナール『「トヨタ式人づくり」の基本がわかるコース』のテキストから三回連載でご紹介します。

 

「もう少しいい方法はないかな」と考える習慣を

 
上司が「人づくり」において心がけるべきことは何でしょうか。
 
それは自分の言うことを何でも聞いてくれる、自分にとって使いやすい部下を育てることではなく、自分の実力を凌駕するほどの部下を育てることです。
 
トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏は、部下に仕事の指示を出しておいて、もし部下が指示通りの仕事をするとこう言って叱りました。
 
「わしの言う通りやるやつはバカで、やらんやつはもっとバカ。もっとうまくやるヤツが利口」
どういう意味なのでしょうか。実は、この言葉には次のような意味が込められていました。
 
「上司の指示を受けて仕事をするときは、言われた通りの仕事をするのではなく、“こうすればもっといいのでは”“このほうがみんなのためになる”と考えて、自分なりの知恵をつけて上司の指示よりも、もう少し上手にやるように工夫しなさい」
 
これがトヨタ式の「知恵を出して働く」ということなのです。
 
トヨタ式では、「機械に知恵をつける大切さ」を説きます。つまり機械を買ってきて、カタログに書いてある通りの使い方をしていてはカタログ以上のモノはできません。同業他社との競争にも勝てません。例えば、「機械の番人」を置かなくてすむようにする、異常があればすぐに止まる工夫をするなどをして、カタログ以上の使い方をして初めてより良いモノができるのです。
 
人づくりで考えてみましょう。人を育てる方法には正解はありません。だからこそ、「今の教え方よりも、もう少しいい教え方はないかな」と考えてみるようにしましょう。この「もう少しいい方法を考える」習慣が部下だけでなく、教えている上司自身のことも成長させるのです。
 
しかし、そう簡単には「もう少しいい方法」は見つからないものです。だからといって、何も考えずにそのまましていればよいというのでは部下も上司自身も成長しませんし、企業としての進歩はありません。徹底して「もう少しいい方法」を考え、「プラスアルファの知恵」を求める。これを繰り返すことで人は少しずつ成長していくことができるのです。
 
 

単なる物真似ではなく、自分たちなりの知恵をつける

 
「プラスアルファの知恵」が必要なのは他の工程や他の部署が行なっている方法を取り入れる場合も同様です。他の工程が素晴らしい改善をして、それを自分たちの工程に導入する場合も、「そのまま」ではなく、「自分たちなりの知恵」をつける工夫をするようにしましょう。
 
学ぶこと、真似ることは悪いことではありません。しかし、そこに「少しいい方法」が加われば、さらなる成長が可能になるのです。
 
 
【ポイント】
(1)「もう少しいい方法はないかな」と考えることを習慣化する。
(2)「プラスアルファの知恵」を考える習慣が人の成長につながる。
(3)他の工程、他の部署をそのまま真似るのではなく、少し工夫を加える。
 

 
【執筆者プロフィール】
若松義人(わかまつ・よしひと)
1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大宇自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』『「価格半減」のモノづくり術』『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流 最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和書房)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。
 
 
【通信ゼミナール】
人を育て、自らも育つサイクルをつくろう!
若松義人 監修
トヨタの現場で大切にされ、実践されている人づくりの考え方をあますところなく紹介。「自ら考え、自ら育つ人」の育成を実践できる力を育むことを目指します。

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