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食品事故が発生したとき[食品業界のコンプライアンス(4)]~田中宏司

食品事故が発生したとき[食品業界のコンプライアンス(4)]~田中宏司

(2013年6月 5日更新)

 
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通信ゼミナール「食品業界のコンプライアンス実践コース」では、食品に携わる企業の全従業員、なかでも新入社員や若手社員を対象に、食品現場のコンプライアンス(法令順守)は何を意味し、ねらいとしているのかを、わかりやすく解説しています。
そのなかから、安全な製品を確保するための主要ポイントを解説した第一章をご紹介する連載の最終回です。
 

 

*   *   *   *   *

 

事故発生時の対応の流れ

食品の安全確保について、コンプライアンスの視点から事故発生時の適切な対応が必要不可欠です。食品衛生に関する事故は、一度起こしてしまうと、世間から大きな批判を浴びることになります。食品会社として信頼は失われ、再起不能に近いダメージを受けてしまうか、そこまでには至らなかったとしても、社会に対する信頼やイメージを回復するためには、膨大な労力と時間が必要となります。会社は、危機管理体制り重要性を認識し、それをきちんと整備、実行していかなくてはなりません。

大切なことは、事故後の消費者や社会への対応です。これを一歩まちがえると、大変なことになります。以下に、事故発生時のクレームに対する受付からはじまる「会社としての対応の流れ」を一例としてあげます。

 

1.事故発生

2.クレーム(お客様)

3.クレームに対して受付が対応(フリーダイヤル、お客様相談室など)

4.事故商品、製品の回収(お客様相談室、営業部門など)

5.検査(品質管理部門、保健所など)

6.現場確認、調査・分析(事故対策委員会など)

7.報告書作成(事故対策委員会、取締役会など)

8.お詫び、謝罪、社告、報告(お客様、社会へ)

 

事故の被害拡大を防止する

お客様や関係者からのクレームなどによって、社会や消費者と接触することは、批判やおしかりを受けたり、確かに耳の痛いことが多いはずです。

ここで、決してやってはいけないことは、自社の利益を優先しようとしたり、「そのうちに善処します」などと先のばしや放置しようとしたり、責任の所在をはっきりさせないことです。その程度の対応しかできない会社には、みなさんのご想像のとおり、厳しい未来が待っているでしょう。
お客様・消費者のクレームに対して、会社が前向きで、迅速に対応し、その受け答えや解決法に満足した人(消費者)は、これまで以上にその会社のファンになってもらえるということが統計的に立証されています。これを「グッドマンの法則」といいます。いかに会社の真摯な対応、誠意ある姿勢が大切であるかということです。

会社は、状況を正確に把握し、前ページの「会社としての対応の流れ」の中で、的確な対策を速やかに考えていくべきです。まず、誠意をもってお客様にお詫びをすることから始まる、前述しました3の対応の後、4以降でのクレームの原因やその情報、製品の問題点などを、現物の回収とともに徹底的に調べる必要があります。また、原材料の調達、保管、管理、あるいは製造方法、流通など、製品が消費者の食卓に届くまでのあらゆる段階を調査するべきです。それらを分析、解明し、対策を練り、対応、改善していくのです。
消費者からの声には、経営トップからパート・アルバイトにいたるまで、すべての従業員が耳を傾け、常に食の安全性を追求する姿勢をもち、だれもが安心できる食生活を心から楽しめるよう努力しなければならないのです。

 

【要点チェックをしよう】

◎食品事故発生後のクレーム対応は最優先の危機管理である。

◎事故の原因調査、解明、対策、改善は速やかに実施し、情報公開する。

◎全社で消費者の声に耳を傾け、食の安全性を誠実に追求していく。

 


 

監修者プロフィール

田中宏司  たなか・ひろじ

東京交通短期大学学長。1959年中央大学法学部卒業。1954~90年日本銀行勤務の後、早稲田大学大学院講師等を経て、2002~06年立教大学大学院教授。日本経営倫理学会前副会長、一般社団法人経営倫理実践研究センター理事・主席研究員、経済産業省「ISO26000JIS化本委員会」委員等。多くの主要企業や行政、団体向けに講演・指導の実施や行政の委員会委員を務めている。著書多数。

 


 

 

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