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加熱しても死なない?~食品衛生の3原則

加熱しても死なない?~食品衛生の3原則

(2011年11月18日更新)

 
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菌を殺すもっとも効果的な方法は「加熱」です。加熱殺菌効果を確実にするには、中心まで十分に熱を通すことと時間がポイントです。 

 

通常、中心温度が75℃・1分以上加熱すれば、多くの菌は死滅すると言われます。
しかしカキやシジミなどの二枚貝の汚染が原因のノロウイルスは85℃・1分以上の加熱が必要です。

 

◆熱に強い菌もある!

ところが、なかには100℃以上で数時間加熱しても死なない菌もあるのです。その代表的なものが、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌です。
ボツリヌス菌は120℃で4分間、セレウス菌は100℃で30分間、なんとウエルシュ菌は100℃で4時間以上加熱しないと死滅しません。
ですから、「加熱すれば安心」とは決していえません。


◆増殖するとき強い毒素を出す「芽胞」

このように熱に強い菌は「芽胞」という胞子の形で自然界に生息しています。
「芽胞」の状態とは、菌の置かれた環境が悪くなったときに生き延びるための一時的な形で、増殖はしませんが乾燥や熱などに強く抵抗します。
そして環境が改善されると発芽して元のように増殖を始めます。
もともと食材には芽胞がついていることがあり、調理したあとでも芽胞は生き残っています。
そして冷却に時間がかかったり、冷却が不十分だと芽胞が発芽して増え、それぞれの菌独特の方法(下表)で食中毒を起こすのです。

 

◎ウェルシュ菌

大量に加熱調理された食品は、容器のまま冷蔵庫[室]に入れて保管しても10℃以下になるには数時間かかる。食品中では、競争相手の菌はすでに死滅しており、容器の底付近は酸素に触れることもないので、芽胞は爆発的に増殖。この大量の菌が食品を介して体内に入り、腸管内で菌が芽胞に変わるとぎに毒素が産出され、それにより食中毒に。

 

◎セレウス菌

つくり置きした食品などの冷却が不十分であったり、放置したりすると食品中で増え、嘔吐を起こす毒素をつくり、この毒素入りの食品を食べることによって食中毒に。

 

◎ボツリヌス菌

非衛生的に製造された瓶詰や真空包装食品は酸素に触れない状態であり、低温保管されなければ増殖して強力なポツリヌス毒素をつくり、こくわずかでも重い食中毒に。

 

*    *    *    *    *


芽胞菌の食中毒を予防するには、菌を増やさないために冷却するか、低温保存が必要です。
また前日に調理してつくり置きしないことです。もし保存食品を提供するときは、75℃以上で加熱します。また、真空包装食品などで内部にガスが発生して膨れているものは絶対に食べてはいけません。

 



【ポイント】

 

・加熱しても死滅しない菌がある!
 

・これらは増殖するとき強い毒素を出す「芽胞」の状態で生き延びる! 

 

(次回につづく)

 

出典 : 『食品衛生の3原則ハンドブック』  

食品衛生の3原則バックナンバーはこちら

 


 

小林一寛   こばやしかずひろ
 

1943年大阪府堺市生まれ。医学博士、獣医師。1966年大阪府立大学農学部獣医学科卒業。同年、大阪府立公衆衛生研究所公衆衛生部微生物課に入所。研究員、総括研究員、感染症解析プロジェクトリーダー、感染症部細菌課課長を歴任。2004年大阪府を定年退職。その間、大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻客員教授、大阪府立看護大学医療短期大学部臨床検査学科非常勤講師、文部科学省学校給食衛生管理推進指導者派遣巡回指導事業委員会指導委員等を歴任。
2010年現在、サラヤ株式会社学術顧問、大阪大谷大学短期大学部生活創造学科非常勤講師、関西医療大学保健看護学部非常勤講師、堺市学校給食安全衛生推進専門家会議委員。
<主な著書>
監修『みんなで防ぐO-157』(ぱすてる書房)、分担執筆『食中毒予防必携』『食品衛生検査指針 微生物編』(以上、日本食品衛生協会)、『感染症の事典』(朝倉書房)、『新感染症学』(日本臨牀社)等多数。

 


 

 

『食品衛生の3原則ハンドブック』

「食品衛生の3原則」を実践するにあたり、特に重要な点をピックアップし、好ましくない考え方や方法をまじえながら、「なぜそうしなければならないのか」「守らないとどのようなことが起きるのか」などを簡潔にわかりやすく解説していきます。  

  


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