課長職にマネジメントの革新を!
RSS

ディズニーランドがヒントになった経営ビジョン~美容室アン

ディズニーランドがヒントになった経営ビジョン~美容室アン

(2012年11月14日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

『お客様に感動を与えるエクセレントカンパニー』から、大阪府堺市で7店舗の美容室を展開する株式会社アン様をご紹介します。

 

*    *    *    *    *

 

ディズニーランドがヒントになった経営ビジョン

「美容室のディズニーランドをつくろう」。もちろんテーマパーク構想ではない。南大阪エリアに七店舗の美容室を展開している株式会社アンの社長・築林篤司が掲げる経営ビジョンである。この経営ビジョンが経営理念、事業コンセプト、人事・教育理念など経営に関わる方針すべての軸となっているのだ。「ディズニーランドには家族と二~三回行きましたし、テレビ番組でも、よく目にしていました。笑顔がいっぱいやなぁ~と思いましたね。訪れた人すべてが笑顔になり、スタッフも満面の笑顔でお客様を迎える。こんな美容室をつくりたいなと思ったんです」と築林は語る。

 

アンの創業は平成元年だが、この経営ビジョンが誕生するのは平成七年のことである。当時の築林は二店舗目を開店し、経営感覚がようやく目覚め始めたときだった。しかし、「経営って何だろう?」と試行錯誤の日々。懇意にしていた京都のシャンプーメーカーの創業社長に経営についてのサジェッションを受けていたが、「アンさんには理念がないですね」と言われ続けていた。「経営理念集を買って、『これええなぁ』と思ったものをまる写しして持っていくと『まだ理念がないですね』と。上っ面だけ整えようとしていたわけですから、当たり前ですよね。今、振り返って考えてみると、経営者としての志や信念がないことを指摘されていたんです」。そこで築林は、考えに考え抜いた。そんなある日のこと、突然「美容室のディズニーランド」構想が降臨したという。

 

当時はバブル崩壊から数年後であった。活況はしばらく続いていたものの、各地のテーマパークから客足が遠のき撤退を余儀なくされる中、ディズニーランドだけは右肩上がり。その理由を知りたいと思った築林は、ディズニー関連の書物を読み漁ったという。それらの書物が、現在の経営ビジョンを構築する上で大きなヒントになったのである。

 

顧客満足に直結する経営ビジョン三つのポリシー

築林は、経営ビジョンに三つのポリシーを掲げている。ひとつは『永遠に未完成』。スタッフの技術・接客・人間力は永遠に進化していかなければならない。昨日より今日、今日より明日と、常に上を目指し続ける、満足しない美容室でありたいという思いが込められている。

 

二つ目は『非日常の提供』。ディズニーランドを訪れたお客様は、普段体験することのできない楽しさや喜びを味わう。築林は、美容室でも非日常をお客様に提供し、新たな気持ちで日常に戻ってほしいと考えたのである。ヘアスタイルが変わる、きれいな自分になる、それだけでも非日常体験だが、築林が考える非日常は、もっと踏み込んだもので、美容室の内装だけでなくスタッフも含めて、アンという美容室そのものを非日常空間として位置づけているのだ。

 

七店舗それぞれに立地や店長の考えによるショップ・コンセプトがあり、テーマカラーもすべて異なる。ビルの半地下にある鳳店の場合は、「私のとっておきの隠れ家」。泉佐野店は「私のプチリゾート」。シャンプー台の前を小川が流れ南国風の花々を配している。富田林店は、おしゃれで定評のある店長の意見から生まれた「おしゃれが叶う場所」。店舗ごとに、スタッフ全員で来店するお客様をイメージし、その人物のライフ・ストーリーも考える。例えば「二十八歳の○子さんは会社員。今日は仕事に疲れていて癒しを求めている。○子さんはアンのスタッフの優しい気遣いに触れて、元気を取り戻す」といった具合である。スタッフ自らお客様を具体的にイメージすることによって、仕事に対する主体性が生まれるという。

 

「どんな非日常を求めるかは人によって違います。店舗ごとにコンセプトを設定すると、お客様は自分が求めるテイストや非日常空間に合わせて店舗を選択できるので、一人ひとりの満足度も上がります。売上にも大きく影響しますね。富田林店は、コンセプト設定後、売上が一気に上がりました。客単価が高い地域ではないのですが、一万円近い客単価になりました。目指すものが明確だと、売上はぐんぐん伸びるということを実感しましたね」。コンセプトを頭で理解するだけでなく腹にしっかり落とす。そのためにもスタッフ全員によるストーリーづくりは重要だ。現状に満足しないために、毎年ブラッシュアップしているという。

 

三つ目は『毎日が初演』。ルーティンワークに陥ることなく、日々、新たな気持ちでお客様に向き合おうという意味である。ディズニーランドではスタッフはキャストでもあり、演じる者としてお客様に接している。同様にアンでも、スタッフは演じる者でもあるという位置づけから、敢えて「初演」という言葉を採用しているのだ。

 

そのためアンでは、スタッフを「キャスト」、お客様を「ゲスト」と呼んでいる。スタッフには、それぞれ源氏名があり、例えば武者小路秀生、Jack、のあ、Kei、という具合で、どれも自己申告。以前は築林が命名していたが、今はスタッフの主体性を尊重している。「本名と源氏名二つの名前があって覚えるだけで大変ですが、これはお客様だけでなくスタッフも非日常を感じながら、毎日新鮮な気持ちで仕事に取り組んでほしいからなんです。僕も、昔は源氏名があったんですよ。司人麻呂と名乗っていました(笑)」。

 

株式会社アン

代表者/代表取締役社長 築林篤司

創 業/平成元年二月二十五日

住 所/大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町3—138—1

電 話/072-255-8002(代表)

URL/http://www.annweb.co.jp/

 


 

exce.jpg『お客様に感動を与えるエクセレントカンパニー』

(PHP研究所/2012年9月)

本書は一般書店様での販売は行なっておりません。本書に関するお問合せは弊社までお願いいたします。


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ