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転機になった女性従業員からの感謝状~(有)フジカワ

転機になった女性従業員からの感謝状~(有)フジカワ

(2013年3月13日更新)

 
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『お客様に感動を与えるエクセレントカンパニー』から、人に感動を与えるCSエクセレントカンパニーの取り組みをご紹介するシリーズ。前回に引き続き、子育て中の母親の就労支援システムを開発し、女性の力による中小企業の活性化を支援する奈良県橿原市の有限会社フジカワ様をご紹介します。 

 

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■従業員からの感謝状が転機になり「マザーワーク」を開発

藤川の意識ががらりと変わるのは、現在の事務所に移転して数年後の社員旅行のときだった。従業員の女性たちが、藤川に『がんばったで賞』という感謝状をくれたのである。そこには、子育て中の女性が働きやすい職場づくりに尽力してくれたこと、おかげで子どもに寂しい思いをさせずに育て上げることができたことを感謝する言葉が綿々とつづられていた。そのとき、藤川はうれしさのあまり従業員たちの前で思わず涙をこぼしたという。

 

「これまで女性の従業員さんたちを都合よく使ってきただけなのに、感謝状をいただけるなんて、私のほうこそ彼女たちに感謝しなければと思いましたね。この出来事が私の大きな転機になりました。恩返しとして、子育て中の女性たちの働きたいというニーズに応えていくことを決心したんです。これは、やらなあかんなと」。藤川は、女性たちと共に働くことで子育て中の女性たちに共感するようになり、彼女たちの有能さにも気づき始めていたのである。 

 

「幼稚園に子どもを預けている女性たちは働きたいと思っているんですね。でも、園の行事があると言っては休み、子どもが熱を出したと言っては休む。しかも短時間労働しかできない。企業は小さな子どものいる女性は戦力にならないと考えている。とてももったいないことだなと思いますね。彼女たちは、出産前に仕事の経験があるうえ、いろいろな才能を持っているんです」。働ける場を提供すれば、才能を開花させる女性は多いと藤川は語る。

 

藤川がマザーワークの開発・運用に取り組もうとしていた矢先、奈良県から『奈良県社員・シャイン職場づくり推進企業』のモデル事業の話が舞い込んだ。フジカワの取り組みは県から評価され、平成二十四年にテレワーク推進部門で表彰されることになる。

 

マザーワークとは、働く意識は高いが、条件に合わず働けないでいる子育て中の女性たちに働いてもらうためのシステムである。ただし、働いてもらうには「社内環境の整備」が非常に重要になってくる。子育て中の女性は、働きたい意欲と、子どもと家庭を大切にしたいという気持ちの狭間で悩んでいるため、この点を十分理解し、対応できる環境を構築しなければならないと藤川は考えた。そこで、関連会社の株式会社マサイチネットとテレワークを応用した『マザーワークシステム』を共同開発し、平成十六年に運用を開始した。

 

マザーワークシステムとは、ウェブ上に仮想事務所をつくり、業務の報告や連絡などのやりとりはパソコンや携帯電話を使って行なうシステムである。このシステムを導入したことによって、フジカワは今まで以上に女性従業員にとって働きやすい職場になった。在宅テレワークや複数のマザーワーカーでのローテーション体制で短時間就業をうまくコントロールすれば、子育て中の女性も、会社に気兼ねすることなく休みをとることができ、しかも常に会社との連携がとれる。

 

例えば、子どもが体調を崩したり園の行事などの理由で休みをとったときも、このシステムがあれば自宅にいながらにして業務の流れがわかるため、数日後に出社しても仕事に支障をきたすことはない。さらに、このシステムはコミュニケーションツールとしても有用である。従業員がウェブ上に書き込みをすることで、休むときの引き継ぎがスムーズになるだけでなく、短時間就労のため顔を合わせることの少ない従業員同士のコミュニケーションが活性化し、会社全体の家族的な雰囲気づくりにも役立っているという。

 

 

■女性従業員のアイディアで新規事業を導入

マザーワークを運用するようになると、女性従業員たちはウェブ上で、連絡事項だけでなく、さまざまな会話を交わすようになった。その中には事業として成立する内容も多いという。

 

そのひとつが「園コミュ」という幼稚園・保育園の情報サイトである。母親たちに幼稚園・保育園の情報を提供することで園選びに役立ててもらうだけでなく、園を仕事で訪問した際に園長先生方から聞いた子育てに関わる有益な話を多くの母親たちにも伝えたいという企画意図があったという。

 

藤川は、このサイトを事業として立ち上げた理由をこう語る。「弊社は、幼稚園と保育園さんの協力で事業が成り立っています。お客様からいただいた利益を一部還元したいということで始めたんですよ」。このサイトの立ち上げは、取引先の幼稚園・保育園の顧客満足へとつながっているのである。

 

最近、新たに始めた子育て応援サイト「ママ*チャチャ」もウェブ上の会話から始まった。提案者である女性従業員は、母親が働く時間が増えてきているため子どもと過ごす時間が減っていることが気がかりだった。そこで、親子でおもちゃを作ったり料理をしたりといったアイディアを、母親たちから投稿してもらい、その情報を共有することで、親子の時間拡大に役立ててほしいと考えたという。

 

「うちは事業が多いんですよ。それは、女性従業員さんたちが有能でアイディアが豊かだからなんです。サイト事業を拡充しているのは、クリエイティブな女性もたくさんいるからです。女性たちがやりたいという事業を採用していったら、もともとの事業以外にあれこれ増えちゃったんです(笑)。でも、何でもかんでも提案を受け入れているわけではありません。重要なのは、事業として成立するかどうかですから。弊社の事業理念は、『みんながよろこぶこと、買うひともよろこび、売るひともよろこび、創るひともよろこび、そこに〈ありがとう〉が生まれて、いいひとが育つ』。お客さまにありがとうと感謝される商売は続きますよ。弊社の事業は、すべて『ありがとう』と言われる事業だと自負しています」。藤川は胸を張って、こう語る。

 

女性従業員の提案に耳を傾け事業として採用すると、従業員の仕事へのモチベーションが上がるという効果もある。例えば、サイトを自分の裁量で運営することで、会社に貢献したいという経営的な視点も育つという。

 

従業員の声を尊重する一方、藤川は社員教育にも熱心に取り組んでいる。「京セラフィロソフィ」をテキストにして、毎週一回、経営理念について意見交換している。誰もが経営的視点で発言するという。また、自主勉強会も実施している。従業員が交代で講師を務め、仕事で獲得したスキルや知識、情報を提供し、学び合う場となっている。

 

 

 有限会社フジカワ

代表者/代表取締役 藤川立也

創 業/平成十四年一月

住 所/奈良県橿原市八木町三-七ー-九

電 話/0744-29-3204(代表)

URL/http://link-fujikawa.com/m-consul/

 


 

『お客様に感動を与えるエクセレントカンパニー』

(PHP研究所/2012年9月)

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