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ウォーレン・バフェット「名声を打ち立てるには一生かかるが、台なしにするには5分とかからない」

ウォーレン・バフェット「名声を打ち立てるには一生かかるが、台なしにするには5分とかからない」

(2016年5月24日更新)

 
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「世界一の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェット。その成功を支えるのは「企業にとって大切なのは信頼である」という信念でした。桑原晃弥氏がご紹介します。

 

*   *   *

 

世界一の投資家・ウォーレン・バフェット

「世界一の投資家」と呼ばれ、経済誌『フォーブス』が毎年発表する長者番付のベストテンの常連でもある。経営するバークシャー・ハザウェイは傘下に何十という企業を抱える大企業だが、バフェット自身はこうした企業の経営に直接関わることはほとんどない。

株式という「紙きれ」を短期間で売買するのではなく、10年、20年と安定して成長可能な企業を選んで長期投資を行い、経営そのものはそれぞれの企業の創業者や一族、あるいは優秀な人材に任せている。バフェットが口を出すのはそれぞれの企業の利益をどう使うかという配分くらいである。

 

ソロモン・ブラザーズの「暫定会長」に

そんなバフェットがただ一度だけソロモン・ブラザーズの「暫定会長」として経営の陣頭指揮にあたったことがある。1991年、61歳の時だ。同社は1910年、アーサー、ハーバード、パーシーの3人兄弟によって設立され、10年も経たないうちに政府発行証券の公認ディーラーとなった。その後、ジョン・グッドフレンドの下、急成長を遂げ、1980年代には「ウォール街の王者」に君臨することとなった。

そんなソロモン・ブラザーズが国債の不正入札によって倒産の危機に直面した時、救世主として白羽の矢が立ったのが、同社の大株主でもあるバフェットだった。既に「オマハの賢人」と呼ばれ、名声も富も手にしていたバフェットにとって、不正を働き、かつ倒産の恐れがある企業の経営を引き受けることは大きなリスクだったが、バフェットはその役を「月給1ドル」で引き受けることにした。

再建にあたってバフェットはさまざまな手を尽くしているが、最も強調したのは「何一つ隠し立てしない」という企業文化の確立であり、「どれほど稼いだか」で社員を評価する価値観に対して、「高潔さ」「誠実」「真っ正直」こそが大切という価値観を持ち込むことだった。

社員にこう告げた。

「会社のために働いて損害を出すのは理解できます。しかし、会社の評判を少しでも損ねたら容赦しません」

 

企業が守るべきは、お客さまとの約束や信頼

バフェットは名声というものがとてももろくはかないことをよく知っていた。いつもこう考えていた。

「名声を打ち立てるには一生かかるが、台なしにするには5分とかからない」

企業が素晴らしいブランドを築くにはとてつもなく長い時間がかかるが、そうやって築き上げたブランドも少しの不祥事、少しの描く仕事によってあっという間に崩れ去ってしまう。それは個人も同様で、信頼を得るには長い時間がかかるが、約束を破る、信頼を裏切るといった行為一つですべてが台なしになってしまう。

企業が守るべきは売上でも利益でもなく、お客さまとの約束や信頼、ブランドであるというのがバフェットの考え方だった。

バフェットは不正に関わった社員は誰一人容赦しなかったが、そうではない社員が事業を続けられるように全力を尽くすとともに、社員には「超一流のビジネスを超一流のやり方でやる」ことを求めた。仕事で損失を出すという失敗は許されるが、2度とチャンスが与えられないのは「誠実さに対する裏切り」だった。

 

「信頼」こそ、バフェットの成功を支えるルール

バフェットは社員の業績に細かく口を出すタイプではない。しかし、「高潔さ」「誠実」「真っ正直」といった価値観を守ることには徹底してこだわった。企業にとって大切なのは信頼である。経営者と社員の信頼、社員とお客さまの信頼。そしてバフェットと傘下の企業の経営陣との信頼。これこそがバフェットの成功を支えるルールだった。

 

参考文献 『スノーボール』(アリス・シュローダー著、伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社)、『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』(桑原晃弥著、PHPビジネス新書)

 

 

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【著者プロフィール】

桑原晃弥(くわばら・てるや)

1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)、『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』(PHPビジネス新書)などの制作を主導した。

著書に『スティーブ・ジョブズ全発言』『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』(以上、PHPビジネス新書)、『スティーブ・ジョブズ名語録』『サッカー名監督のすごい言葉』(以上、PHP文庫)、『スティーブ・ジョブズ 神の遺言』『天才イーロン・マスク 銀河一の戦略』(以上、経済界新書)、『ジェフ・ベゾス アマゾンをつくった仕事術』(講談社)、『1分間アドラー』(SBクリエイティブ)などがある。


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