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「考え抜く」訓練を――部長研修の目的【コラム】~星雄一

2014年12月15日更新

「考え抜く」訓練を――部長研修の目的【コラム】~星雄一

部長職を対象にした管理職研修では、「考え抜く」という自己訓練を経て、自分の「信念」や「ぶれない判断軸」を形づくっていくことの必要性に気づいてもらいたい――PHPゼミナール講師・星雄一のコラムです。
 
*  *  *
 
部長職対象のセミナーで、最近、受講生によく次のような質問をします。
「会社を成長発展させるとはどういうことですか?」
「会社にとって成長発展することはなぜ大切なのですか?」
「会社が利益をあげることはなぜ必要なのですか?」等々。
 
こういう類の質問に自信をもって即答できる人は、部長職クラスであっても、めったにいません。ほとんどの場合、戸惑い、しどろもどろの回答になります。無理もありません。あまりにも分かり切ったことだから、あるいは当然のことだから、特に考えたことがない、というのが普通なのです。しかし講師からこんな質問を受けると、自分がこうした基本的な概念やキーワードについての明確な答えを持ち合わせていないこと、それどころかきちんと考えたことすらないということに気づいて、ちょっとしたショックを受ける人も少なくありません。実はそれがこうした質問を投げかけるねらいです。
 
こうした質問に対して、客観的な唯一の正解というものはおそらく存在しません。ですから、求められているのは「教えられた答え」「覚えた答え」などではなく、「自ら考えて見つけ出した自分の答え」なのです。
 
部長職クラスともなれば、仕事ができることや、仕事に関する豊富な知識・スキル・体験などをもっていることは、当然のことです。これからより高いレベルで仕事をしていくためにはそれだけでは不十分で、自分の考えを自分の言葉できちんと表現できるか、分かりやすく伝えることができるか、が非常に重要になってきます。そのためには、自明のことや自分で分かっていると思っていることに対して、「なぜ?」「具体的には?」「他には?」といった疑問符を投げかけ、途中で思考停止せずに、知識や体験を総動員して徹底的に考え抜くという不断の自己訓練が不可欠です。そうやって次第に「考える力」が磨かれる。また、いったん導き出した答えについても、折に触れて人に語って一面的・独善的な考えではないかとチェックし、さらに考え磨き上げていく。こうした過程を経て、徐々に自分の「信念」や「ぶれない判断軸」が形成されていく……。このことの重要性に気づいてもらうことも、上級管理職研修の一つの重要な目的であろうと、このところ強く感じています。
 
 
 
【講師プロフィール】
 
星 雄一(ほし・ゆういち)
1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック(株))入社、(株)PHP研究所 出向。97年、(株)PHP研究所 教育普及本部取締役本部長。2008年、同 専務取締役。09年、任期満了により退任。顧問を経て、04年より客員。
営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。
著書に『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(PHP研究所)
 
 

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