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企業内研修とプロ講師の役割

企業内研修とプロ講師の役割

(2013年10月28日更新)

 
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研修における主役は、講師ではなく受講者です。講師は単に内容を伝えればよいというものではなく、それがいかに相手に伝わったかが重要です。しっかりと情報・知識・メッセージが伝わり、研修後の受講者の行動変容につながってこそ価値があるわけです。 

 

研修後を見据えた伝え方が大事

これは技術教育でもまったく一緒です。

「学習定着率」という言葉をご存じでしょうか。

教え方によって、その後の記憶度がまったく違うことをデータで表したものです。

 

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これによると、一方的な講義では、受講者の学習定着率が低い結果になっています。参加型の進行にすることで、受講者に強い印象を残すことができるようになるのですね。データがすべてではありませんが、重要な考え方ではないかと思います。

 

さて、A社に話を戻しましょう。

A社の講師養成研修では、部門教育担当の講師に混ざって事務局のスタッフにも一受講者として参加していただいています。

研修では、「講師としての基礎知識・伝え方のスキル」だけでなく、「その場での状況対応力」「講師として活動するための心がけ」などについて、実践的に学んでいきました。

講義実習やペア演習を学習定着率の高い「相互教授方式」で実施。各自が実際に担当している仕事のパワーポイントを使いながら講義実習をすることもありました。演習においては、一人ずつ私からのフィードバックも行い、その人の個性や持ち味をふまえて、何をもっと伸ばしたらよいかのメッセージを伝えたりもしました。

すると、A社の場合では驚くことが起きました。

講義実習の質が、劇的に向上したのです。

たとえ他人の講義実習であっても、参加している各自が「自分のこととして」学びを得ることで、どんどん成長していったのです。ですから、最初のころと最後とでは、講義レベルに格段の違いが生まれました。

私は同時に、講師として登壇することは、自分の人間的成長にもつながることをしっかりと伝えていきました。研修に携わる人としての意識を徹底して伝えていったのですが、多くの方にとって「目からウロコ」の体験になったようです。ある意味、スキル教育でありながら、人間教育なのだと思います。

最初は「忙しいのに講師なんて……」と話していた受講者や、「なぜ自分が教育部門に……」と話していた事務局のスタッフが、最後には大きく意識が変わりました。

プログラムの終了時に、研修で自分が得た価値や学びを共有してもらうのですが、「研修で劇的に成果が実感できたのは初めてだ」「こんなに胸が熱くなるなんて、思いませんでした。今後は講師登壇、全力で担当します!」「研修の重要性が深く理解できました。これからは登壇の機会を大切にしていきます」などの感想が、次々に皆さんの口からあふれてきたのです。

人は、自分で実感したとき、現実の世界で行動を起こしていきます。他人から「もっと勉強しなさい!」と言われるより、「あぁ、もっと勉強しなくちゃだめだな」と自分で実感したほうがパワーにつながるのです。

ですから、研修では、「その後の受講者の現実の行動にいかに結びつけられるか」を考えて進行する必要があります。ワークなどの体験によって実感してもらうことは、その一環なのです。

 

 

ほんとうに価値のある企業内研修を目指す

 

「講師」という仕事は、自分を育てる最高の経験になります。相手を常に意識して、分かりやすく情報を伝える(コミュニケーションを取る)体験を通して、それが自分の現場にそのまま活かせることが実感できるのです。

A社では、研修のスタート時に企業内メッセージを受講者全員で唱和しているうちに、それをリードする事務局のスタッフの気持ちが変わるということが起こりました。その後、事務局が運営する別の研修にも私は講師として参加したのですが、企業がめざしているメッセージが真実のものとして伝わってくることを実感できました。

コスト削減を目的に、研修費用を削減する企業様も多く見受けられます。研修自体をストップしてしまったり、プログラムを内部スタッフで実施されたり(内製化)する企業様です。

研修をやめてしまって、研修機会が減ると、後日、社員のモラルなどに大きな影響が出てくる企業様も多いですし、すべてが社内講師で運営するには物理的にも内容的にも限界があります。

だからこそ、プロの力をうまく使っていただきたいのです。プロの情報の質や説得力も、受講者の成長には重要だと思います。企業内研修が社員にとってほんとうに価値のあるものになるよう、私はこれからも全力で講師を続けてまいります。

 

潮田、滋彦  うしおだ しげひこ

PHPゼミナール講師、トゥ・ビー・コンサルティング代表取締役

1964年、東京都生まれ。東芝エンジニアリング株式会社で海外プラント営業を経験後、人材開発事業に従事。以後、新入社員から役職者に至る各階層研修、ロジカルシンキングや創造性開発などの各種プログラムを独自開発。2001年からPHPゼミナール講師。現在、トゥ・ビー・コンサルティング株式会社代表取締役。企業向けの人材開発講師として25年間で1万時間以上の講師登壇と、のべ10万人以上への指導実績、200社以上への指導実績がある。米国NLP協会認定トレーナー。


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