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OJTは部下の能力バランスの把握から

OJTは部下の能力バランスの把握から

(2013年9月10日更新)

 
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当然のことながら、部下の能力を把握することなくOJTをすすめることはできません。ここでは、いかにして部下の能力を把握するか、その基本的なポイントを紹介します。

 

【ポイント】

・現場での育成は個別対応。多様な「できない理由」を見極めることが不可欠

・仕事の結果だけではなく、「能力」の強み・弱みが現れるプロセスを観察しよう

・万能な人間など存在しない。さまざまな能力の強み・弱みのバランスが個性である 

 

「できない理由」は人それぞれ

小学校で学ぶ「割り算の筆算」を例に考えてみよう。

「割り算の筆算ができない」という子どもがいたとしても、その理由は一様ではない。

例えば「答えの商」がパッと浮かばない場合。これは、より厳密に言えば「割り算ができない」のではなく、「掛け算の横算」の習得が不足しているのである。一方、商は瞬時に立てられるが、下段の引き算でいつも間違える場合。これは、「引き算の筆算」が習得できていないというわけである。

 

「割り算の筆算が苦手だ」という人に、その方法を十把一絡げに教えるよりは、各人ができない理由をきちんと見極めて、その解決に個別にアプローチするほうが、より的確な指導ができるはずである。

 

 

複数の「能力」を組み合わせる

では、続いて「仕事ができる」ために必要な「能力」について考えてみよう。「きみは問題解決能力がない」などと一言で片付けるのはナンセンスである。次の図は「問題解決」に必要な行動のステップである。

 

manual20130910-1.jpg

(1)まず問題を「発見」し「問題」として定義するためには〈感受性〉や〈理解力〉〈問題形成力〉が必要である。

 

(2)続いて、問題の「原因」を分析し、最適解を判断し、解決策を決断するために〈分析力〉〈判断力〉〈決断力〉が求められる。

 

(3)さらに、その決断を実行に移すための〈行動力〉や、臨機応変に物事に対処する〈柔軟性〉、周囲を巻き込むための〈調整・交渉力〉なども不可欠である。

 

人によっては、そもそも問題を問題として形成することが苦手で「問題解決ができない」場合もあれば、問題形成はできても〈実行力〉が伴わないために「問題解決ができない」場合もあるだろう。最終的に、なぜ、どこで詰まっていて「問題解決ができない」のか、育成責任者たる上司が見極める必要がある。

 

「仕事ができる」ために必要な「能力」とは、業務遂行能力の組み合わせである。したがって、仕事の最終的な成果(できたか・できなかったか)を見ているだけでは、部下育成は困難。育成においては、結果ではなく、プロセスを問うことが不可欠である。何が強くて、何が弱かったからその結果に至ったのか、具体的に指摘できる上司こそが、部下の仕事のプロセスをきちんと「見ている」上司なのである。

 

これは「能力」に限ったことではない。「知識」や「行動」に関しても、プロセスに細分化してみると、育成ポイントがより明確に浮かび上がってくるのである。

 

 

「能力」とは「特性」である。つまり、「能力」は「あるか」「ないか」ではなく、皆それぞれ、少なからず持っているものだ。そして、なんらかの基準において、その持てる「能力」の度合いが「強いか」「弱いか」を論じているに過ぎない。

 

例えば、「彼は分析力が高い」というのは、その人が「自分と比べて」、もしくは、「過去に会ってきた人々の平均値と比べて」論じているのであって、基準が変われば、当然、結果も変わるであろう。「彼」そのものを見るのではなく、集団の中のどの位置にいるかを判断するなら有効ではあるが、「彼」そのものに焦点があたっているわけではないことに注意いただきたい。

 

とはいえ、「特性」たる「能力」は、その持てる個性(パーソナリティー)のひとつであることに違いはなく、また、その「能力」の強弱のバランスが、その人の仕事に多大な影響を与えることも事実である。すべての「能力」が100点満点の人間などいない。部下の能力のバランスを上司に把握させることが、部下指導において不可欠である。

 

 ※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行) 

 


 

【著者プロフィール】

茅切伸明  かやきり のぶあき

慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。その後、(株)日本エル・シー・エー入社。平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

松下直子 まつしたなおこ

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。人事部門では、採用、育成、人事制度設計と運用、労務管理と幅広く人事業務に携わる。独立後は学習塾の経営や大学講師の経験を経て、現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修依頼は年間200本を超える(2011年実績)。人材育成を生涯のライフワークと決意し、社会人教育に意欲的に向き合うかたわら、士業家の独立支援事業、文化教育事業にも取り組み、幅広く人材育成に携わっている。 

 

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