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職場で新入社員をどう指導すべきか

職場で新入社員をどう指導すべきか

(2012年4月10日更新)

 
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希望に胸膨らませて入社してきた新入社員。導入研修が終わると、いよいよ各職場での実習やOJTを受けることになります。しかし、うまくスムーズに職場にとけこめる社員と、そうでない社員が出てくるのが現実ではないでしょうか。また、新人が育つ職場とそうでない職場があるように思われます。

 

その理由はさまざまあるでしょうが、新人を迎える先輩社員や上司の問題があるといえるのではないでしょうか。そこで今回は、PHP通信ゼミナール『新入社員指導員コース』掲載のケーススタディから、この問題について考えていきたいと思います。

*   *   *

 

ケーススタディ「僕も先輩になるんだ」

“柴田さん、久しぶりです”と街頭で声をかけられ、柴田君が振り向くと、同じクラブにいた3年後輩の杉本君でした。

 

「どうしてるの?」

 

「実は、あと1週間ほどで入社式です。まあ、しばらくは自宅から通いますから、特に準備することはありませんけど」

 

「毎日が休みみたいなものでいいなあ。でも、それもあと1週間さ」

 

「最近、何だかゆううつなんですよ。いよいよ会社に入ると思うと、心配になってきて……」

 

「心配? 今から心配しても始まらないよ」

 

「でも、仕事をやっていけるのかとか、どんな人がいるのかとか、ヘマをしてイジメられないかとか、考えるとキリがないぐらい出てきます」

 

「イジメなんてないよ。もっとも怒鳴られたり、たっぷり嫌みを言われることはよくあるけどね」

 

「嫌みですか……。イジメと同じじゃないですか。心配ですね」

 

「それぐらいのことに耐えられないとやっていけないよ」

 

「会社に入ると“自己紹介”をしますよね。何を言えばいいのか、当面の悩みごとです。つまらない

ことかもしれませんけど……」

 

「つまらないことだね。そんな立派なことを言うつもりなの? 自己紹介だろ? 大きい声で“杉本良一です。よろしくお願いします”でいいんだよ」

 

「しかし、それではあまりに愛想がなくて……」

 

「杉本君は、最初から愛想を振りまくつもりかい?」

 

「愛想を振りまくなんてとんでもない。でも心配で自己紹介のやり方を考えようと思って、本を買ってきたんです」

 

「本? 自分のことを紹介するんだろ、どうして本が必要なの?」


「普通、どんなことを言うのかなあ、と思ったものですから。それに最初が大切というか、印象に残ることを言ったほうがいいと思いますし……」


「かっこうつけることないよ。自然体が一番だよ」


「柴田さんは、最初、自己紹介でどんなことを話しましたか?」


「覚えていないけど、でも自然体で話したと思うよ」


柴田君は“自己紹介ぐらいで悩むなよ”と、励まして杉本君と別れました。
“そんなことが心配になるのかなぁ?”と不思議です。次の日、柴田君は、同じ支店の隣の課にいる2年後輩の大西君に杉本君のことを話しました。大西君は入社してもうすぐ丸1年です。

 

「皆の前で自己紹介するわけですから心配でしたよ。“なんだあいつは”なんて思われないようにと真剣に考えました」

 

「そうだったの」


「そうですよ、柴田さんは3年も前のことだから忘れているんですよ」


「そうかなぁ。今年はうちの課に新入社員が入ってくるんだ。ということは、今ごろ自己紹介のことを考えているのかなぁ?」


「そうかもしれませんね。それにやたら緊張していたことを覚えています。あの頃は、周りの人がみんな立派に見えて、怖そうな感じがしました」


「あの頃はって、今は立派に見えないわけ?」


「そんなことは……」


「でも、1年もたてば君のようになるんだから、大丈夫だよ」


「はぁ?」


「誰もが通る道ということだよ」


「そうかもしれませんね。入りたての頃、先輩から“ちょっと待っててくれ”と言われて商品棚の前で立っていたんです。そのまま20分近く待っていましたけど、先輩が戻ってこないのでどうしょうかと思っていると、先輩が通りかかって、“お前、いつまでそこにいるんだ”と言われてしまいました」


「そんな間抜けなことをやったの。小学生が立たされているみたいだね」


「しかし、入りたての頃ってそんなところがありますよ。もうすぐ入ってくる新入社員だって同じだと思います。機転がきかないというか、どう振舞えばいいのか、身体が動かない感じですね」


「やっかいなものだね」
 

職場としては柴田君以来の新入社員です。もっとも年齢が近いということから、柴田君は新入社員の指導を任されたのです。初めて後輩ができるため、内心は嬉しい気持ちです。杉本君や大西君の話を聞いていると、入ってくる新入社員が自分とはずいぶん違うような気がするのです。
しかし、仕事のことを教えるのは、何とかなりそうな気がしますが、杉本君や大西君が言っていたようなことは、どうも理解しにくいのです。

 

新入社員はささいなことで不安になる

あなたは、入社して何年になるでしょうか。

新入社員の頃のことは、遠い昔のことでもう忘れてしまっていたり、なかにはあのときの辛さや不安な気持ちを鮮明に覚えている人もいるかもしれません。新入社員の指導を任されたあなたは、どうやって指導しようかと思案しているところでしょう。新入社員が入社にあたって感じるいろいろな不安は、経験を積んだあなたにとっては“どうしてそんなことで?”と思うほどのことでしょう。しかし、それは何年かの経験を積み、不安を乗り越えてきたあなただから言えるのです。わからないことだらけの新入社員が持つ不安は、あなたの想像を越えているものかもしれません。

 

ここで就職が内定した学生から寄せられた手紙や質問のなかから、入社するにあたっての“不安なこと”を紹介しましょう。
製造業に内定した男性、22歳です。


「私は接客業でアルバイトをしていたため、話すことには慣れています。ただ、年上の人と話す機会はあまりありませんでした。言葉づかいなど礼儀ができているか心配です。また、会社に入れば仕事のことを教えてもらえると思いますが、わからないことがあればどんなことでも、どんどん質問してよいのでしょうか。
また、職場では、仕事以外のことも話すと思いますが、自分のことを何でも話してよいのでしょうか。それと私は、お酒があまり飲めないのです。“これ以上、飲めない”と思ったときは、正直に言ったほうがよいのでしょうか。その場の雰囲気を壊してはいけないと思うのですが、どうでしょうか」

 

もう一人、紹介しましょう。18歳の女性です。“何とも言いようのない不安”が表れていました。


「就職が決まったときには嬉しかったのですが、今となっては“本当に私みたいな者が社会に出てやっていけるのか”と、不安が大きくなるばかりです。“何が不安か”と聞かれてもうまく言えないのですが、不安の虫が大きくなるばかりです。
今アルバイトをやっていますが、最近、ミスばかりしています。ミスをすると会社ではどうなるのでしょうか。こんなことでミスするようではと考えると、自分に自信が持てません。どうずれば、もう少し自信を持つことができるでしょうか」

 

あなたならどう答えますか。“わからないことは何でも聞いてくれればいいよ”“無理に飲むことはないよ”“一つずつ身につけていけば、徐々に自信が出てくるから心配ないよ”と、答えるかもしれません。しかし新入社員は、その言葉だけでは、“ああ、そうか”と安心できないのです。
 

それは“本当にそうだ”ということを体験していないからです。新入社員の疑問や不安にあなたが優しく答えてあげることと、新入社員が自ら体験することが解決策になると思います。しかし、それには時間が必要です。“そんなことが”と思うことでも、新入社員にとっては“大きな不安の種”であることを知ってください。いろいろな不安を持ったまま、あなたのところにやってくるのです。

 


 

(PHP通信ゼミナール)
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