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契約と違う仕事~管理職のコンプライアンス

契約と違う仕事~管理職のコンプライアンス

(2012年8月 9日更新)

 
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近年、企業には、社会の持続的発展に貢献することが求められ、そのような企業が「良い企業」として社会からの信頼を得て発展するといえます。その際、最も重要なのは、企業において業務の中核を担う管理職を対象にコンプライアンス問題に対して正しい判断を行い、部下を教育指導して業務遂行の原動力となることです。

本ページでは管理職を対象として発刊された書籍『実践! コンプライアンス[上級編]』(田中宏司・監修)のケーススタディをご紹介し、職場における対応を考えてまいります。
 

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「少しくらいなら、派遣社員に契約と違う仕事を頼んでもいいだろう」

 

≪ケース≫
専門職である鳥海次長の部門では、派遣社員のDさんが重要な戦力になっており、次長も大いに頼りにしています。ところが、3カ月の契約期間終了後も引き続き来てもらうつもりだったにもかかわらず、派遣会社から「Dさんを派遣できない」と断ってきました。事情を聞くと、契約業務以外の仕事をさせられることが多かったからと言うのです。鳥海次長は、急ぎのコピーを頼んだりしたのがいけなかったのだろうかと反省しました。

 

≪どう判断しますか?≫
 ■あなたは管理職として、派遣社員の契約内容を十分に理解していますか?
 ■派遣社員には、契約条項以外の仕事を指示命令できないことを理解していますか?
 ■派遣社員本人から「手伝いましょう」と申し出があった場合、あなたはどう対応しますか?

 

≪解説≫


派遣社員の個別の契約条項を熟知し、その範囲内で仕事を依頼!

 

派遣社員は、派遣会社に雇用される一方で、派遣先企業の指示命令を受けて派遣先のために就労する点が、通常の就業形態と違うところです。

つまり、派遣社員に指示命令でぎるのは雇用主である派遣会社であって、派遣先企業は派遣会社との契約条項の枠内においてしか、派遣社員に指示命令できません。契約対象以外の業務や休日出勤、残業などを依頼する場合には、派遣会社を通さないと指示命令ができないことを心得ておきましょう。

ところが、派遣先企業の従業員にはこの点を勘違いしている人が多く、少しぐらいならやってもらってよいだろうと、直接雇用の従業員と同じように「これ、コピーを取ってきて」「手が空いているのなら、こっちの仕事も手伝って」などとうっかり頼んでしまいがちです。また、「○○関連業務」と契約に書いてあると、「関連する業務ならいいだろう」といろいろと頼んでしまう場合もあります。いずれにしろ、契約条項と違う業務を指示命令するのは契約違反になります。個別契約書を確認のうえ指示を出すようにしましよう。

たとえば、工場などで契約以外の業務を依頼した場合は、不慣れなために事故・災害を引き起こす可能性があります。部署によっては、情報管理上の問題も発生するかもしれません。そうしたリスクを避ける意味でも、管理職は、派遣社員がどういう条件で契約しているのかを熟知しておくことが大事です。よく知らないまま間違った指示命令を出した場合、契約違反を問われるおそれがあります。ただし、派遣社員本人から「手伝いましょうか?」と自発的に申し出があり、差し支えない作業の場合、多少の関連業務程度なら、問題にはならないでしょう。

 


 

田中宏司  たなか ひろじ

東京交通短期大学学長。1959年中央大学法学部卒業。1954~90年日本銀行勤務の後、早稲田大学大学院講師等を経て、2002~06年立教大学大学院教授。日本経営倫理学会前副会長、一般社団法人経営倫理実践研究センター理事・主席研究員、経済産業省「ISO26000JIS化本委員会」委員等。多くの主要企業や行政、団体向けに講演・指導の実施や行政の委員会委員を務めている。著書多数。

 


 

イラスト&ケーススタディ
『実践! コンプライアンス [上級編]』

管理職の身近で起こりうる数多くの事例を厳選して収録。職場や社会においての「正しい判断」と具体的対応法をわかりやすく解説しています。主に課長職を中心に、管理職を目指す一般社員から経営層まで、幅広く学んでいただける内容です。


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