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コンプライアンスを実践するには

コンプライアンスを実践するには

(2013年3月18日更新)

 
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不祥事によって企業の存続が危うくなる事件は、枚挙にいとまがありません。いまや、コンプライアンスが実践されているかどうかは、企業の生命線になっているのです。ここでは、全社員を対象としたコンプライアンス教育の教材として好評の『実践!コンプライアンス』から、コンプライアンス実践のポイントとケーススタディをご紹介してまいります。
 

 

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コンプライアンスは、その重要性を頭で理解しているだけでは不十分で、経営幹部から一般社員までがしつかりと実践しなければ意味がありません。経営者や幹部はわかっているけれども、現場の社員レベルにまで徹底されていないとか、社員の間では「これはコンプライアンス違反ではないか」と思っていても、幹部にその意識がないなどという場合、不祥事が起こる危険性は高いといえるからです。
コンプライアンスを実践していくためには、2段階の手順で進めていくのがよいでしょう。

 

企業の使命、価値観を共有する

たとえばパナソニック(株)の創業者・松下幸之助さんは、「企業は社会の公器であり、世間から人・物・金を預かって生産している」ということを言っています。社会から預かったもので生産し、製品やサービスを提供しているのだから、企業には社会貢献をする責務があるという考えです。

多くの企業では、創業の精神とか社是・社訓、経営理念などに、そうした高邁な企業の在り方・考え方が述べられています。その創業の精神や経営理念をふまえて、「この会社は何のためにあるのか」「どういうことを企業使命としているのか」「社員一人ひとりはどういう価値観を持って行動すべきか」といったコンプライアンス精神を全社で共有することが、第1ステップになります。

会社でコンプライアンス精神を共有するにあたって、音頭を取るのは経営トップです。経営トップは高い倫理観を持ち、リーダーシップを発揮して、一般社員へ経営理念などを浸透させていくことが求められています。そのためには、経営者と社員とのコミュニケーションをよくすることが大事でしょう。

社員も、自社の創業の精神、経営理念などをよく理解して、自分たちの日常的な仕事の規範とすべきです。経営理念などに適つた行動を取ることが、すなわち、コンプライアンスを実践することになります。

 

コンプライアンス順守の仕組みを確立する

小規模で創業社長が矍鑠(かくしゃく)としている企業は、創業社長が先頭を切って、「不良品をつくるな」「お客さまに迷惑をかけるな」といい聞かせます。社員もその汗と涙を見て同じような考え方になるため、経営理念などは浸透しやすいのですが、創業社長がいなくなるとか、規模が大きくなると、社長の考えが浸透しづらくなりがちです。経営理念なども抽象的なために時代の移り変わりとともに風化しやすく、忘れられがちになります。

 

そこで、2番目のステップとして、倫理綱領、行動基準をはじめ社内規範、マニュアルなどをつくって、それをきちんと遵守する組織的・制度的な仕組みづくりが必要になります。

 

具体的には2つあり、1つは、担当部署・責任者を決めて、教育・研修を行なうなど「遵守体制」をつくること、もう1つは、監査や実情調査などの「フォローアップ体制」をつくることです。何もむずかしく考える必要はな<、趣旨を活かし、自社の組織風土にふさわしいやり方で取り組めばよいでしょう。

 

たとえば、先輩や経験者が部下を教えるときに、「クレームを受けるものはつくるな」と付け加えることも、教育・研修の1つといえます。経験を積んだ年配者の意見を尊重し、働く人を大事にしている企業は、コンプライアンスの意識が高く保たれる傾向にあります。

 

田中宏司  たなか ひろじ

東京交通短期大学学長。1959年中央大学法学部卒業。1954~90年日本銀行勤務の後、早稲田大学大学院講師等を経て、2002~06年立教大学大学院教授。日本経営倫理学会前副会長、一般社団法人経営倫理実践研究センター理事・主席研究員、経済産業省「ISO26000JIS化本委員会」委員等。多くの主要企業や行政、団体向けに講演・指導の実施や行政の委員会委員を務めている。著書多数。

 



【職域図書】イラスト&ケーススタディー80
『実践!コンプライアンス』
 ~企業の社会的責任から職場の倫理問題まで~

2007年の発刊以来17刷を重ねたベストセラーに、10のケーススタディを追加。身近に起こりうるコンプライアンス違反の事例80項目を取り上げ、着眼点と対応の姿勢を明快に解説しました。


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