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メンタルヘルスとコーチング

2013年5月13日更新

メンタルヘルスとコーチング

PHP通信ゼミナール「管理者のためのメンタルヘルス・コーチング」(監修・執筆 高原恵子)から「部下の行動からストレスサインを見る」「メンタルヘルスに活かすコーチング」をご紹介します。
 

 

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コーチングスキルを活かす

ストレスに対処し、うつ病を予防するためには、部下と適切なコミュニケーションを行うことにより、職場全体を活性化させるような職場風土づくりが大切です。


職場には、社員・職員ひとりの力だけでは対応しきれないストレスが存在しています。そのため、一人ひとりが心身ともに健康な状態を保ちながら、成果を生み出していくためには、会社や上司が、部下一人ひとりとともにメンタルヘルスケアに取り組むことが求められます。

 

しかし、部下に対するメンタルヘルスケアの効果は、上司のコミュニケーション能力によって大きく左右されます。そのため、普段から部下とのコミュニケーションを心がけ、部下の変化に対して適切に関わる姿勢を持つことが大切です。同時に、自分自身のコミュニケーション能力を磨く努力も必要です。その意味で、コーチングは、上司がコミュニケーション能力を向上させる上で活用できるスキルといえます。
 

最近では、コーチングは、マネジメントの分野でも、有効なコミュニケーション・スキルとして日本でも多くの人に知られるようになりました。ここでは、コーチングの考え方やスキルを活かして、コニュニケーション能力を高め、より効果的にメンタルヘルスケアを行なう方法について学習していきます。


 コーチングの考え方を用いたストレス対処法としては、次のような5つのステップが考えられます。

 

(1)傾聴することでストレッサーを確定する

まず大切なことは、どのようなことに不安や問題、苦痛などを感じているか、部下から本音を聴き、部下がストレスに感じていることを明確にすることです。

身体症状として表れていることでも、それがどういう理由で、いつ頃から、どういう状態で起こったのか、ということは、本人にしか分からないことです。

しかし、そうしたことは、自分でも自覚していない場合もありますし、上司には言いにくいことである場合もあります。そのためにも、効果的な聴き方をし、部下から自然な形で引き出すことが求められるのです。
部下が今どういう状況にいるのかを一つずつ整理していき、相手が大切に思っていること、勝手な思い込みや不安などを解きほぐしていくことが大切です。


(2)本人の意思を訊く

次に、部下が持っている、こうしたいという意思や、本当はこうなってほしいと思っていることを明確にします。具体的には、「あなたはどうしたいのか?」「どうなりたいのか?」「どういう状態が望ましいのか?」などを、部下本人から引き出すのです。

相手にとって本当にこうありたいと思っているもの、めざしていることを明確にする。可能な限り具体化していくことがポイントです。

 

(3)意思を現実にするために何が必要かを訊く

部下自身の望ましい方向や、めざしているものを、部下自身から引き出すことができたら、それらを達成・実現するために、どのようなことが必要であるかを引き出します。

目標達成や問題解決に使えるもののことをリソース(資源)といいます。部下とのコミュニケーションの中で、部下が活用可能なリソースを部下自身の中から引き出すのです。


(4)何ができるのか対処法をコーチする

次に、ストレスに対処するために、どのようなことができるのかということを、部下から引き出します。

具体的には、「あなたにできることは何か?」「今あなたに打てる手は何か?」ということを訊くのです。

また、相手からアイディアが引き出せない場合は、上司として提案やアドバイスをしてもよいでしょう。仮に本人から良い対処法が出てこなくても、あなたにしっかり話を聞いてもらっていれば、信頼関係が築かれ、あなたからのアドバイスは部下の心に入っていきやすくなります。

 

(5)行動のステップを決める

そして最後に、そのステップに対処するために、いつ、どこで、何を、どのようにしていくか行動ステップや計画を立てます。

「やれそうな気分」というだけでは、気分は変わってしまいます。そのため、確実に行動に移すためには、行動のステップや計画は具体的であればあるほど良いといえます。具体的なものにすると、行動したときにも「本当にやれる自信」が定着しやすくなります。
また、行動に移しやすいように、具体的かつ取りかかりやすいプランを立てることがポイントだといえます。

 

このプロセスは、5つのステップを着実に踏んでいくことがポイントです。どこかが抜けてしまうと、動けなくなってしまいます。そして、大切なことは、「部下を動かそう」「部下を変えよう」とするのではなく、「どうしたら部下が自分から行動を起こしやすいだろうか?」という視点から関わるということです。「自分が決めた」という意識だからこそ、その先も本人を動かしていくスタートボタンになるのです。

 

【通信ゼミナール】

「管理者のためのメンタルヘルス・コーチング」

部下が職場で感じるストレスの大半は、上司と意思の疎通ができないなどのコミュニケーション問題です。本講座では、コミュニケーション・スキルであるコーチングを身につけ、部下のストレスに対処することで、良好な職場づくりをめざします。

 

[監修・執筆]

高原恵子 たかはら・けいこ

上智大学大学院修士課程修了。臨床心理学専攻。聖マリアンナ医科大学付属東横病院神経科にて臨床心理士として4年間勤務した後、(株)iBDにてコミュニケーションセミナー講師を14年間務める。1989~91年、iBD USA CO INCのGeneral ManagerとしてNew Yorkに出向。駐在員とその家族のメンタルヘルスにあたる。1998年、(株)コーチ21に取締役として出向。1999年、(有)コミュニケーション心理学研究所を設立。代表取締役。メンタルヘルス研修、カウンセリング、コーチングを中心に活動する。日本心理臨床学会正会員、日本精神分析学会正会員、横浜市教育委員会スクールスーパーバイザー。著書多数

URL http://www.keikotakahara.com/

 

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