課長職にマネジメントの革新を!
RSS

コンプライアンス違反が生まれる3つの要素

コンプライアンス違反が生まれる3つの要素

(2013年8月12日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

「不正のトライアングル」という言葉があります。これは、アメリカの犯罪学者ドナルド・R・クレッシー(Donald Ray Cressey)が、横領犯の裁判記録や聞き取り調査などをもとに、人が不正行為をする際の3つの要素についてまとめたものです。

 

これによると、不正を行なうための「動機」が存在し、不正を行なう「機会」あり、そして不正を行なうことが「正当化」できると、人は不正行為をしてしまうとされています。

 

【トライアングルイメージ】

 

たとえば横領の場合、個人的な理由で経済的に苦しくなった人が(=動機)、経理部門で専門性の高い単独業務を任されており(=機会)、一時的に借りるだけだから問題ないと思った(=正当化)場合に、不正行為が起こりやすくなるということです。

 

もし、この「不正のトライアングル」を崩すことができれば、不正行為すなわちコンプライアンス違反を減らすことができると考えられています。

 

そこで、3つの要素、それぞれの崩し方を考えていきましょう。

 

まず「機会」です。内部統制を厳格にし、どんな小さな不正を行なっても必ず発覚するという職場環境の構築で不正を行なう「機会」を減らすことができます。ただし、どんなに内部統制を厳しくしたところで、時が経てば新たな「機会」が生まれる可能性があります。常にアップデートしていく体制づくりも必要です。

 

次に「動機」です。仕事上では、過度な目標などによるプレッシャーが不正を行なう「動機」につながりやすいとされています。これについては、上司がこまめに面談をするなど、部下のプレッシャーを軽減させるような職場風土をつくっていくことが効果的です。しかし、私生活での問題には会社側が立ち入ることはできません。したがって、「動機」を完全に排除するのは難しいとされていますが、私生活で問題を抱えている社員がいる場合、ヒアリングや配置転換などをすることで一定の効果を見込むことはできます。

 

最後に「正当化」です。「機会」や「動機」があったとしても、「正当化」できなければ不正行為は起こりにくいものです。したがって、不正行為を「正当化」できないような意識改革が重要になります。

 

そのための第1ステップは、企業理念・経営理念を社員一人ひとりにしっかりと理解させ納得させること、自分たちの仕事への納得感・やりがいをもたせることです。ただし、押し付けてしまうと逆効果になる可能性があるので、あくまでも自分の意志で理解・納得してもらえるように働きかけることが大切です。そうすることで、「会社に迷惑はかけられない」といった企業人としての正しい価値観や倫理観を醸成することができます。

 

第2ステップは、社内規則や法律の真の目的を理解してもらうように働きかけることです。社内規則や法律には多くの細則がありますが、単にそれを守っていればよいということではありません。なぜこの規則・法律が作られたのかという真の目的を理解しなければ、それらはただの“べからず集”になり、「正当化」の口実を生み出してしまうことになります。

 

たとえば、「下請法」という法律は、「親事業者と下請事業者が互いに仕事のパートナーとして成長していくために正しい取引をする」という目的があります。それを理解していれば、下請けいじめなどという違法行為を未然に防ぐことができるようになるのです。

 

コンプライアンス意識が高まり、いまやどの企業でも当たり前のようにいわれています。ひとたびコンプライアンス違反を犯せば、企業の社会的信用は著しく低下し、経営に大きな影響が及んでしまうのは言うまでもありません。そうならないためにも「コンプライアンスを!」と言うだけではなく、確実にコンプライアンス違反を減らしていくアプローチが大切になります。「不正のトライアングル」は、その有効なアプローチのひとつになってくれるはずです。

 

 (PHP研究所 企画制作部 海野翔太)

 

PHP研究所のコンプライアンス教育教材をこちらのページでご紹介しています。


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ