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エンプロイヤビリティを育てる

エンプロイヤビリティを育てる

(2013年8月20日更新)

 
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【ポイント】

・会社が社員に望んでいるのは「継続的に雇用されるだけの能力」

・社員が会社に望んでいるのは「働く場所として選ばれる能力」

・会社の思いと社員の思いをつなぐのが、現場の上司の役割である

 

雇う力と雇われる力

平成11(1999)年4月、日経連(現・日本経営者団体連盟)のエンプロイヤビリティ検討委員会は、「エンプロイヤビリティの確立をめざして」という報告を発表した。この報告では、「エンプロイヤビリティ」が「労働移動を可能にする能力」+「当該企業の中で発揮され、継続的に雇用されることを可能にする能力」と定義されている。

 

エンプロイヤビリティ(Employability)とは、“雇い入れられる(employable)”の名詞形で、景気動向によってレイオフ(layoff:一時解雇)があることを想定し、主に「他社で雇用されうる能力」、つまり「労働移動を可能にする能力」という意味で、欧米では使われてきた。これに対し、長期安定的な雇用を重視してきたわが国では、エンプロイヤビリティに独自の定義を与え、転職を前提にするばかりでなく、現在雇用されている会社でも持続的に雇用されうる能力にスポットをあてている。

 

会社側が社員に「エンプロイヤビリティ」を求めたいことは理解できる。しかしそれは独善的ではないか?――そんな疑問から生まれた言葉が「エンプロイメンタビリティ(Employmentability)」である。エンプロイヤビリティが「雇われる力」だとすれば、「エンプロイメンタビリティ」は「雇う力」である。エンプロイヤビリティを向上させた社員は、現在属している会社を飛び出す可能性が高くなる。そこで会社には、エンプロイメンタビリティ=「雇用しうる能力」「働く場所として選ばれる能力」「企業の雇用能力・魅力」が問われることになる。

 

魅力ある経営、やりがいある職場づくりを実現しなければ、人材は他社に流出する。「求める以上は、求められる存在たれ」というわけである。

 

下の(図表1)は、エンプロイヤビリティについて、キャリアステージ(能力形成のレベルに応じた段階)ごとに、企業による支援や仕事を通じて身につけた能力か、自助努力により身につけた能力かを検討するモデルである。

(図表2)には、会社と社員の求めるものを参考にまとめた。

 

 manual130820.jpg

会社の期待と社員の期待をつなぐ

会社と社員の関係は、まるで太陽と地球のようなものである。太陽の絶妙な引力のもと、適切な位置関係を保つ太陽と地球。太陽の引力が強すぎれば地球は灼熱の惑星になってしまうし、引力が弱すぎれば地球は軌道を外れて太陽系から飛び出してしまう。さらに、地球は自転しながら公転を繰り返し、太陽も自転している。「一箇所にとどまる水は淀む」ことを避けるかのように(転石苔むさず)。

 

この絶妙なバランスは、まさに会社と社員の関係のようであり、両者を結びつける引力、それが上司なのである。

 

 ※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行) 

 


 

【著者プロフィール】

茅切伸明  かやきり のぶあき

慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。その後、(株)日本エル・シー・エー入社。平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

 

松下直子 まつしたなおこ

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。人事部門では、採用、育成、人事制度設計と運用、労務管理と幅広く人事業務に携わる。独立後は学習塾の経営や大学講師の経験を経て、現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修依頼は年間200本を超える(2011年実績)。人材育成を生涯のライフワークと決意し、社会人教育に意欲的に向き合うかたわら、士業家の独立支援事業、文化教育事業にも取り組み、幅広く人材育成に携わっている。

 

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