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目標管理~社員教育の効果を高める環境の構築と実践

目標管理~社員教育の効果を高める環境の構築と実践

(2014年1月10日更新)

 
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部下の成長を促し、目標達成をサポートする「目標管理」を有効活用したいものです。そのポイントを解説します。

 

部下に問うべきは仕事の目的

人生の目的のひとつは、自らの成長である。しかし、仕事においては、まず、仕事を通じて顧客や社会に貢献することが目的であり、その結果として自らの成長がある。職場は「成長の場」のひとつであるが、それは仕事が存在するからである。したがって、「現場でいかに学ばせるか」という問いがあるとすれば、それはすなわち、「現場でいかに仕事をさせるか」ということにほかならない。

 

有名な話がある。レンガを積む3人の職人に「あなたは何をしているのですか?」と尋ねたところ、それぞれ次のような答えが返ってきた。

(1)「見れば分かるだろう。レンガを積んでいるのさ」

(2)「お城の壁をつくっているのさ」

(3)「王様、ひいてはこの国を敵から守るための丈夫な城壁をつくっているのさ」

仕事には意味がある。行動として単に仕事に取り組ませるのではなく、その意味を理解しながら仕事に向き合わせることで、仕事に対する意欲や仕事の質が変わる。手段や行動の改善にもつながりやすくなる。学びは、仕事の価値の理解なくしては成り立たない。

 

仕事の全体像を理解させる

「組織の歯車にはなりたくない」とは、よく耳にするセリフである。しかし、本当にそれでいいのだろうか? というのも、組織の仕事とは歯車の組み合わせであり、役割分担で成り立っているからである。仕事は一人では成り立たない。組織であるがゆえに、一人では成しえない付加価値を創出できる。それこそが組織の醍醐味でもある。

 

組織の関連図

上に挙げているのは、ある企業(メーカー)で新入社員に自社の組織を説明するための図である。いわゆる組織図ではなく、モノの流れを中心に、組織の関連が分かりやすく記載されている

 

たしかに、個人の仕事は役割分担による「一部分」であるから、目の前の仕事に没頭してしまうと、全体が見えなくなることもまた事実である。

 

その仕事の前段階には仕事が存在し、後段階にも仕事が存在している。前段階では、誰が、どのような思いで仕事をしていたのか。この後には、誰が何を思いながら取り組んでいくのか。そうした想像ができれば、仕事の面白味は、さらに増すはずである。

 

職場の上司は、その仕事の意味や価値、また、その仕事の前後にあるものを伝えられなければならない。閉塞感ばかりを助長するような上司は、その場でお役御免となるだろう。

 

部下の頭上にあるのは「上司」ではなく「目標」

全社的な目標を個人目標にまで落とし込み、社員一人ひとりが納得して目標を立て、その達成に向けてPDCAサイクルを回す。こうした「目標管理制度」を導入している企業は、中小企業でも半数を超えている。業績向上だけでなく、部下の成長促進や目標達成をサポートするコミュニケーションツールとして、大いに活用されているようである。なお、目標管理制度とは、目標「を」マネジメントする制度ではなく、目標「で」マネジメントする制度であることに留意していただきたい。また、制度とはあくまでも手段であり、その成否を決めるのは、運用の如何であることも忘れてはならないことである。

 

自分(たち)で決めた目標には当事者意識が芽生えやすいし、未達成の言い訳もできないはずである。こうした緊張感と参画意欲、自ら考えて行動するという主体性は、「学び」において不可欠だ。

 

M20140110-2.jpg与えられただけの学びではなく、「自ら設定する学び」(下図参照)を、仕事の現場でどれだけ創出することができるか。部下の頭上にあるものは上司ではなく、目標なのである。

ノルマ管理と目標による管理の違いを挙げておく。

 

(1)ノルマ管理

・上司が部下に対して一方的に目標を与え、かつ、その達成方法に深く関与し、さらに達成過程も厳しくチェックしながら指示・命令を中心としたコミュニケーションによって目標を達成させようとする管理方法。

 

(2)目標による管理

・目標は上からの押し付けではなく、個人もその設定に関わり、上司との合意に基づいて決定される。

・目標達成のための手段・方法は、基本的に個人に任されており、個人の自主性を発揮する余地がある。

・目標達成に向けた職務遂行も個人に任されており、自主性が求められる。

・目標達成度は自己評価ができ、上司からの一方的な評価で終わらない。

 

 ※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

 

 

課長研修

 

 


 

【著者プロフィール】

茅切伸明  かやきり のぶあき

慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。

平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

松下直子 まつした・なおこ

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。

神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。


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