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研修の「学び」を現場で生かすには?

2014年2月20日更新

研修の「学び」を現場で生かすには?

研修を受けて職場に帰ってきても、しばらくすると、またもとの状態に戻っている。現場は変わらない――そんな声を耳にします。どうしたら「研修」の学びを「現場」で生かすことができるのでしょうか。

 

【ポイント】

・受講者が研修で感じたこと、決意したことを、現場の仕事につなげてこそ研修は活きる
・受講者の得た知識や学びを、職場や全社で共有しよう
・学習する組織をつくることも、育成担当者の仕事である
 
 

研修受講者の喜びを上司に伝える

 
上司の期待と組織の期待を受けて研修に参加した受講者には、その研修で得た学びと気づきを、ぜひ、現場で活用してもらいたい。
 
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上のシートは、筆者が研修受講生に研修中に書いてもらうメモシートである。研修中にメモをとるのは有効だが、真にとらねばならないメモは「講師が言ったこと」や「板書された内容」ではなく、「何を感じ、学び、明日からの行動をどう変えるつもりなのか」である。よって、このメモシートは、研修中、1カリキュラム(1~2時間)が終わるごとに、その中で一番「感じたこと」等を、1行にまとめるものである。研修では受講者全員が同じ内容を受講する。しかし、感じることは十人十色。誰一人、同じメモがあるはずはない。それが、人間の豊かさであり、組織の強さにつながるものである。同じ研修で全員が同じことしか感じられない組織ほど、弱いものはない。
 
このシートを利用するメリットは下記のとおりである。
 
 
【受講者にとって】
1)研修で感じたことが1枚にまとめられる。1年後にシートを見ても使えるメモである(そのとき「自分が感じたこと」はまぎれもない事実であり、振り返りができる)。
 
2)職場に戻り、上司に「どんな研修だったか」と問われた際、このシートを元に報告ができる。研修で講師が言った内容を報告しても仕方がない(研修カリキュラムをコピーして提出すればよい)。上司に伝えるべきは、自身が「感じ、学び、今日から取り組むこと」である。
 
 
【上司にとって】
1)一を聞いて十を知る者もいれば、十を聞いて一を知る者もいる。「聞いた」内容ではなく「知った(分かった)」内容となっているので、本人が研修の内容をどのように消化したのかが理解できる。
 
2)その上で、次に仕事で何を与えればいいのかが分かる。カリキュラム内容を聞いただけだと、上司としての次のアクションに悩むが、部下が感じた事実を聞くのであれば、次の一手が打ちやすい。
 
 

研修受講者の学びを職場に伝える

 
さまざまな工夫をしている会社があるものだ。「外部研修を受けたものは、職場に戻ってから、学んだ内容を一定時間でプレゼンテーションする」というルールを設けている事例がある。そのメリットは下記のとおりである。
 
【受講者にとって】
1)「聞く」と「やる」では大きく違う。社に戻ってプレゼンテーションをしなければならないから、熱心に受講する。
 
2)学んだことが自分の言葉になり、自分のものとなる。
 
 
【職場にとって】
1)1人の研修の知識が、職場の衆知になる。
 
2)プレゼンテーションを聞くことで職場の各人の時間を削られるので、研修の無駄な受講が抑止できる(職場全体の了解がないと、外部研修に参加できない)。個人の自己満足だけの研修受講がなくなる。
 
 

研修受講者の学びを全社で共有する

 
ほかにも、研修内容を社内報やイントラネット等に掲載して、組織全体で共有したり、先述の「気づきメモ」を回覧して、受講者に自由に質問させたりする事例もある。大切なのは、研修を活かす意識を、職場でも持つことである。
ただし、この共有の手段自体が目的となってしまわないように注意したい。「何のために共有するのか」を、常に職場全体が意識し続けることが問われるのである。
 
 ※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 
 

 

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【著者プロフィール】
 
茅切伸明  かやきり のぶあき 
慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 
平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 
平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子 まつした・なおこ 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

 

 

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