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チェックリストで考える社員研修・教育の効果が上がらない理由

2014年4月10日更新

チェックリストで考える社員研修・教育の効果が上がらない理由

社員教育・研修において効果があがらないのは、どこに問題があるのでしょうか。チェックリストをもとに考えてみましょう。

 

【ポイント】
・自社の社員教育はどこに問題があるか、どうあるべきかを考える
・「経営戦略を実行するために必要なスキルは何か」から社員教育を考える
・現場の上司が研修内容を理解していないと、部下の研修効果は出ない
 
 

自社の課題を発見する

教育担当者は、単に経営者や現場から言われたテーマの「研修」を企画・実施するようではいけない。人材戦略や人材育成戦略といった戦略性を持って、教育企画に関わっていかなければならない。社員教育のあるべき姿を検討し、教育ニーズを洗い出すことで、自社に合った教育体系を構築していただきたい。安易に他社で評判の良かった研修や流行の研修を並べただけでは、研修効果が得られないことは言うまでもない。まずは自社の社員教育のどこに問題があるのか、どうあるべきかを検討するために、次のシートのチェックリストに基づいて確認していただきたい。
 
社員教育・研修チェックリスト
 

問題だらけの社員教育

チェックしてみて、社員教育に対して本気で取り組まなければならないと痛感していただけただろうか。多くの企業は社員教育の大切さは分かっていても、どうしていいか分からないと悩んでいる。
 
まずは、何が問題でどこに原因があるのか認識する必要がある(上のシートを参照)。最も大きな問題は、研修会社に依頼すればそれで社員が育つと思い、効果が出ないのは研修会社のせいであると考えることである。研修会社に効果やフォローなど、多くを期待すべきではない。社員研修や人材育成は誰か特定の人が担当するものではなくて、経営者がリーダーシップを発揮して全社的に取り組み、社員全員に人材育成を意識させることが大切である。経営者や教育担当者、現場の上司だけが人材育成を担っているわけではない。
 
もう一点、大きな過ちに気づいていただきたい。社員教育はすぐに効果が出ないと言われるが、経営戦略の実行・実現は、社員教育なしにはあり得ない。経営戦略を実現するためにはどのような人材が必要か、そのための必要なスキルや知識は何か、それらを効率よく習得する社員教育をどう企画するか、このような流れで検討しなければいけない。人材育成、社員教育が盛り込まれていない経営戦略は「絵に描いた餅」になると言わざるを得ない。
 
筆者はこれまで多くの研修を担当してきたが、よく見受けられる社員教育の問題点は次の7つに整理できる。
 
(1)人材育成が重要であると認識しながら社員教育が後回しにされている
(2)経営戦略と人事制度、社員教育がバラバラで連動していない
(3)求める人材像、教育方針、教育体系が整備されていない
(4)人材育成のPDCA、研修のPDCAを回していない
(5)研修が現場の上司に理解されておらず、OJTと連動していない
(6)現場のニーズが反映されないで、研修会社任せの研修に陥っている
(7)研修効果の測定が受講者アンケートのみで、やりっぱなしになっている
 
本来、社員教育は社員の「能力開発」を通じて「業績の向上」を図ることを目的とする。つまり、戦略実行に必要なスキルを身につけさせる社員教育なしに、経営戦略は実現し得ないと言える。
 
 

社員研修の意義や内容を理解する

「研修で学んだ知識やスキルは、なぜ現場で実行されないのか?」。これは教育担当者の永遠の悩みである。教育担当者は、学んだ知識やスキルを現場で活かしてほしいと期待して社員教育を実施するが、受講者は研修での気づきや学びをなかなか行動に結びつけることができない。この要因は3つある。
 
一点目は、研修でいくらいいことを学んでも、現場に戻ると日々の仕事に追われてしまい、研修で学んだことを後回しにしてしまうことである。現場での実践を受講者に任せている限り研修効果はあまり期待できない。
 
現場で実践させるには、やらざるを得ない仕組み、もしくは上司の動機付け・支援が不可欠だ。受講者の研修報告を十分に聞いてあげるだけではなく、会議で報告させたり、朝礼で発表させたりすることもいい方法である。
 
二点目は、上司が研修の意義を理解していないことである。よく見受けられる最悪のケースは、部下が研修から戻ってくると、「研修で昼間居なかったのだから、すぐにこの仕事をやってくれ」とか「この忙しいときに研修受けている場合じゃないよ」「研修で何を教わったかは知らないが、このようにやれ!」と言う上司である。
 
部下が現場に戻り、学んだことを実践しようとしても、上司が研修に理解を示さない限り、実践されることはない。上司が研修のフォローをするか、しないかで研修効果は大きく変わってくるものである。さらに、部下が研修に参加する前に上司が研修の意義や期待を伝えることでさらに効果は高まる。
 
三点目は、社内研修や公開セミナーは、「一般論だから現場では使えない」と思っている上司が多いことである。
 
「根性」で頑張ってきた上司ほど、「原理原則」や「理論」は役に立たないと思い込んでいる。上司が研修を否定することが、研修内容の現場実践を阻む大きな要因になっている。
 
現場の上司に否定されないためには、研修企画の段階から上司を巻き込むことが必要である。現場の状況、部下への期待、指導してほしいことなどを、研修を企画する前にヒアリングすることで上司は研修に期待し、参画意識が生まれる。できれば、研修の目標やゴールイメージを共有しておくことを推奨する。研修後にも、このように社員研修と現場が連携する仕組みをつくることが必要である。
 
 
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 
 

 

 
【執筆者プロフィール】
 
茅切伸明  かやきり のぶあき 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子 まつした・なおこ 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。
 

 

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