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日本企業の未来は女性社員の活躍にかかっている

2014年8月 5日更新

日本企業の未来は女性社員の活躍にかかっている

時代のニーズ、ウォンツが、企業での女性社員の活躍を大いに必要としています。女性社員がより高い評価を受け、より活かされることが、今後の企業経営のカギを握るといっても過言ではありません。7000社以上の中小企業を訪問調査してきた坂本光司氏が、その理由を解き明かします。『会社を元気にしたければF・E・D社員を大切にしなさい』よりご紹介します。

 
 
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時代は、これまで産業社会・企業経営をけん引してきた男性にこれまで以上の活躍を求めているとは思えません。むしろこれまで産業社会・企業経営をリードしてきた男性社員が、これからもしゃしゃり出て主役を続ける限り、日本の将来は危ういと思えてなりません。日本の未来・企業の未来は、女性・女性社員の参加・活躍にかかっているのです。

 

その理由の1つに、経済社会のソフト化・サービス化のなお一層の進行があげられます。

 

日本経済は、日本人が好むと好まざるとにかかわらず、工業化社会・国内中心型産業社会から、ソフト・サービス型社会・国際分業型産業社会へと大きく変化・変貌をしています。

このことは生産面でも消費・購買面でも一目瞭然ですが、ここでは就業構造面から、ソフト・サービス化の進行の実態をみてみましょう。1990年当時、製造業を中核とする第二次産業の就業者数は2,054万人、比率は33.3%と、サービス産業と並び日本の最大級の産業でしたが、2000年になると1,857万人(29.5%)、そして2010年では1,421万人(23.7%)にまで減少しているのです。

2000年から2010年の10年間で455万人、1990年から2010年の20年間では642万人もの雇用が第二次産業、主として「モノづくり産業」(製造業)から放出されているのです。こうした日本のモノづくり産業の極度の低落傾向は、不況がもたらしている結果現象などではありません。このことは、新たな主役であるサービス産業を中核とする第三次産業のこの間の動向をみればよくわかります。

事実、サービス産業を中核とする第三次産業の就業者数は、1990年当時3,642万人、比率は59.0%でしたが、2000年になると4,049万(64.3%)、そして2010年では3,965万(66.5%)と、その比率は年々高まっています。1997年をピークに日本全体の就業者が減少するなか、日本の雇用はサービス産業を中核とする第三次産業にシフトしているのです。

 

戦後の日本経済を牽引してきた製造業を中核とする第二次産業のウェイトは、日本が好むと好まざるとにかかわらず、今後とも年々減少していくものと思われます。これは根も葉もないことではありません。

こうした潮流は、経済社会のボーダレス化・グローバル化の進行が結果としてもたらす宿命的現象なのです。

日本に今後とも残る産業や機能は、「日本でなければどうしてもできないこと、やれないこと」のみで、海外、とりわけアジアの諸国でも生産や調達が可能な産業や機能は海外現地に委ねるのは当然のことだからです。

事実、この間の第二次産業からの大幅な就業者の減員は、定期的に必ずやってくる不況がもたらしたものではなく、日本企業の海外生産の拡大や、海外の日系現地企業や海外企業からの製品輸入の増大、さらには海外企業との競争に負け敗退してしまった結果現象だからです。

 

こうした時代において、国内の活力を維持強化していく方法は、新産業、とりわけ地域密着型・日本人密着型産業であるソフト・サービス産業のさらなる発展です。つまり、サービス産業の一層の拡大・進化なくして、日本経済の空洞化を阻止する方法はないのです。

ソフト化・サービス化社会のなお一層の進行こそ、女性が活躍を期待され、それゆえ女性を一段と活かす必要がある大きな理由の1つです。

 

というのは、ソフト・サービス産業とは、モノの価値ではなく、サービスという価値を創造・提供する産業だからです。より具体的に言えば、「嬉しい・楽しい・健康でありたい・美しくありたい・長生きをしたい・より学びたい・素敵な人に出会いたい・世のため・人のために貢献したい……」といった、人々のニーズやウォンツ、さらには五感に訴える・問う産業のことです。

こうした物財ではなくソフト・サービス財に対する関心はもとより、高い価値を求める傾向が強いのは女性だと思います。というのは、男性も女性も生活者ではありますが、とかく企業社会・管理型社会にどっぷりと浸かってしまっている男性よりは、はるかにまともな生活者であり、また総じて五感が鋭いと思われるからです。

このことは、男性と女性の数はほぼ同数でありながら、紳士服小売業と婦人服小売業のお店の数を比較すると婦人服小売業のほうが3倍以上も多く、また理美容店でも、美容院の数が理容店の数を1.3倍も上回っていることをみてもわかります。さらに言えば、家計における消費・購買活動の決定権割合は、約80%が女性なのです。

 

つまり、ソフト・サービス化社会・内需型社会における消費・購買の主役は、物財優位社会・外需型社会とは異なり、男性ではなく女性なのです。女性に好かれた企業や商品は高い評価を受けるが、逆に女性に嫌われた企業や商品は見向きも評価もされなくなってしまう時代とも言えます。

 

 
 
坂本光司(さかもと・こうじ)

1947年静岡県生まれ。静岡文化芸術大学教授等を経て、法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は中小企業経営論、地域経済論、福祉産業論。同大学院中小企業研究所所長ならびに静岡サテライトキャンパス長を兼務、経済産業省委員会委員、日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員長、NPO法人オールしずおかベストコミュニティ理事長など、国・県・市の公務も多数兼任する。徹底した現場主義で、これまで訪問調査、アドバイスした企業は7000社を超える。

著書に『日本でいちばん大切にしたい会社(全4巻)』(あさ出版)、『社員と顧客を大切にする会社』(PHPビジネス新書)など多数。

 


 

 

会社を元気にしたければ「F・E・D社員」を大切にしなさい』

「F・E・D社員(「Female=女性」「(the)Elderly=高齢者」「(the)Disabled=障がい者」の頭文字を並べたもの)」の雇用に信念をもって取り組む12社を、著者とその研究室のメンバーが徹底取材し、紹介。

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