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新入社員研修で教えるべきこと

新入社員研修で教えるべきこと

(2014年9月 5日更新)

 
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新入社員研修では、人として大切なことやビジネスマナーを指導することが重要です。また、学生時代の学び方と社会人の学び方の違いを意識させ、方法を変える指導をすることがポイントとなります。

 

*  *  *  *  *
 

新入社員の学ばせ方

学生時代は、学習したことを記憶して実践するかどうかは個人の自由であるし、できなくても本人にしか影響が及ばない。しかし、社会人となれば、行動の善し悪しが会社全体、時には会社の盛衰にも影響する。
 
すべての内容は、“分かる”ではなく“できる”ことに目的を置かなければならない。そのためには、次のことが必要である。
(1)メモをとる習慣を身につけさせる
(2)学んだことは必ず復習し、実行することが大切であることを教える 
(3)どんなに些細な仕事でも、意義や目的があることを教育する
(4)実習をして、体得させる
(5)上司・先輩によるOJT(現場指導)と効果的に連携させる
 

心の栄養

就業規則の厳守、コンプライアンスなど、人としての責任をきちんと指導しておく。コンプライアンスについては、資料を渡し、違反の際の懲罰もあわせてはっきり示しておく。社員教育用の映像教材が市販されており、図書館等貸し出している施設もあるので、利用するとよい。
 
その他、思いやり、気配り、マナー、チームワークの大切さ、努力して目標を達成することの意義などをきちんと指導し、体験実習などで経験させれば、新入社員は素直に受け止め、教えてくれたことに感謝し、感動するはずである。これらはすぐには形に表れないが、入社数年を経過した後でもずっと本人の心の栄養・支えになっていくものである。
 
 

成長を決める“しつけ”

今は家庭でも学校でもしつけがあまりできていないことが当たり前と考えておくほうがよいだろう。特に2010年から「ゆとり教育世代」の新入社員が入社してきた。成人しているはずの新入社員を相手に、会社がしつけ教育を担わなければならないのは、納得しづらい部分ではあるが、この点を放置すれば、会社の信頼が失墜してしまう事態にもなりかねない。
 
新入社員の犯した失敗の対処に、(1)役職者が時間を費やし、(2)会社のイメージがダウンし、(3)仕事の効率が落ち、(4)社内の人間関係にひびが入る。さらに、(5)新入社員には「悪かった」という意識がないため、咎めると新入社員は落ち込んだり反発したりして、辞めてしまう結果につながることもあるなど、不利益は測り知れない。
 
極端な例だが、新入社員の中には、「大学の授業と同じ感覚で、実績をあげれば毎朝定時に出社しなくてもいいと思っている」「仕事中にプライベートな雑談をすることがコミュニケーションだと思っている」「朝、起きることができないだけで平気で休む」「休みの連絡をメールでする」など、信じられないことが起きている。しつけまで会社がすべきかどうかを議論する前に、すみやかにしつけ教育を実施すべきである。特にしつけをしておきたいのは、次の5項目である。
 
(1)時間や期限の厳守
(2)ルールの厳守
(3)最後までやり遂げること
(4)お客様や上司への態度と言葉づかい
(5)報告・連絡・相談
 
 

ビジネスマナーの重要性

電車の中で1人がマナーを違反すると、車両はたちまち不愉快な雰囲気になってしまう。しかし、マナー違反をしている本人は、そんなことに気がついていない。本人がマナー違反を犯しているという意識がない場合、教育が必要となる。
 
家族や自分と気が合う友人・知人とだけ接してきた新入社員は、社会に出たばかりで、仕事をする上で必要なビジネスマナーを学んでいない。しかし、新入社員だからビジネスマナーを知らなくても仕方ないと、お客様が許してくれることはない。また、職場にビジネスマナーに欠ける人物が1人いるだけで、他の全員が不愉快な思いをする。
ビジネスマナーを学習することは、相手に対する思いやりや気配りなど、心の成長も促す効果がある。
 

経営理念を理解させる

理念とは「理性によって得た最も高い考え」のことである。すべて完璧に叶えられるものではないが、理念を徹底しようと努力することにより、行動が修正される。ほかに、会社の経営上の方針や主張を表す社是やモットーなどがある。
 
「自社の求める人材像や目指す社員像」を明確にしておくと、採用するときや教育するときに方向性がはっきりし、新入社員に限らず人事担当者や社外の講師に依頼する場合もスムーズに事が進みやすくなる。
 

仕事の全体像を把握させる

仕事の詳細を説明しても、新入社員には理解できない。以下のようなことを簡単に説明しておくとよいだろう。
 
(1)自社が社会に何を提供しているか?
(2)どのように役立っているか?
(3)製造・流通過程はどのようなものか?
(4)各部署の役割はどのようなものか?
(5)部署間の結びつきはどのようなものか?
 
新入社員に限らず、自分の所属部署の都合を押し通し、社内でコミュニケーションがうまくいかないケースがよくある。しかし、入社時に会社全体が有機的に結びついて成果を上げていることを説明しておくと、そのような弊害を防止できる。
 
さらに、その仕事を短期間であっても体験実習させると、効果はいっそう上がる。その際には、上司の理解を得て、人事担当者の管理監督と上司の連携のもと、あくまでも体験実習として行うべきである。そうでなければ、新入社員は教育目的ではなく、業務の補助として、アルバイト代わりにされたという印象を受けてしまいかねない。上司側も、仕事もできないのに新入社員が交替でやってきては、わずらわしいと思うだけである。
 

目標・夢の大切さ

目標や夢があってこそ、生き生きと成長できるものである。新入社員研修、社内見学を通じて、あるいは、先輩の体験談などを聞くうちに憧れの存在に出会い、ますます目標も夢も膨らんでくる。また、将来なりたい先輩や上司が身近な存在であるほど、成長の度合いも高まる。
 
2~3年後くらいまでの目標や夢を持てるよう、きちんとしたフォーマットを作成して記入させることが大切である。他の新入社員の目標や夢を聞くことで刺激を受けて成長することも多い(相互啓発できる)ので、発表をさせることも忘れず行うようにしたい。
 
これは、プロの講師もよく利用する方法であり、研修の一部を外部講師に依頼する場合は、重複しないように打ち合わせをしておくほうがよいだろう。
 
 
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 
 
 
【著者プロフィール】
 
茅切伸明  かやきり のぶあき 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子 まつした・なおこ 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。
 
 
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