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管理者は具体的な目標や指示を!

管理者は具体的な目標や指示を!

(2014年12月26日更新)

 
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課長の目標や指示が抽象的では、部下はどこに向かって行動すればよいのかわからず、やる気の示しようがありません。リーダー・管理者の役割は、目標や指示を「グ・タ・イ・テ・キ」にすることです。そのためのポイントを、通信ゼミナール『リーダーのための心理学入門コース』のテキストからご紹介します。
 
 

リーダーが窮地で陥りがちなパターン

 
組織が窮地に陥ったとき、次のようなパターンがリーダーによく見られます。
 
・精神論が横行する
・恐怖によるモチベーションに傾く
・指示・命令に抽象的表現が多くなる
 
1つめの精神論とは、「がんばれ」「気合を入れろ」「とにかくやるしかない」などと、論理的な裏づけなく部下を前進させようとするものです。これで部下がやる気を高めることはありません。
2つめの恐怖によるモチベーションとは、「バカやろう!」「今度のボーナスはゼロだ」「これができないようだと出世は無理だな」など、相手が恐怖を覚えるような強い叱責や時には暴言、ひどい場合は暴力に訴えたり、人事評価や給与査定など、本人の生活や意欲に影響をおよぼす材料をネタにプレッシャーをかけて行動させようとするものです。これは部下を萎縮させることになります。
3つめの抽象的表現とは、「チームの連帯感を高めて」「全社一丸となって」「きちんと対応します」「目覚ましい成果をあげて」「恥じないように」「責任をもって」など、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)との関連が薄く、受けとめ方が個々人によってまちまちで、具体的に行動とどう結びつけたらよいのか判断に迷うような言葉です。「組織のぜい肉を落として」「チーム内のコミュニケーションを円滑に」「お客様を大切に」なども抽象語で、これらに基づき具体的にどう行動するかとなると、やはりあいまいです。
組織のトップは、経営理念として「お客様の信頼を確保する会社」という抽象的な表現を用いますが、それはそれでかまいません。しかし、「お客様の信頼確保」を部長から課長まで、それどころか係長から一般社員までに対して同じように言っていたとしたら問題です。
目標や指示が抽象的だと部下はどこに向かって行動すればよいのかわからず、やる気の示しようがないのです。管理者の立てる目標や指示は「グ・タ・イ・テ・キ」でなければなりません。すなわち、次の5つのポイントを網羅する必要があります。
 
(1)グ…具体的
あるレストラン・チェーンで、トップが「お客様の信頼を確保するレストラン」という理念を掲げたならば、それぞれの店舗のフロア担当のパート社員までもがお客様に明るく元気な「いらっしゃいませ」が言えるだけでなく、人数や喫煙席か禁煙席かを確かめ、「3名様、禁煙席ご案内」と声を出すなど、現場レベルで行動に落とし込めるものになっていなければなりません。
 
(2)タ…達成可能
簡単に達成できるような目標ではなく、だからといってハードルが高すぎる目標でもなく、努力を傾けることによって達成可能な数値で示される目標のことです。達成不可能な目標ほどやる気を失わせるものはありません。とても達成不可能なノルマを課されたために、ストレスにさいなまれたり、やる気を失って退職したりするケースは枚挙に暇がありません。
 
(3)イ…意欲的の定義と3つの要素
本人にとってやりがいのある目標。それには、切実で自発的な目標でなければなりません。
(2)の「達成可能な目標」と(3)の「意欲的になれる目標」はセットで提示されるべきものです。目標に対して意欲的になることによって、最初は達成不可能のように思われた目標が、達成可能な目標に転換することもありえます。
本田技研工業株式会社の創業者、本田宗一郎氏が「マン島レースで優勝しよう!」と熱く語りつづけたことに対して、従業員の圧倒的多数が「とても無理だ!」と思ったにもかかわらず、ついに達成してしまったケースがこれに相当します。
 
(4)テ…定量的
数値で測れる、あるいは、誰が見ても同じであることを証明できる、ということです。例えば、「毎月の新規契約件数5件」「毎朝1時間を英語の勉強にあて、テキストを4ページ学習する」「毎月3万円貯金をする」などです。
 
(5)キ…期限つき
目標を達成する期限がしっかりと定まっていることです。この場合大事なことは、最終期限から逆算して、(4)の「定量的」要素もとりいれて、中間点でチェックすることです。
仮に、ある男性が現在の体重88kgを12カ月後に72kgに減量するとします。その場合、6カ月後に80kgにし、1カ月あたり1.4kgの減量を目指すようにすると、より取り組み方が切実になります。
 
以上のように、「グ・タ・イ・テ・キ」の5つの要素を明確にすることで、実践すべきことが明確になり、やる気が喚起されるのです。
あなたも今日から何か目標を設定して取り組んでみましょう。「グ・タ・イ・テ・キ」という言葉を自分自身に言い聞かせながら取り組むことで、目標が目に見えて近づいてくることを実感できるはずです。
 
 
【出典】
PHP通信ゼミナール
“勇気づけ”で部下を伸ばす、組織を変える
数多くの企業や教育現場で導入されている「アドラー心理学」をベースに、部下との間に信頼を築き、“勇気づけ”によって個々の力を最大限に引き出すための考え方と手法を解説。人間性重視のリーダーシップを発揮するための実践的なスキルを身につけます。
 
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【著者プロフィール】
岩井俊憲 (いわい・としのり)
1970年、早稲田大学卒業。外資系企業の管理者等を経て、1985年、(有)ヒューマン・ギルドを設立。代表取締役。1986年、アドラー心理学指導者資格を取得。上級教育カウンセラー。アドラー心理学に基づくカウンセリングや公開講座、カウンセラー養成を行うほか、企業・教育委員会・学校から招かれ、カウンセリング・マインド研修、勇気づけ研修や講演を行っている。
主な著書に、『失意の時こそ勇気を』『アドラー心理学によるカウンセリング・マインドの育て方』(コスモス・ライブラリー)、『勇気づけの心理学 増補・改訂版』(金子書房)などがある。
 
宮本秀明 (みやもと・ひであき)
1982年、スタンフォード大学中退。広告業界を経て、研修業界に入る。数社の研修会社にて講師、営業を担当した後、2012年、(有)ヒューマン・ギルド法人事業部長兼シニアインストラクターに就任。ロジカルシンキング、ファシリテーションからマナー教育まで、幅広いコミュニケーションの研修を担当している。
米国と日本双方のビジネス経験を生かし、それぞれのよさを融合させた、和魂洋才型の研修プログラムを独自に開発、多くの企業や自治体で採用されている。受講生の目線に立った、習得しやすいカリキュラムの構成力、また、やる気を促す講師手法には定評がある。
 
永藤かおる(ながとう・かおる)
心理カウンセラー。1989年、三菱電機(株)入社。その後ビジネス誌編集、海外での日本語教育機関、Web制作会社など、20年以上のビジネス経験のなかで、人事・採用・教育・労務管理等に携わる。
どの現場においてもコミュニケーション能力向上およびメンタルヘルスケアの重要性を痛感し、勤務と並行して学んだアドラー心理学を生かして現在(有)ヒューマン・ギルドにてカウンセリング業務および企業研修を担当。
著書に『子どもを勇気づける教師になろう』(岩井俊憲との共著、金子書房)がある。

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