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部下への効果的なフィードバック

部下への効果的なフィードバック

(2015年1月 8日更新)

 
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部下に対して注意を与えたり指導したりする場合、その伝え方には工夫や配慮が必要です。伝え方によって、部下のモチベーションに影響することがあるからです。
通信ゼミナール『リーダーのための心理学入門コース』のテキストからご紹介します。

 

フィードバックの定義と具体的な要素

 
フィードバックとは何かについて、あえて次のように定義したいと思います。
 
フィードバックとは、「ともに育ちあおうとする仲間が、お互いのさらなる成長を願って行う建設的な意見の表明」である。
 
フィードバックには、「信頼感」「率直さ」そして「即時性」の3つの要素が必要です。
 
育ちあおうとする仲間の間に信頼感がないと、お互いが傷つけあうだけになります。心底お互いの成長を願うという思いを込めた、そのとき・その場での率直さに満ちたフィードバックであれば、そこに否定的な内容が含まれているとしても、ありがたい思いでそれを受けとめることができます。しかし、実際にはその反対が多いのが現状です。
 
例をあげると、フィードバックする側が、まるで自分が優位に立っていることを示すように批判するようなことです。言われるほうは、一方的に「ごもっとも」といった態度を示しますが、実はまったく学びにはなりません。
 
手順においては、多くのケースで「イエス・バット法」が用いられていることもフィードバックの効果を低めています。
 
「イエス・バット法」というのは、先に肯定的なコメントをしながらその次に否定的な内容を言うことです。否定的な言葉が結びにくることで、肯定的な前者を打ち消してしまう弊害があります。
 
 

効果的なフィードバックとは

 
そこで、フィードバックに関して2つの提案があります。
 
第1は、「自己フィードバック」を使うこと、第2は、「サンドイッチ式フィードバック」を使うことです。
「自己フィードバック」は、他者からフィードバックをする前に、まず当事者である本人に自分のことについてフィードバックをしてもらうことです。これを先にやることで、他者からフィードバックされて傷つく可能性が低くなります。一種の免疫力、言い換えれば心の準備をすることで、人の話を謙虚に受け入れることができるようになるのです。
第2の「サンドイッチ式フィードバック」は、ポジティブ→ネガティブ→ポジティブの手順によるフィードバックの仕方です。
 
 

建設的フィードバックの要件

 
ここであらためて力説しておきたいことは、フィードバックは、やり方によっては相手との信頼感を損ないかねないということです。相手に対する意見としてではなく、批判、時には非難として伝わることがあるからです。
 
上司から手厳しいフィードバックを受けて、上司の対応を腹立たしく思う部下はたくさんいます。批判された、屈辱的な目にあわされた、という思いがして怒りがこみあげてくるのでしょう。
 
それでは、相手に批判・非難と受けとられない建設的なフィードバックを行うには、何が必要でしょうか? それは、次の3つです。
 
1つめの要件は、「相互尊敬・相互信頼の雰囲気があること」です。
 
ともに育ちあおうとする仲間が、お互いのさらなる成長を願って行う相互尊敬・相互信頼の雰囲気が確認できれば、相手を傷つけることはないはずです。
 
2つめの要件は、「目標についてしっかりと合意していること」です。
「何のためにそのことをして、どういうねらいで率直なフィードバックをしているのか?」が明確であれば、批判のための批判は避けられ、意見の違いと思われたことが、実は富士山に登る場合の山梨側か静岡側かの違いと同様の、単なる目標に至る道筋での方法や手段の違いとして受容できるようになります。
 
3つめの要件は、「受け手側がフィードバックの意味・内容について高い価値をおく謙虚な姿勢をもつこと」です。
フィードバックが「良薬は口に苦し」に相当し、短期的には苦く感じられても、長期的な観点から「どこに、どんな意味があるだろうか?」「次のステップで生かせる点はどんなところか?」「自分の成長のために吸収できるところはどんなところか?」という思いで受け止めることができるならば、必ずや成長につながる体験になるはずです。これは、1つめ、2つめの要件が満たされていてはじめて、実現が可能になります。
 
 
<バックナンバーを読む>
管理者の立てる目標や指示は「グ・タ・イ・テ・キ」に

【出典】
 
PHP通信ゼミナール
“勇気づけ”で部下を伸ばす、組織を変える
数多くの企業や教育現場で導入されている「アドラー心理学」をベースに、部下との間に信頼を築き、“勇気づけ”によって個々の力を最大限に引き出すための考え方と手法を解説。人間性重視のリーダーシップを発揮するための実践的なスキルを身につけます。
 
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【著者プロフィール】
 
岩井俊憲 (いわい・としのり)
1970年、早稲田大学卒業。外資系企業の管理者等を経て、1985年、(有)ヒューマン・ギルドを設立。代表取締役。1986年、アドラー心理学指導者資格を取得。上級教育カウンセラー。アドラー心理学に基づくカウンセリングや公開講座、カウンセラー養成を行うほか、企業・教育委員会・学校から招かれ、カウンセリング・マインド研修、勇気づけ研修や講演を行っている。
主な著書に、『失意の時こそ勇気を』『アドラー心理学によるカウンセリング・マインドの育て方』(コスモス・ライブラリー)、『勇気づけの心理学 増補・改訂版』(金子書房)などがある。
 
宮本秀明 (みやもと・ひであき)
1982年、スタンフォード大学中退。広告業界を経て、研修業界に入る。数社の研修会社にて講師、営業を担当した後、2012年、(有)ヒューマン・ギルド法人事業部長兼シニアインストラクターに就任。ロジカルシンキング、ファシリテーションからマナー教育まで、幅広いコミュニケーションの研修を担当している。
米国と日本双方のビジネス経験を生かし、それぞれのよさを融合させた、和魂洋才型の研修プログラムを独自に開発、多くの企業や自治体で採用されている。受講生の目線に立った、習得しやすいカリキュラムの構成力、また、やる気を促す講師手法には定評がある。
 
永藤かおる(ながとう・かおる)
心理カウンセラー。1989年、三菱電機(株)入社。その後ビジネス誌編集、海外での日本語教育機関、Web制作会社など、20年以上のビジネス経験のなかで、人事・採用・教育・労務管理等に携わる。
どの現場においてもコミュニケーション能力向上およびメンタルヘルスケアの重要性を痛感し、勤務と並行して学んだアドラー心理学を生かして現在(有)ヒューマン・ギルドにてカウンセリング業務および企業研修を担当。
著書に『子どもを勇気づける教師になろう』(岩井俊憲との共著、金子書房)がある。

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