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女性社員を戦力化する研修プログラムと事例

女性社員を戦力化する研修プログラムと事例

(2015年3月31日更新)

 
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女性活躍支援の重要性が叫ばれて久しいですが、女性社員を戦力化するには「経営戦略」として取り入れ、教育・研修と並行して制度を整備することが求められます。また、研修課題として女性社員自身の「意識改革」を捉えることもポイントです。『実践 社員教育推進マニュアル』から、研修プログラムと事例をご紹介します。

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女性社員を戦力化する研修のプログラム例

 

【ねらいと概要】

・女性社員として期待される役割を認識する

・コミュニケーション力や部下・後輩指導への取り組みを促し、チーム力を高める

・自己のキャリアビジョンを明確に描き、自己革新計画を立てる

 

 

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女性社員戦力化の事例

団塊の世代の大量退職を前に、女性の戦力化に動いた企業がある。女性社員の管理者への登用、職域の拡大を通じて人材を育成し、人材不足を免れたとのことだ。この企業は先見の明があったが、ほとんどの企業は退職者の穴埋めを中途採用や新卒採用に頼ろうとして、人材の奪い合いとなっている。もう一度、社内の女性社員やOG社員を思い出し、本気で戦力化できないか検討してみてはどうだろうか?

 

【事例】生活日用品メーカーP社

管理職の24.8%が女性で、その4割に子どもがいる。生え抜き社員の昇進が基本だが、中途採用の女性も管理職に登用。ダイバーシティ推進を経営戦略のひとつとし、女性の戦力化へ積極的に取り組む。社員の約6割を女性が占めることもあり、2007年7月には社内常駐の看護師による「【仕事と子育て】カウンセリング」を導入し、両立支援にも力を入れる。各社員に数人のメンターやメンティ(メンターから助言を受ける人)がいてコミュニケーションによる問題解決を目指す環境がある。

(『日経WOMAN』より)

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「ダイバーシティ」とは、性別や人種・価値観の多様性を受け入れる在り方である。P社の事例は経営戦略として行われており、かなりの投資をしていることが窺える。「うちの会社ではここまで整えられない」という嘆きが聴こえてくるが、以下のような事例もある。

 

 

【事例】プレス金型設計・製作会社K社

自治体の補助金制度を活用し、男女問わず「ワーク・ライフ・バランス」を実現している。育児・介護短時間勤務制度により、個々の事情に合わせて勤務時間を調整できるようにしている。子どもの検診や予防接種・病気のときに利用できる有給の「看護休暇制度」で、子育て家庭の実態に寄り添った制度をつくる。男性の育休取得を奨励し、育休や介護休業の後の職場復帰講習を用意して「継続的な勤務」をサポートする。事業所内保育所を無償で利用できる。

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「うちは規模が小さいから女性の戦力化なんて無理」と思う会社に、K社の事例は「地方の中小企業(従業員30名)でもやればできる」と教えてくれる。この会社の男女比は5:5である。制度の導入後は製品ミスが減少し、社員の意欲も向上したそうだ。

 

女性社員戦力化研修の内容

女性社員を戦力化する研修は、「あなたたちは戦力ですよ」と伝えることから始まる。男性社員と同じように昇進を目指し、重要なポジションに就いて、意欲的に仕事に取り組む自分の姿が描けるような「意識改革」が必須となる。お手本となる女性幹部がいない会社であれば、全くイメージできない女性社員がほとんどだろう。盛り込みたい内容としては、以下が挙げられる。

 

【女性社員戦力化の研修例】

●意識改革

社内外のロールモデルによる講義、パネルディスカッションやインタビューの機会を通じ「活躍する女性」を身近に意識する。

●キャリアプラン

家庭と仕事の両方を含めたキャリアプランを作成し、目標を設定する。両立のための働き方を見直し、会社側にも制度を提案する。

●自己管理能力

家庭と仕事の両立のカギは「マルチタスク」を処理する能力である。時短の工夫や家事・育児・仕事の両立事例に工夫を学ぶ。

●専門性

「戦力」=「プロ」という視点で、担当業務のレベルを向上させるトレーニングを取り入れる。必要であれば資格取得をサポートする。

●リーダーシップ

指導力・決断力・観察力など、リーダーに必要なスキルを習得する。部下を動かすコミュニケーション能力を高める。

 

「女性らしさを活かした仕事」という言い方がなされるが、会社は「男女問わず職責に望むレベルは同じ」ととらえるべきである。女性社員の側にも「会社に来ている間はプロである」という意識を持つ必要がある。先輩女性社員の本音を聞き、両立は不可能でないと意識を変えてもらう。

 

【事例】コンサルティング会社A社の女性社員研修

コンサルティング会社A社では、女性の戦力化を重点課題において初の大掛かりな女性社員研修を行った。最初に、社の今後の女性の戦力化の施策とスケジュールを説明。会社の「変わる」姿勢を見せる。社内にロールモデルがいないため、女性の戦力化に成功している4社と活躍している女性プランナーを招いて、パネルディスカッションや講演を行った。その後は出産・育児をテーマにグループディスカッションを行い、夕食会で親睦を深めた。

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女性の戦力化では、会社の「過去・現在・未来」が問われる。過去を振り返っても仕方がない。「未来」の会社と自分のキャリアが描ける研修が、女性の戦力化では有効となる。前述の「キャリアプランの作成」を活用して、考える機会をつくろう。

 

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 
 
 
【著者プロフィール】
 
茅切伸明  (かやきり・のぶあき) 
慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 
平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 
平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子 (まつした・なおこ) 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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