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管理者に求められる姿勢と役割

管理者に求められる姿勢と役割

(2015年4月10日更新)

 
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管理者には、期待される役割とあるべき姿勢を理解し、経営の視点へと視野を広げ、リーダーシップを発揮することが求められます。しかし、ここに管理者として注意したい落とし穴があります。通信ゼミナール『リーダーシップ開発プログラム』(高橋健策 監修)のテキストからご紹介します。
 

部下を思い通りに動かそうとしすぎること

 
●部下は思い通りには動かない
管理者というのは、“人を動かすこと”が仕事だといわれます。“上司”と“部下”というように、管理者と部下との関係は、上下関係と考えられてきました。この考え方からすれば、指示によって部下を思い通りに動かすのが上司の仕事であり、それこそ管理者の力だ、ということになります。でも、本当に“部下を思い通りに動かすことができる”と、考えてよいでしょうか。
“人はあなたの思い通りには動かない”ことは、あなたが上司から「私の思い通りに動くのが君の仕事だ」と言われて、「はい」と、素直に聞けるかどうかを考えてみれば、すぐにわかることです。おそらく本心から“部下を思い通りに動かせる”と思っている人は少ないと思います。ただ、“部下が指示通りにやらなかっだ”“指示したのにやろうとしない”ということがあると、内心では“どうして私の言う通りにやらないのだ”と、まるで“部下を思い通りに動かすことができる”かのような気持ちになることがあるのではないでしょうか。
なかには、いつも“部下が思うように動かない”と、嘆いている人がいます。そんな人は、“指示通り動かないのは、部下が悪い。動けないのは、部下に能力がないからだ”、と考えてしまうのでしょう。その結果、もっと強く命令するか、“ああしろ、こうしろ”と、細かく指示したり、「期待通りの成果を上げない」「言ったことしかやらない」「指示待ち人間になっている」などと、不満を言うのです。挙句のはてには、「なんて私は部下に恵まれない上司なんだ」と嘆くことになります。
たしかに“人は思い通りに動かない”ものですが、仕事である以上、職場として決定したことは、その線にそって動いてもらう必要があります。だからといって、“人は思い通りに動くもの”と、考えてはならないのです。そんな思いが強く出れば出るほど、部下はますます思い通りに動かなくなるものと考えることです。仕事である以上、結果として動いてもらうにしても、“動くのが当然だ”ではなく、部下があなたの指示にそって動こうと思えるように導き、仕向けていくのがリーダーシップと考えるべきなのです。
 
 
●部下の知識・スキルを活かす
上司が部下を自分の思い通りに動かし、さらに間違いない成果を上げるには優れた知識・見識、的確な判断力や行動力など高度な能力・スキルが求められます。
すなわち、“部下は思い通りに動くべき”という考え方は、“上司は知識・情報・技能など、すべての面で部下より優れていなければならない”という点に行きつくことになります。そうでないと、リーダーシップを発揮できないからです。
しかし、本当に“すべての面で優れている”などということが可能でしょうか。
もしそんなことが求められるなら、“私より商品知識を持った部下には指導できない”“私より経験豊富な部下には指示できない”という悩みを抱え込む人も出てきます。でも、重要なことは、すべての面で優れていることより、ある面において自分より優れている部下の力を活かすことではないでしょうか。
部下が知識や情報を持っていることも多い時代です。管理者は、自分の知識・技能・経験などの範囲を超えるものを切り捨てるのではなく、会社の目標と結びつけて価値を生み出すことが本来の管理者の仕事だと考えればよいのです。
 
 

成果への焦りと結果主義への偏重

“評価されたい”“認めてもらいたい”という気持ちは、誰もが持っています。それは、“頑張るエネルギー”の源であり、多くの人にとって行動へのモチベーション(動機づけ)になるものです。
「苦しくても頑張って業績を上げたい」という言葉の裏側にあるものは、このような気持ちなのかもしれません。特に管理者のあなたにとっては、「職場の目標達成への責任を果たしたい」という気持ちと、誰もが持っている前向きな競争心が絡みあい、“認めてもらいたい”という気持ちがいっそう高まるのかもしれません。
厳しい時代であり、成果を急ぐ気持ちはわかります。ただ、そのことによって“結果主義への偏重”になっては、真の業績達成ができる職場をつくることはできません。また、部下だけでなく、あなた自身の成長にもマイナスになります。
経営の善し悪しが、結果で評価されることは間違いありません。しかし、仕事や経営は1回や2回、1年や2年だけの成功を求めているわけではありません。近年、多くの企業で導入された“成果主義”においても同じことです。成果主義は、たしかに成果としてのアウトプットを重視し、評価します。一そのため、“成果主義は結果主義と同じである”と誤解されることがあります。しかし本来、成果主義と結果主義とは、まったく違うものです。
結果主義とは、結果に至るプロセスは関係なく、最終結果だけを評価するものです。しかし、成果主義での成果とは、最終結果だけを意味しているのではありません。たとえ目標としての最終結果でないにしても、仕事のプロセスから得た学習効果や、未来につながる成果もあります。これらを含めて、今日だけでなく、明日の業績を上げられる組織活動をつくり上げることが、本来の成果主義の目的です。
良い成果は、的確な仕事のプロセスからもたらされることを忘れてはなりません。管理者であるあなたは「プロセスはどうでもよい。結果がすべてだ」とは、口が裂けても言ってはならないのです。それでは、マネジメント放棄と同じことになってしまうからです。
あなたがマネジメントしなければならないプロセスとは何でしょうか。次に示す点から現状を振り返ってください。
 
◆成果が上がっていない部下は、どんなプロセスで仕事をしているのか。
◆そのプロセスを十分に把握し、プロセスを改善するための指示や支援を行っているか。言い換えれば、あなたが行っているマネジメントプロセスに不適切なことや不十分なことがないか。
◆仕事のプロセスにおける問題を上司と共有し、上司からの支援を引き出しているか。すなわち“上司を動かすリーダーシップ”を発揮できているか。
 
 
もちろん、仕事のプロセスさえしっかりできていれば、必ず成果が上がるとはいえないことが、商売や仕事の難しさです。だからといって“仕事は結果だ。だからプロセスはどうでもよい”といえないのも、商売や仕事なのです。問題点を分析し、仕事の進め方を見直し、確実な手順を踏んだはずなのに、うまくいかないことも当然あります。でも、うまくいかないことを、プロセスのどこかに問題があると考え、プロセスの改善を追求することがマネジメントです。成果を急ぐあまり、“プロセス軽視”に陥ってはならないのです。
 
 
 
 
[出典]
 
Thinking and Training
 
リーダーに求められる知識とスキルを習得し、それを基に、自分の仕事に即したトレーニングプランを立案し、日々の仕事で実践することにより、組織を動かす自律的リーダーの養成をめざします。
 
 
 
 
 
[監修者プロフィール]
 
高橋健策 (たかはし・けんさく)
1948年、名古屋市に生まれる。1972年、関西大学工学部管理工学科卒業後、弱電メーカーおよび機械メーカーで事業計画、生産管理、生産技術の仕事に従事する。1978年、産業社会学研究室に入室。経営コンサルタント活動を始める。
人事管理制度の改善や財務管理、経営計画の策定と実践などを中心にした経営診断・改善業務および教育担当者養成研修、階層別研修を担当する。
著書に『新入社員研修マニュアル』(共著)、『成果主義経営マニュアル』(PHP研究所)

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