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初級管理者研修の意義とは

初級管理者研修の意義とは

(2016年11月14日更新)

 
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初級管理者研修では、受講者に会社が考える権限と責任を明確に伝え、グループディスカッションなどをとりいれて不安や悩みを解消する場とすることが大切です。

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管理者の権限と責任の明確化

管理者になったものの、最初は本人も周りも戸惑う場面が多く生まれるはずである。ある大手外食チェーンの社長が、トラブルのたびに相談に来る店長にこのようなセリフを述べていた。「いちいち社長である私の判断を仰ぎに来るなら、店長である意味がない。相談したいなら辞表を持ってこい」。このぐらい本気の指導を行えればいいが、その裏には「自分が責任を取る」「会社がフォローする」覚悟や愛情がなければ難しい。最初のうちはOJTが効果的だが、改めて会社側の考える「管理者の権限」と「果たすべき責任」を認識する場を研修として用意する必要がある。

 

【初級管理者研修の内容】

(1)会社側の考える管理者の「権限」「責任」を講義し、質疑応答を行う。

(2)管理者の不安や悩みを共有する、グループディスカッションを設ける。

(3)「現状把握」「目標設定」で課題とゴールを明確にし、行動スケジュールを描く。

 

現場に慣れない新任管理者を研修に集める以上、「実行性」が求められる。日々の業務の中では難しい「立ち止まって考える」「課題を改善行動に落とし込む」時間を提供することを目的にしたい。また、新任~3年目ぐらいまでの管理者の人数が多い企業であれば、先輩管理者をメンターとすることで、相談しやすい環境づくりを目指すことができる。

 

 

なぜあなたを管理者に選んだのか

管理者になってしばらくすると、自分の管理能力に自信を失ったり、部下のふがいなさに失望したりすることが多い。そういった新任管理者に対し、会社や上司がなすべきことは「きみをリーダーにした理由」を明確に伝えることである。「きみの資質のこの部分を評価して抜擢した、今は戸惑うだろうが、必ずあなたの成長につながるのだ」と伝えると、新任管理者は安心するだろう。その際には、現在の仕事ぶりや部下の評価について、経営者もしくは人事がこまめに情報収集をしなければならない。この「目をかける」という行為が、人材育成においては大変有効である。選びっぱなし、任せっぱなしで数字の結果だけを見るのは、選んだ側が無責任すぎるとしか言いようがない。

 

【「承認欲求」に応える】

「承認欲求」とは、自分の存在価値を「誰かから認められたい」という心理学用語である。最近、この「承認欲求」をモチベーション向上に取り入れる企業が増えてきた(『承認欲求』太田肇〈東洋経済新報社〉)。新任管理者が努力する姿や能力を「認めている」というメッセージを発信することは、彼が次に部下を承認する際のお手本となる。ぜひ取り組んでほしい。

 

 

新任管理者の悩みを解消する

新任管理者が抱きがちな3つの悩みと、ワンポイントアドバイスを参考にしてほしい。

 

(1)業務量の悩み

「急に増えた業務に対応しきれず、残業が増えて体力的・精神的に辛い」

→管理者になりたてだと「部下に気を使って仕事を頼みにくい」「自分がやった方が早いと考えて、仕事を任せられない」という状況に陥りがちである。自分の業務を棚卸しし、部下に任せる割り振りを「書いて」行うことを勧める。管理者は部下を使って目標を達成する人であることを忘れてはならない。

 

(2)コミュニケーションの悩み

「自分より仕事ができるベテランが部下に対して、指示がしにくい」

「個別の業務スキル」と「リーダーシップ」は別の能力である。もちろん、業務のレベルアップも必要だが、リーダーの仕事は「さまざまな能力の部下を統率してゴールに向かうこと」である。業務に関して分からないことは、素直に質問するよう指導する。

 

(3)経営者の方針に対する悩み

「与えられた目標・命令に納得がいかず、とても部下を動機づけすることができない」

新任・ベテラン問わず、管理者にありがちな悩み。経営者の方針に対して納得がいかないところを「筋道を立てて」説明してもらう。実際、数字だけでつくった目標が、現状にそぐわないこともある。考え方をうかがった上で、経営者の方針を理解してもらう努力が必要だ。説明を通じて「管理者は経営者の方針の代弁者である」ということを確認する。

 

 

その他、人間関係や時間管理の悩みなど、さまざまな悩みが日々生まれている。次の「リーダースキル・現状チェックシート」で自己採点をする中で、課題を整理して解決に向かう機会を設けるといいだろう。

会社としては「任命責任」がある。直属の上司との相談しやすい関係づくり、メンターを設ける、経営者と方針の意見交換をする、責任と権限を部下に至るまで分かるようにするといった、「管理者が育つ環境」を整備していただきたい。

 

リーダースキル 現状チェックシート

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※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

 


 

 

 

【著者プロフィール】

茅切伸明  (かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。 慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。

平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。

平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。

著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

松下直子 (まつした・なおこ)

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。

神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。

「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。

著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

 

課長職マネジメント革新コース

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