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人材育成を実効性のあるものにするには~麻野耕司

人材育成を実効性のあるものにするには~麻野耕司

(2015年9月 4日更新)

 
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人材育成を実効性のあるものにするには、相手に合わせた4つの状況別対応が求められます。リンクアンドモチベーションの気鋭コンサルタント・麻野耕司氏の著書『すべての組織は変えられる』からご紹介します。

 

*  *  *

状況別4つの指導方法――相手に合わせた指導法を探す

 

相手に合わせたマネジメントをするといっても、具体的なイメージが湧かないかもしれません。ここではそのイメージを確固たるものにしていただこうと思います。

1つの仕事を考えたとき、そこには2つの思いがあります。1つは当事者であるメンバーの思い。もう1つはそのメンバーを指導するリーダーの思いです。その思いがどんなものかによって、それぞれふさわしいマネジメントがあります。これが、状況によってマネジメントは変わるということです。

状況は4つあります。

〈状況1〉本人はその仕事をできないと思っている/リーダーも彼(彼女)はできないと思っている。

〈状況2〉本人はできないと思っている/リーダーはできると思っている

〈状況3〉本人はできると思っている/リーダーもできると思っている

〈状況4〉本人はできると思っている/リーダーはできないと思っている

この4つの状況の違いによって、マネジメントも変わってきます。順次説明していくことにしましょう。

 

状況別4つの指導方法

 

状況1は、メンバーが新入社員などのケースです。仕事のイロハから学ぶ段階ですから、本人はどうその仕事に取り組んだらいいかわかりませんし、リーダーもうまくやりおおせるとは思っていません。この場合のマネジメントのキーワードは「教える」です。具体的手順を1から丁寧に教えていく。そして、四の五のいわせず、その通りに実行させることです。

「自分がこうやりたいとか、なんでこれをやるのかとか、そういうことは抜き。とにかく、いわれたとおりにやってみなさい」というイメージです。

ベンチャー企業などでは、あえて自主性を育むためにこのケースでもいっさいをメンバーにまかせることもありますし、それには一定の効果があると思いますが、人材育成の投資対効果、効率の面だけを捉えると、基本はやはり「教える」です。

状況2は、仕事にも慣れ、手際もよくなって、自信も出てきた段階。上司はそろそろ一人でやらせることを考えますか、メンバーとしてはそれまでリーダーのサポートを受けてきたので、一人でやることにはまだ躊躇いがあります。このケースでは「励ます」マネジメントが必要です。

仕事への取り組み方、考えている手順をメンバーに尋ね、答えを引き出したうえで、

「それでいいと思う。がんばってやってみろ」

という具合です。コミュニケーションをとるうえで心がけたいのが“背中を押す”ということです。

状況3は、かなりキャリアを積んだ段階です。本人、リーダーともに「できる」で一致しているわけですから、ここは「まかせる」のがマネジメントの基本です。途中であれこれ口を出せば、本人は鬱陶しいと感じるだけでしょう。

ただし、プロセスには介入しなくても、結果はしっかり問う必要があります。「こういう成果を出してくれ」ということはあらかじめ伝えておかなければいけません。

最後の状況4は、本人は自信を持っているのに、リーダーから見ると「まだ、まだ」と思えるケースです。この場合のマネジメントは「正す」が主体となります。

「今のやり方ではうまくいかない。ここは少し修正したほうがいいぞ」

「重点のかけ方が違いはしないか? ここにもっと重きを置くべきだろ」

というふうに本人にとっての課題を指摘する。自信を持っているメンバーは突っ走りがちになりますから、適宜、正すアプローチをしていくことが大切です。

まず、この4つの状況別対応、マネジメントのバリエーションがあることを、頭に入れてください。そして、状況を正しく捉えて、「ここは“教える(励ます、まかせる、正す)”だな」と判断し、即、行動をとっていく。そうすることで、人材育成はきわめて実効性のあるものになります。

 

 

すべての組織は変えられる

【出典】

PHPビジネス新書

『すべての組織は変えられる』

~好調な企業はなぜ「ヒト」に投資するのか

成長企業が競って「ヒト」に注力しはじめた。気鋭の組織人事コンサルタントが語る新しい組織論とリーダーの仕事。

 

 

【著者プロフィール】

麻野耕司(あさの・こうじ)

(株)リンクアンドモチベーション執行役員。1979年兵庫県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。2003年〔株〕リンクアンドモチベーション入社。大手企業向けコンサルティング業務、人事マネジャー、社長室マネジャーを経て、中小ベンチャー企業向けコンサルティング事業の執行役員に当時史上最年少で着任。気鋭の組織

変革コンサルタントとして注目を集める。「組織風土」「人事制度」「人材開発」「人材採用」といった総合的な切り口から組織変革を手がけている。2013年には、

成長ベンチャー企業向け投資事業を開始。複数の企業の社外取締役、アドバイザーを務める。


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