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企業に続出する不祥事の根本原因とは何か?

企業に続出する不祥事の根本原因とは何か?

(2015年11月11日更新)

 
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資本主義経済が熟成して進化しているにも関わらず、企業に信じられない意図的で悪質な問題が起き続けています。あとを絶たない不祥事、コンプライアンス問題の根本原因について、海老一宏氏が解説します。

 
*  *  *
 

名ばかりの「コンプライアンス」

 
大手メーカーでの不正経理、別の企業では度重なるデータ改ざん、そしてまたマンション基礎工事の問題が出てきました。とんでもない問題が大手企業で続出しています。さらに海外でも某自動車メーカーの問題などは、一企業の枠を超え、ドイツ経済やEUにも影響する可能性も出ています。
 
21世紀に入りこれほど資本主義経済が熟成して進化しているにも関わらず、企業に信じられない意図的で悪質な問題が起き続けています。このような問題はいったい何故起きるのでしょうか?
 
私は人材紹介業として企業からの求人を受け、主に幹部や管理職人材の候補者と日々面談しています。その現場から感じるのは、一言で言えば大手企業から中小企業まで行き過ぎた成果の追求が社員の仕事への疲弊感を生み、経営陣や上司への不信感が高まっている現実です。成果主義が成果を生むどころか逆に企業体質を危うくしているのです。別な言い方をすれば会社の中に「物事の遊び」や「ノリシロ」がなくなって組織が脆くなっています。「社員の心」が通用しない人事管理や組織運営がもたらすドライすぎる企業統治が、まるで白アリが建物の土台や柱を蝕むように、目に見えないところで会社が崩壊する危機が少しずつ進んでいると感じています。
 
例えば、これほど過労死や残業代の未払いが問題となっているにもかかわらず、東証一部上場企業でも深夜まで残業している企業がまだまだあります。29歳の元CAで今は東証一部企業の人事をしている女性Yさんは、上司からどんどん仕事を命じられてほぼ毎日終電近くまで残業しているとのことでした。上司はまったく仕事を手伝ってくれないとのことです。また、パワハラも実態はかなり酷い企業があるようです。先日面談した日本の名だたる精密機械メーカーであるF社の元社員U氏(32歳)は、事業部が子会社になり、転籍の際に人事からの有無を言わさぬ高圧的な態度に驚き「この会社は会社の都合だけで、人をまったく見ていない」と感じたそうです。また中小企業のオーナー経営者の傍若無人ぶりもすさまじいものがあります。幹部には昼夜関係なくメールや電話をするとか、土日に会議を開くとか、社員に成果を上げさせるために徹底的に締めつけている社長もかなりいます。
 
この種の話は枚挙にいとまがありません。決して珍しくないと感じます。ここで全ては書けませんが実態はもっと生々しいものです。
 
ちなみに、もちろん社員側にも甘えがある方も多くいますが、そのようなことを割り引いても今の会社の現状は相当ひどいと思います。
 
このような話を転職者から聞くたびに「コンプライアンス」というのが名ばかりであり、企業に浸透していないと感じます。そもそも多くの企業の監査役が有名無実化している実態は昔から現在まで続いています。
 
このように短期的かつ過度な成果主義が度を越して、元々存在していた良い企業文化や風土を無くし、社員の愛社精神どころか誠実に仕事を行う意識も無くし、社員は自分のことを守るだけで精いっぱいという状況を作り出しています。上司は管理するだけでなく仕事をやってみせて、その問題の対処方法を教えると言う教育係でもあるはずですが、今や業績管理係となっています。これが「嘘をついてでも成果を出したように見せかける」という昨今の不祥事の温床となっているように感じます。
 
 

人を育てる風土や文化を作る

 
何かの構造物を作る時に「遊び」を敢えて設けるように、経営管理や人事制度にもそれは必要です。なぜ「遊び」がなくなったのか。私は組織の隅々にかつてあった、人と交流して人を育てる風土や文化がなくなったために、社長を始め経営陣にも余裕もなくなり、現場の意見、是々非々の意見が通らなくなったからだと感じています。社長を始めとした経営陣が現場を理解していない、これに尽きます。現場の意見が通らなければ、社員は会社を愛せません。やれと言われたことを出来るだけ楽に終わらせたいと思うだけです。余計なことをしないばかりか、サボったり、手を抜いたりします。会社への参加意欲がなくなるのです。
 
この問題を解決する一つの方法は、社長や人事が現場の話を聞き、そこから成果を上げるための良い土壌作りのヒントを感じ取ることです。決して社員を甘やかすのではなく利益の追求のためにも現場の実態を知り、社員が会社のために進んで意見を言い、前向きな仕事をするような文化や風土を作ることです。
 
会社の社長は、現場を軽視した短期的な利益追求の姿勢が大きなリスクをもたらしていることを自覚し、白アリをどんどん増やしているということを、最近の大企業の不祥事から学ぶ必要があると思います。
 
 
「大転職時代の人材論」一覧はこちら
 

 
 
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【著者プロフィール】
海老一宏 (えび・かずひろ)
人材紹介コンサルタント。キャリアカウンセラー。アクティベイト株式会社代表取締役社長。
1957年、宮城県仙台市生まれ。中央大学卒業後、東証一部上場企業 品川白煉瓦株式会社(現、品川リフラクトリーズ)に入社。人事、経理、営業に携わる。1992年に起業し、レンタルビデオ・CDショップを開業。1店舗からのスタートで、FC本部の経営まで事業を拡大。2000年に人材紹介会社に入社し、トップエージェントとして活躍。2005年に独立し現職に。財団法人みやぎ産業振興機構のビジネスプロデューサーも務める。エージェント歴は15年。面談者は6000名以上。エン転職コンサルタントで6年連続利用者評価NO.1(当社調べ)。
著書に『40歳からのサバイバル転職成功術』(ワニブックスプラス)、『一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと』(明日香出版社)。

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