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研修の効果測定のためのツール

研修の効果測定のためのツール

(2016年1月11日更新)

 
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研修の効果測定のために、受講者アンケートとあわせて実施されることの多い理解度テスト、インタビュー、職場での行動観察、ROI分析など、主なツールをご紹介します。
 
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理解度テスト

理解度テストは、研修前後にテストをする方法である。理解度や習得度を測定するツールとして欠かせない。この方法は、研修前に受講者の知識、スキルのレベルをテストしておかないと評価できない。研修受講後のテストと比較して、どのくらい向上したかを測定するためである。受講後の測定はいつ実施するかも決めておきたい。1カ月後なのか、3カ月後なのか、知識・スキルの定着として見るのであれば、3カ月後くらいが望ましい。語学研修やパソコン研修、システムの専門知識などであれば、検定試験の受験を促してもよい。
テストをするのであれば、目的を明確にして実施すべきである。目的を明確にしてテストの種類を選択し、実施の方法を考えるとよい。テストの実施方法を一覧表にしているので参考にしてほしい。
 
 
【理解度テスト活用例】
 
理解度テスト
 

研修受講者インタビュー

インタビューは、受講者に対して研修を受けてどのような気づきや学びがあったかを直接聞く方法である。研修前後の気持ちの変化や行動の変化を確認できると望ましい。個人別に深い内容で情報が得られるので本音に迫ることができ、評価の有効性が高い。しかし、受講者は良いことしか言わないこともあるので注意されたい。上司や部下など職場の評価があるとさらに有効性が高まる。この方法の問題点は、時間と手間がかかることである。
インタビューをする内容はアンケートの設問と同じものでもよい。
 
 

職場での行動観察

職場での行動観察は、何も教育担当者が観察しなくてもよい。職場の上司および同僚・部下に評価してもらうとよい。簡潔にしたいのであれば、事前に受講者の上司や部下・同僚などから受講者の行動や態度についてアンケートを収集しておき、研修の一定期間後、再度アンケートを取り、その変化を測定する。インターネットを使うと簡単に実施できる。質問項目は10項目以内絞っておいたほうが答えやすい。
できれば、現場に赴いて直接ヒアリングするほうが、研修効果を具体に測定できる。受講者の職場が分散しているとなかなか難しいので、その場合は、電話でもよいから直接聴くほうが望ましい。できれば、受講者本人がいないところでかけてもらう配慮が必要だ。
上司は研修効果を生むキーパーソンであるだけに、協力体制を組むためにも評価協力してもらいたい。部下や同僚にも評価してもらう360度評価もあるが、甘く評価したり、厳しくなりすぎたりと、恣意的になることが多い。人によっては、評価スキルがないこともあるので注意したい。
 
 

ROI分析 

ROI分析は、研修に要した費用がどのくらいの業績を生み出したかを測定するものである。そのためには比較する指標が必要となる。前年度のデータか受講グループと非受講グループのデータがあることが前提条件だ。ビジネスの成果のおもな測定項目は、売上・コスト・時間・回数などのハードデータを金銭的価値に評価しなければならない。
しかし、ROI分析でいつも問題となるのは、費用(投資)としてどこまでを含めるのか、納得のいく手法はまだ確立されていない。一般的には、研修費用として講師料、テキスト代、受講者と講師の交通費、会場費、宿泊食事代が直接的にかかる経費である。受講者の人件費や研修参加中の機会損失まで算出して含めようとすると難しくなる。ROI分析が複雑で、使いづらい理由はここにある。すべての研修でROI分析をすることは不可能であるから、重要性の高い「次世代リーダー研修」など、限られたものだけにとどめたい。
効果測定の方法について解説したが、効果測定を行うのは、研修の目的に対して成果を評価するためである。研修目的が売上アップにあるのなら、売上金額に影響を与える指標を測定するし、態度・行動のレベルアップを図るのなら、その態度・行動の変化を測定すべきである。効果測定の目的と測定ツールを明確にすることで、効果測定の精度が確実に高まる。
研修により経営戦略の達成を目指すのであれば、研修効果の測定企画を十分練らなければならない。研修の効果測定では次のような問題が頻繁に起こっているので、設計には十分に時間を費やしてもらいたい。教育者だけでなく、受講者、経営者、上司など皆が納得する研修効果の測定を目指していただきたい。
 
 
【効果測定を設計しないと起こる10の問題】
1)過去の効果測定の反省がなされていないため、アンケートの質が向上しない
2)その都度アンケートを作成しているため、内容にバラツキがある
3)過去のアンケートが保存されていないため、比較できない
4)アンケートの回収率が悪く、効果測定が精緻なものにならない
5)自由記述欄の評価が難しく、効果の出る改善ができない
6)理解度、習得度、行動を評価するのに非常に手間がかかる
7)研修の効果測定のノウハウが蓄積されていない
8)現場に研修効果がフィードバックされないので、協力が得られない
9)前任の教育担当者のノウハウが引き継がれない
10)効果測定に時間がかかるときは、途中で忘れられてしまう
 
 
 
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 

 
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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき) 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子(まつした・なおこ) 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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