社員は仕事への意欲でいくつかに分類できる。あなたはどうか?
2016年2月 9日更新
社員は仕事への意欲によって4パターンに分けられるといいます。社員の意識改革によって、買収した企業を次々と復活させている日本電産の永守会長兼社長のエピソードを、海老一宏氏が紹介します。
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快進撃を続けるカリスマ社長として有名な日本電産の永守会長兼社長は、企業の買収によって会社を大きくしています。「日本電産○○」という社名の付いている企業がそうです。日本電産と同じようにMAを活用している企業はたくさんありますが、買収した企業がどんどん伸びている企業はそう多くはありません。中には買収した企業が業績の足を引っ張っている会社もあります。では、いったい永守社長はどのようにして買収した企業を復活させているのでしょうか?
幹部社員に意識改革を促す永守社長の言葉
それは、まずはじめに幹部を含めた社員の意識改革を行うことだと思います。
それを裏付ける資料が私の手元にあります。今は日本電産サンキョーとしてグループの中核企業の一角を成している旧三協精機が、業績不振によって日本電産に買収された時に、全社員の前で行った社長訓話のメモです。
永守社長はまず、今、目の前にいる幹部・管理職にこう言います。「人の話を聞く態度として、腕を組む、ふんぞり返る、足を組むという姿勢は問題である!」
ビジネスマナーという基本的なことをまず取り上げて赤字企業の社員に喝をいれ、意識改革を説いています。
そしてその訓話の中で、実に見事に社員の気持ちに火をつけていきます。分かりやすく具体的な数字をもって、一人ひとりに「今、自分はこの会社の社員としてどうなのか?」ということを気付かせています。それは次の話です。
社員は仕事への意欲によって分類できる
永守社長は会社組織にいる社員は仕事への意欲において3つに分けることができるといいます。
1 自ら燃える社員 3%
2 人に火をつけられて燃える社員 80%
3 燃えない社員 17%
買収されてリストラの不安の中にいる社員に、能力がないことで辞めさせたりはしないが、この「燃えない社員」17%は排除すると言って、気持ちの切り替えを迫っています。
仕事ができない、能力や知識が足りないから辞めてもらうではなく、「何が何でも頑張ろう!」という意欲のないものは要らないということです。
おそらく社員は皆、自分は燃えていなかったと反省し、3%の「自ら燃える社員」になろうという意識が芽生えたと思います。
あなたは「火を消す社員」になっていないか?
内閣府の「ひと・まち・しごと創生本部」が進めているプロフェッショナル人材戦略拠点事業の宮城県のマネージャーで元ソニーのマイクロデバイス&ストレージ事業部長の加藤新一郎氏はさらにもう一つ付け加えて、
4 火を消す社員 若干名
がいるといいます。
このような人は、私のサラリーマン時代の経験でも確かに存在しました。会社の方針から仕事のやり方まで、いちいち評論したり批判したりするのです。完全な悪者にはなりたくないし、正論を言っているのを装うために、ごく稀に賛成していることも表明するので、周りの人は「はっきり意見を言う奴だが、何でも反対ではないようだ」と騙されてしまいます。
しかし、このような社員が、実は組織の悪しき非公式リーダーになっていることがあり、会社の方針、社長のやり方が浸透しないことがあります。
それなりに頭の回転が良く、口が達者なこのタイプの社員が出世することもあり、間違って幹部にまでなると会社はたった一人のために沈没する可能性が出てきます。会社にとって早い段階で教育し、意識を変えてもらうか辞めてもらうしかありません。
意見の異なる社員は大いに結構で、むしろ多様性は組織を強くしますが、「火を消す社員」は組織にとって危険人物なのです。
さて、あなたは今どこにいると感じますか?
もしかすると、正論を言っているつもりで実は燃えない社員より始末が悪い、隠れた「火を消す人」になっていないでしょうか?
どの企業、どの組織にいても、転職をしても地方や海外で働いていても活躍できる社員は、「自ら燃える社員」であること、人は行動の前に「意識・意欲」があることを永守社長は教えてくれています。