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役職者こそ直ちに「肩書の無い人生」の備えをせよ

役職者こそ直ちに「肩書の無い人生」の備えをせよ

(2016年5月13日更新)

 
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会社で肩書を得ている人も、いつか間違いなく肩書の無い人生が来ます。それに備えて、自分の居場所を見つけ、完成を目指して作り続ける人生を送りたいものです。海老一宏氏の解説です。
 
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肩書は人間的な評価ではない

前回は、「会社で肩書を求めるという意味」と題しまして、肩書の功罪を書きました。その中で後半に肩書の罪として会社外でも肩書を意識する問題を取り上げました。
幼稚園児でもあるまいし、肩書のついた名札を胸にぶら下げている人はいませんが、その名札が、さもあるかのようにふるまってしまう人がいます。家庭でも外でも弱い人間に尊大で、強い人間には卑屈になります。肩書を自分の人間的な評価と勘違いしています。本来、肩書を持つ人は、その逆でなければなりません。そして、それが上の肩書になればなるほど人間的に素晴らしい人として、会社を一歩離れると自然に振る舞えるように精進しなければなりません。
 
しかし、これが難しいことでもあります。肩書を得るとは会社で様々な苦労をしているということです。上に行けば行くほど自分ではどうしようもない責任を取ることにもなり、誰にもその辛さは理解されません。あるセクションの長と次長の差は、傍でみるよりも大きいものです。誰にも相談できない最終判断者であり責任者が長です。次長は長にいざとなったら相談できる存在です。
 
今回の「肩書の無い人生」とは聞き慣れない言葉かもしれません。
ここでいう肩書とは、学歴や資格、職歴の全てです。
 
前回お話したとおり、学生生活を終えて会社に入るとそこから肩書を求める人となり、それは重要であり必要な経験です。会社に入る前の学歴とあわせて、さらにMBAなどの資格も身につけているかもしれません。
しかし、いつか間違いなく肩書の無い人生が来ます。いえ正確にいうと前回も示唆したとおり、肩書のある時でもそれは場所も時間も空間も限定的なもので一歩会社を出たら他人には関係のないことです。
ここではさらに時間を経ての肩書の無い人生を考えたいと思います。
 
 

肩書が無くなる時は必ず来る

最初の会社で得た肩書は、例えば同じ会社で役職定年となれば多くの人は無くなります。会社の配慮で名ばかりの役職がついている場合もありますが、
事実上何も無くなったと考えて間違いありません。この時にあなたはどう感じるでしょうか?
肩書を意識して生きてきた大企業病の人は、大きなショックを受けます。部下がいないので、何をするにも自分でやらなければなりません。元部下に指示しても実質の権限はありません。使えるお金も無くなると、今までの取引先や銀座のママさんも、顔にこそ出さなくても今までと同じようには相手にしなくなります。まるで栄華を誇った貴族が都落ちしたような挫折感に襲われます。
次の職場を探すときにも、この肩書を意識しすぎて失敗する場合があります。
例えば、転職先での肩書が低いからと内定を辞退する人がいます。このような人は、過去の自分を評価されないことと、市場の評価とを混同してしまっているのです。
 

転職する人が抱える肩書の問題

私は、最初の会社から転職したら、それまでの肩書の悪しきプライドは捨てるべきだと思います。悪しきプライドとはその肩書に固執することです。逆にいいプライドは持ち続けるべきであり、それを糧に仕事に取り組んで欲しいと思います。つまり大きな会社で実力で部長まで昇進したのなら、仮に中小企業に課長で転職しても何も心配する必要はありません。また実績を出して部長になればいいのです。
この考え方を素直に持つ必要があります。事実多くの中途採用の求人企業の社長は次のように考えています。
 
「○○会社で部長で年収1000万でも内の会社では何も実績がない。やってみないとその評価は下せない。もちろん部長として期待はしているし、もっといえば経営陣で活躍するぐらいまで早期に実績を上げて欲しい」。
ところが、大企業の中級から上級管理職・経営層人材の中で中小企業に転職すると半年程度で辞めざるを得なくなる人がいます。
 
肩書に関係するその理由は大きく分けると2つあります。
 
1 肩書が高かった経歴の人も、実はゼネラリスト過ぎて仕事ができないタイプです。その亜種として仕事ができるがしないタイプです。仕事をしないとは信じられないかもしれませんが、人脈を使わないとか、実力を小出しにするとか駆け引きをする人が実際にいます。社長の戦略が納得できないから仕事もしないという人もいます。どうも社員としてのそもそもの自覚に欠けています。
 
2 次に肩書を引きずっていて上から目線で仕事をする人です。このタイプは「教えてやる」というコンサルタントになってしまいます。
社長から頼まれもしないのに自分は教育係と思っている人がいますが、私の経験では社長は入社したばかりの人に教育はやって欲しくないのです。教育者とは、この会社でも皆が納得する実績を示してこそできるものです。
 
転職したら、前の肩書は忘れることです。新入社員がすることは、何でもしなければなりません。掃除をするのも当たり前です。誰よりも早く出社して一番遅い人と帰るぐらいの気持ちがないと、たとえ素晴らしい経歴でも社員は本気で尊敬はしていません。
 
そしていつか仕事を本当に辞める時がきます。残るのは町内会の役職ぐらいかもしれません。その時に寂しさを感じるようでは、あなたはまだ肩書を引きずっているのです。
 

肩書を必要としない自分の居場所探しを

肩書の無い人生とは何もしない人生ではありません。自分の居場所を見つけて完成を目指して作り続ける人生です。そこに昔の肩書は必要ありません。有って邪魔にならならず利点があれば結構ですが、水戸黄門でもないのにいつまでも印篭に頼るような人生は、どこか狂っていると思います。
 
会社にいる時からこの肩書の無い人生は意識すべきと思います。
肩書の必要としない自分の居場所をぜひ探しおくことです。
 

 

「大転職時代の人材論」一覧はこちら

 

 

 
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【著者プロフィール】
海老一宏 (えび・かずひろ)
人材紹介コンサルタント。キャリアカウンセラー。アクティベイト株式会社代表取締役社長。
1957年、宮城県仙台市生まれ。中央大学卒業後、東証一部上場企業 品川白煉瓦株式会社(現、品川リフラクトリーズ)に入社。人事、経理、営業に携わる。1992年に起業し、レンタルビデオ・CDショップを開業。1店舗からのスタートで、FC本部の経営まで事業を拡大。2000年に人材紹介会社に入社し、トップエージェントとして活躍。2005年に独立し現職に。財団法人みやぎ産業振興機構のビジネスプロデューサーも務める。エージェント歴は15年。面談者は6000名以上。エン転職コンサルタントで6年連続利用者評価NO.1(当社調べ)。
著書に『40歳からのサバイバル転職成功術』(ワニブックスプラス)、『一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと』(明日香出版社)。

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