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なぜ社内講師は高い研修技術が評価されないのか?

なぜ社内講師は高い研修技術が評価されないのか?

(2016年5月 6日更新)

 
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社内講師として最も問われるのは、普段の「仕事ぶり」とその「人間観」です。社内講師の心構えをご紹介します。

 

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いい研修講師とは?

下記は、「いい講師とは?」の問いについての、人事担当者の回答である。

・自慢しない、奢らない、押し付けがましくない

・目線が受講者と同じ

・当たり前のことを、当たり前と思わずに伝えられる

・出し惜しみしない

・生き様がすばらしい

・真剣さと温かみ、受講者のためにやってくれていると思える

・裏表がない、普段からの生き方に好感が持てる

・ファンになれる、人として憧れられる、惚れられる ほか

いくらインストラクションの技術を身につけたとしても、それだけで「優秀な」講師になれるわけではない。社内講師の一番の難しさはここにある。

「エンパワーリング」という言葉がある。自らが力の源泉となって、メンバーの意欲・能力・自立心を引き出し、個人・組織の目標達成を目指す行動。つまり、自分が本気になることで、人や組織に力を与えることである。

自分が本気になっていない社内講師は、受講生に力を与えることは決してできない。まして「無気力」な講師を見て、どうして受講生がやる気になれるだろうか。受講生のやる気を高めたければ、まず講師がやる気を十分に発揮することである。

あなたは、自分の人生に「本気」ですか?

あなたは、自分の仕事に「本気」ですか?

あなたは、周囲の人々に「本気」ですか?

綺麗事だと思われるかもしれないが、教育や人材育成の世界から綺麗事を取り払ってしまえば、それで終わりであろう。人を動かせるのは、制度や仕組みではなく、やはり人なのである。

そして、受講者と講師の間には、信頼関係が不可欠である。それが指導力、影響力の源泉となるからだ。そして、人が人を「信頼する」ためには、知識・経験、人間性、包容力、情熱、向上心、表現力、計画性、状況分析力などが必要であると言われている。何より、講師自身が講師たるために日々努力し、研鑽していることが必要である。

 

受講者にやる気を失わせるのは容易

研修には、「受講者」「目的・目標」「講師」「プログラム」の4つの要素がある。このうちどれが欠けても研修は成り立たない。中でも「受講者」と「講師」は、生身の人間である。相性もあれば、それぞれの当日の体調もあるだろう。講師にしてみれば、「こんなに一所懸命やっているのに」「受講生にもうちょっと熱心さがあればいいのに」などと思うこともあるだろう。

忘れてならないのは、受講生がいるから研修講師の仕事があるということである。受講生は講師の仕事の目的そのものなのであり、むしろインストラクションのほうが手段になると言えよう。

社内講師は、次にあげる心構えを忘れてはならない。

 

【受講者に対する講師の心構え】

・受講生の立場や権利に対して、最大限の尊重を

・全受講生に公平に公正に対応、偏見やえこひいき、決めつけはもってのほか

・受講生に関心をもつ

・礼儀正しく、明るく、意欲的に(受講生は講師の鏡)

・ルールの厳守、時間厳守、配分の徹底を(受講生にだけ求めない、自分も)

・肯定的な表現で(否定的な表現は避ける)

・自分の間違いは、謙虚に認める

・初心忘るべからず

 

事前準備が成果を左右する

「段取り八分」「しっかりと事前準備をして、当日はどれだけ捨てられるかだ」と言われるように、研修では事前準備が大切である。では、いったい何を準備すればいいのか。

講師としては「研修で何をやるか」「どのようにやるか」が気になるところだろうが、「なぜ研修をやるか」をきちんと語れる社内講師であっていただきたい。なぜならば、「なぜやるか」が分かれば、「何をやるか」「どのようにやるか」は必然とついてくるからだ。そして、「なぜ」が分かれば、研修の禁じ手も見えてくるだろう。講師用の研修業務のチェックリストを挙げておく。

 

【研修業務のチェックリスト(講師用)】

研修業務のチェックリスト

 
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 

 
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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき) 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子(まつした・なおこ) 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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