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討議法~研修技法のポイントと課題

討議法~研修技法のポイントと課題

(2016年9月13日更新)

 
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「討議法」は、受講者個々の知識、経験、持ち味などから相互啓発の効果が期待できる研修技法です。討議法の活用ポイント、実施上のアドバイスをご紹介します。

 

*   *   *

 

研修講師の力量が問われる「討議法」

複数の受講者による多角的な視点から、あるテーマを討議によって掘り下げ、理解を深めながら解決につなげる技法である。講義法が講師からの一方通行な情報提供になりやすいことに対し、討議法では、受講者が与えられた課題やテーマについて自ら考え、結論を導き出していくことに特徴がある。受講者それぞれの持つ知識、経験、長所、持ち味などを互いに刺激し合って、集団としての考え方をまとめていく相互作用のプロセスの中で、相互啓発の効果を生むことが可能となる。ほとんどの研修の中に取り入れられており、また、討議を中心にして研修の全体を展開していくやり方も多くみられる。

ただし、声の大きい受講者にグループが引きずられたり、グループの中で無意味な主導権争いや不毛な葛藤が生じたりすることのないようにする。

また、表面的で当たり障りのない討議に終始することのないよう、講師がうまくファシリテート(調整)をしていけるかどうかというあたりに、講師の力量が問われる技法でもある。

討議法で、一部の人だけが話すのを避けるためにボールをひとつ用意して回し合い、ボールを持っている人が発言するというルールで討議を進める「発言ボール」という技法もある。

 

【対象】

・全社員

 

【効果】

・物事を検討する際の姿勢を養うことができる

・参加者の経験を共有できる

・自己啓発意欲を付与できる

・人間関係力を向上できる

・参加者の相互理解や一体感を促進できる

 

【長所】

・相互啓発の促進ができる

・参加者中心の進め方をするので、主体性と自発性が高まる

・押し付けではなく、受講者自身が自主的に決めたものとして積極的に受け入れやすい

・集団決定するため、結論が受け入れられやすい

・討議のプロセスで問題意識が高まり、自己啓発が動機づけられる

・研修終了後の行動に結びつきやすい

・チームワークや人間関係が向上する

 

【短所】

・比較的時間がかかる

・知識の体系的習得には適さない

・必ずしも質の高い結論が導き出されるとは限らない

・一部の人だけが話し、発言しない人がでる傾向がある

・抽象的、第三者的結論に陥りやすい

・結論がありきたりだとプロセスが活きず、実践につながらない

・内容より討議のほうに関心が行きがち

・参加者が討議課題に関する基本的な知識や経験を持っている必要がある

 

「討議法」 実施上のアドバイス

・討議が本筋から外れないように、討議前に枠組みやルール(意見の受発信、話し方、他者の意見の尊重、役割分担など)を明確にするとよい

・討議のテーマ(何について討議するのか)、アウトプットの方法を、最初に明確にしておくこと

・時間配分や1グループあたりの人数、グループ内のメンバー構成に配慮すること

・講師が、自身の知識や経験を最善のものとして教えないこと

・講師は中立的な立場を保ちつつ、積極的な介入は避けること。「聴き上手」に徹するとよい

・講師は、受講者の発言を促すために、場の雰囲気づくりをしたり、質問や板書を効果的に使ったりするとよい

・講師は途中、つかず離れずで全体の進度や進捗を観察しておき、討議を結論に的確に導く際の参考にしたり(討議の一般化)、討議後に講師コメントとしてのフィードバックに反映させたりするとよい

・想定していた結論を無理に押し付けないようにすること

・討議が紛糾した際は、早い時点で争点を整理すること(活発な討議と、紛糾・混乱を見極める)

 ※紛糾の原因は「前提条件の取り違え」「手段の目的化」「因果関係の未整理」など

 

【実施ステップ】

◇計画

1)研修の目的、討議の課題の明確化

2)研修の目的、討議の課題、受講者数に適した討議法の選択

3)討議の手順決め

・目的や討議手順の受講者への伝達方法

・時間配分の確認

・質問を出す手順、予想される反応や意見

・導き出すべき結論の確認

4)資料、準備物の確認

 

◇実施

1)導入

・雰囲気づくり

・ねらいや課題の明確化

・進行方法(役割分担等)や時間配分(討議、発表)の説明

2)討議

・参加者に自由に意見を発表させること

・参加者の意見に対しては、講師は公正・中立の立場を堅持する

・討議の経過を要約しながら進行を図る

3)結論づけ

・ねらいや課題に照らして評価し、結論に導く

・導き出した結論について、参加者に確認する

4)結び

・討議の結論にそって、今後、職場などで行うことを参加者に決めさせる

・講義を短時間行うなどして、結論を一般化、普遍化し、理解を深めさせる

・受講者の功をねぎらう

 

◇評価

・受講者は意欲的に建設的な内容の発言を行ったか?

・受講者全員がよく発言し、また討議は活発であったか?

・問題が討議されないまま残るようなことはなかったか?

・導き出された結論は、研修の目的に沿うものであったか?

 

 

質の高い討議を導くために

討議前にルール(意見の受発信、他者の意見の尊重など)を明確にしておく。ルールを記載したメモを配付したり、掲示したりしておくと効果的である。

 

【メモ(参考事例)】

「討議を進めるために」

この実習では、討議の効果を上げるために、次のことを念頭において進めましょう。

1)謙虚に相手の意見を聞くこと

2)意見は率直に述べること

3)要領よく話すこと

4)討議の本流から外れないこと

5)互いの人格を尊重すること

 

 

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

 


 

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき) 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子(まつした・なおこ) 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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