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どうしても部下の悪いところを見てしまう~コーチングQ&A

どうしても部下の悪いところを見てしまう~コーチングQ&A

(2017年3月10日更新)

 
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部下の指導育成をしていく上でコーチングが重要であることを理解し、職場に戻っても実践しておりますが、私の性格として部下の良いところよりも悪いところを見てしまいがちになり、結果として、叱ることが多々ある状況です。

部下の良い部分を見つけて、それを伸ばしていく、着眼点やコツのようなものがあれば、ご教示ください。

(門田三郎・家電量販店課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

コーチングは非常に有効なスキルだと思うが、いざ職場で実践しようとするとなかなか思うようにいかない――こうした趣旨のご質問やご相談は非常にたくさんあります。門田さんのご質問もこの範疇に入るといっていいでしょう。

こうしたご質問が多いのは、コーチングが、入り口はやさしそうでも結構奥が深く、幅も広く、なかなか全体像が見えてこない、その成果もすぐには見えにくい、ということが一番の理由のようですが、それともう一つ、長年慣れ親しんできたコミュニケーションや対人関係のスタイルがなかなか変えられない、ということも無視できません。門田さんもどうもここらあたりに引っかかっておられるようですね。

どうしてもこの壁が破れずに結局コーチングから離れてしまう方も少なくないようですが、門田さんにはぜひがんばってこの壁を乗り越えていただきたいと思います。そのために、いくつかアドバイスをさせていただきましょう。

 

相手の長所に目が向くように訓練する

どんな人にも長所と欠点、プラス面とマイナス面があります。門田さんは、これまでの人生経験・社会経験の中で、相手のマイナス面にまず目が向くという傾向がしっかりと身についてしまっているようですね。これは門田さんに限らず、多くの管理職に共通するようです。というのは、マイナス面・問題点のほうが目につきやすく、特に意識していなくてもすぐに見えてしまうからです。見えれば、すぐに注意して直してやろうと思うのが、これまた管理職共通の感覚でしょう。

これに対して、プラス面・長所のほうは、かなり意識を集中させて「いいところを見つけてやろう」という気持ちで観察しないと見えない場合が多いようです。ですから、「いいところを見つけてやろう」と意識して人を見る訓練を積み重ねることしか、門田さんのご質問への答えはないのです。

そこで、具体的なご提案です。門田さんの部下が何人いらっしゃるのかわかりませんが、一人につき一日一つ、プラス面、いいところを見つけることを日課にするのです。これを「美点凝視」といいます。ある会社で「美点ノート」なるものをつけているという管理職がいらっしゃいましたが、それを書き留めるのは非常にいい訓練になるでしょう。

とにかく、一人一つ発見しなければその日が終わらないぐらいのつもりで臨むことです。一カ月も続ければ、いいところを見る「目」「習慣」がきっちり身につくはずです。この間、マイナス面が見えても、よほどの問題でない限り、ぐっとこらえて無視してください。

 

相手の長所を見つけるコツ

ここでいう「いいところ」とは、その人の言動、態度表情、服装、考え方、習慣、仕事の成果など、すべてが対象です。例えば電話応対一つとっても、受話器を取るのが早い、受話器を取る回数が多い、声がはきはきと元気がよい、挨拶がきちんとできている、要領よく話している、切り方が丁寧、など、よく見ればいいところが見つかるはずです。今日はいつもよりハキハキ対応しているなと感じたら、それを言葉に出して伝えてあげてください。これが承認であり、それは、「もっとハキハキ話さんか!」と叱るよりもはるかに大きな効果をもたらすことが少なくありません。

要は、部下を「よく見る」ことです。それも、管理・監督・監視の眼でではなく、温かい関心の眼で見ることが大切です。その根底には、誰にも必ず素晴らしいところがある、それが自分にはまだ見えていないだけだ、という考え方をしっかりと根付かせておくことが必要です。

実際問題として、どうしてもよくないところが先に見えてしまうものですが、そこをがまんして「いいとこ探し」をしていくうちに、よくないところを上回るいいところがあることに気づき、その人に対する親近感や信頼感が徐々に高まっていくものです。

そして、上司がそういう眼で自分を見てくれていることが部下にも次第に伝わり、それに応えようとしていいところがさらに伸びていく、マイナス面が徐々に減っていく、というケースが多いのです。難しいことですが、「いいとこ探し」の習慣づけに取り組むことをお勧めしたいと思います。

 

【POINT】一日一つ「いいとこ探し」の習慣をつけよう

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修ベーシックコース

 

 


 

 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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