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部下に対する「傾聴」に自信がもてません~コーチングQ&A

部下に対する「傾聴」に自信がもてません~コーチングQ&A

(2016年1月13日更新)

 
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研修後、部下とのコミュニケーションは意識的にとるように努めています。

特に「傾聴」ということについては、部下からの報告・連絡時に極力相手の身になって聴くよう心がけています。

しかし、こちらとしては真剣に聴いてはいるものの、部下自身がちゃんと聴いてくれたと感じているか、理解してもらえたと感じているかはよくわかりません。

また、部下のやる気を引き出すためにどのような対応や助言がベストなのか、迷います。特におとなしい部下の場合、対話のペースもこちらからの一方的な流れになりがちであり、部下が何を考え、何を求めているかを把握するのは難しいと感じています。

(真田二郎・保険会社営業課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

真田さんは、コーチングスキルを日常の部下とのコミュニケーションで積極的に活用しながらも、その効果についていま一つ手ごたえがつかめていないという状況のようですね。これはコーチングを初めて学び、使い始めた方にほぼ共通の傾向で、基本的にはスキルの未熟さが原因になっている場合がほとんどのようです。

初心者なのですから、これはやむを得ないところで、今後時間をかけて実践体験を通じてスキルを磨いていただくしかありません。コーチングはそれくらい奥が深く、かつ幅広いのです。一応このことを前提としてお伝えした上で、真田さんの記述に沿ってアドバイスさせていただきましょう。

 

まずは傾聴の仕方を振り返ってみる

まず、こちらが親身になって聴いても部下がそう感じているかどうかがわからないということですが、これまでの真田さんの傾聴の仕方を振り返ってみてください。部下が話しかけてきたら仕事の手を止めてちゃんと聴くスタンスをとっていただろうか、相手の話に関心共感を示すような態度表情ができていただろうか、アイコンタクトはどうだったか、うなずきやあいづちはうまくできていただろうか、キーワードを繰り返していただろうか……。

こういったことにもし改善点が見つかれば、次回からそこを直すよう注意して取り組んでください。これらが一応できていれば、部下はまず間違いなく「ちゃんと聴いてもらった」と感じているはずですから、自信をもって続けてください。

そしてもう一つ、相手の話が全部終わったら、「要約・確認」を心がけてください。「要するに君の話はこういうことだね」「……というように理解していいかな?」といった具合です。これをきちんとやって、相手が「ええ、そういうことです」と反応すれば、相手は確実に「ちゃんと聴いてくれた」と感じていますし、真田さん自身も自分の聴き方や把握の仕方がこれでよかったと感じられるでしょう。

 

部下への対応の仕方は千差万別

次に「部下のやる気を出させるための対応や助言の仕方」ですが、これはいわばマネジメントスキルの極意のようなもので、簡単に教えたり学んだりできるものではありません。それに、テーマや相手の人柄、現在の状況などによって対応の仕方は千差万別です。世の中の管理職は皆、日々このテーマと格闘していると言っても過言ではないでしょう。

真田さんもこれまでの体験や知識をベースに、先輩・上司の助言や指導を得ながら、そして試行錯誤しながら、取り組んでいただくしかないと思います。ただ、部下の主体性を尊重することと、部下の成長を心から願うという姿勢だけは、絶対に必要だろうと思いますので、あえて付言しておきます。

 

「忙しいのだから早くして……」は禁句

それから「おとなしい部下」の場合ですが、確かに相手の意見や考えがなかなか把握できず、イライラすることもありますよね。しかし、こういう部下に対するときこそ、コーチングの最高の出番です。

特に傾聴と承認のスキルを総動員して、時間の許す限り根気よく、粘り強く、相手の話を聴いてあげてください。そして、「君はどう思う?」とか「君の考えを聞かせてくれないか」というように、やわらかく問いかけて、考えさせてください。間違っても「忙しいんだから、早く君の考えを言ってくれ」というような対応をしてはいけません。こういうタイプの人は、それがしたくてもなかなかできずに自分でも悩んでいるものですから、ますます追い詰めてしまうことになりかねません。「今答えられなければ、考えて明日にでも聞かせてくれないか」というように時間を与えるのも一つの手です。先に述べた「相手の主体性を尊重するスタンス」と「相手の成長を心から願う姿勢」があれば、相手にも必ずその気持ちは通じ、ボツボツとでも話をしてくれるようになるでしょう。

上司には耐えること、忍ぶことも求められているのです。上司はつらいよ、と言いたいところですが、そこをがんばって乗り越えていっていただきたいと思います。


 

【POINT】

対話の後に、自らの「傾聴」の仕方をふり返る習慣をつけよう

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。

営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。

現在、(株)PHP研究所客員。

 


 

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