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コミュニケーションの難しさを意識して疲れる~コーチングQ&A

コミュニケーションの難しさを意識して疲れる~コーチングQ&A

(2016年2月 1日更新)

 
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先日のコーチング研修受講以来、相手の立場に立って話を聞くようにしていますが、聞くだけで、明確なアドバイスができていない自分にいらだちを感じています。

コミュニケーションとは難しいものであると実感しています。それでもスタッフは話をしてくれるので、感謝していますが、コミュニケーションの難しさを意識しすぎて、最近は少し疲れ気味です。

(山田一郎・金融業・課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

うまくコーチングスキルが使えないために、コミュニケーションの難しさばかりが気になって、疲れてしまう……。これではコーチングを使うのがいやになってしまいかねませんね。しかし、コーチングとはそう簡単なものではないのだという認識をもたれたことは素晴らしいことです。初心者が「簡単だ」と思うことほど危険なことはないからです。

その上、さらに素晴らしいことがあります。山田さんが「相手の立場に立ち、話を聞いている」ということ、そして、スタッフの人たちが山田さんにいろいろ話をしてくれるということです。これだけでも、コーチングの土台はきちんとできていると思われます。まずそのことに自信をもってください。

 

部下が話しかけてきてくれる理由

山田さんは「聞いているだけで、明確なアドバイスができていない自分」と書いておられますが、それでもスタッフの人たちが話をしてくれるというのは、山田さんがちゃんと聴いているからです。少なくとも、スタッフの人たちは、「山田さんは自分の話をちゃんと聴いてくれる」と感じ、それが嬉しいからこそ、また話をしてくれるのです。ご自分では意識しておられないかもしれませんが、傾聴のスキルがかなりなレベルまで使われているのでしょう。素晴らしいことではないですか。

いかに上司とはいえ、テーマによっては的確なアドバイスができないケースはよくあります。しかし部下としては、上司が自分の話をちゃんと聴いてくれただけでも気分がすっきりするし、話しているうちに自分で自分の答えが見つかるということもよくあることです。ですから、「明確なアドバイスができない」ということにそれほどいらだちを覚える必要はないのではありませんか。

部下の話をちゃんと聴いた上で、自身の知識・経験からアドバイスできることであれば、山田さんもちゃんとアドバイスされることでしょう。

しかしそうでない場合、上司の沽券に関わるからと、裏づけも自信もない、いい加減な思いつきのアドバイスらしきものを伝えるよりは、

「このテーマは僕にも経験がないので、すまないが、いいアドバイスができそうもない。君自身はどうすれば一番いいと思う?」

のように、率直に自分の限界を認め、部下の考えを聴くほうが、信頼度・好感度ははるかに高くなり、やる気も高まるのではないでしょうか。

 

上司は、最終責任は自らにありと自覚する

上司だからといって、あらゆる面で部下より上でなければならない、常に部下より多くの知識・情報をもっていなければならない、というのは、誤った強迫観念です。

コーチングは「答えは相手がもっている」という考えに立っているのですから、相手の答えを引き出し、それが現時点で考えられるベストだと思えば、思い切って承認し、任せてみればいいのです。

しかし、その責任は最終的に自分が引き受けるというスタンスだけは崩してはなりません。それさえあれば、的確なアドバイスができない場合があることなど、大した問題ではありません。部下を信じ、部下の実践行動をサポートしてあげることで、上司の役割はきちんと果たせます。

自信をもち過ぎるのも困りものですが、山田さんはご自分のコミュニケーションスタイルにもっと自信をもってもいいのではないでしょうか。

ただし、コーチングそのものについていえば、山田さんはまだ初心者、修行中だと思います。その点は謙虚に自覚していただき、コーチングスキルの学習・向上に継続的に取り組んでいただきたいと思います。

 

【POINT】

人は「自分の話を聴いてもらえた」と感じると、また話したくなる

 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。

営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。

現在、(株)PHP研究所客員。

 


 

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