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部下の話を「効率よく聴く」ことは可能か~コーチングQ&A

部下の話を「効率よく聴く」ことは可能か~コーチングQ&A

(2016年3月14日更新)

 
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コーチング研修で学んだ内容は、後輩の指導等に役立つものと期待しております。ただ、日々の業務量が非常に多いため、ゆっくり後輩と話をする時間がつくれないのが悩みです。

どこの職場でもそうだとは思うのですが。そうした状況の中で彼らの率直な意見や考え方を効率良く聴くにはどうすればいいでしょうか。ご指導頂ければ幸いです。

(中田二郎・流通業・店長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

忙しくて部下・後輩との会話の時間がなかなかとれないというのは、まさにすべての管理職共通の悩みであるようですね。このこと自体を解決する一般的な方法論のようなものはおそらくありえませんので、冷たいようですが、それぞれの立場や状況に応じて工夫改善していただくしかないと思います。

 

二つの宝を手にする人・しない人

ご質問は、そうした状況の中で部下・後輩の意見や考え方を効率よく聴く方法はないか、ということですが、これも、いまだかつてそのような「方法」は見出されていないのではないでしょうか。

ではどうしようもないのか、というと、実はそうでもなくて、「考え方」を変えることで状況が変わることがありうるのです。そのことをお伝えしたいと思います。

ヒントになるのは、「部下の話は宝の山」という某大企業の社長の言葉です。

部下の話は、一見取るに足らないことのように思えても、また本人自身は気づいていなくとも、その裏側には、仕事に関する貴重な情報やヒント、マネジメントに必要な部下の本音などが潜んでいることが多いものだ、ということです。まずはこれが第一の「宝」です。

また、部下の側は、上司が話をちゃんと聴いてくれると自分が受け入れられたと感じ、自信とやる気が向上します。話を聴いてくれた上司に対する信頼感や親密感もアップし、この上司のためにがんばろうという気分が湧いてきます。総じて、部下のモチベーションは確実にアップします。これが第二の「宝」です。

部下の話を聴かない人、いい加減に聴いている人は、これらの宝を手にすることができないだけでなく、部下の心をどんどん遠ざけてしまうことになるでしょう。まず、このことを念頭に置いてください。

 

管理職本来の使命を再認識する

ところで、管理職という存在は、その職種やレベルによって差はあるものの、誰もがプレイヤーとしての側面をもっています。だからどうしても実務で忙しく、部下の話を聴く時間がとれないなどということになるのです。

しかし、管理職の最大の役割は、部下一人ひとりの力を最大限に引き出し、チームとしての成果を最大にすることです。管理職一人がどんなにがんばっても、複数の部下の力不足をすべて補うことなどできません。逆に、部下全員がフルに力を発揮すれば、管理職が当面やるべきことはグンと減り、将来に向けての戦略を考えるような余裕が生まれてくるはずです。

要は、管理職はプレイヤーとしての自身の力を発揮することよりも、部下の力を最大限引き出し伸ばすことにこそ精力を注ぐべきであり、その第一歩が先述した「宝」の発見なのです。

そう考えれば、管理職にとって部下の話を真剣に聴くことほど重要な仕事はない、といえるのではないでしょうか。忙しいから部下と話をする時間がない、というのは、自分には部下の話を聴く以上に重要な仕事がある、ということを意味していますが、それは本末転倒だということです。

 

聴くスキルより大切なこととは?

以上は「考え方」の問題であり、物理的に証明できるような類の話ではありません。しかし、部下の話をちゃんと聴くことが、部下のやる気と生産性の向上につながると確信できれば、部下の話を聴く時間を惜しむという感覚はなくなるのではないでしょうか。考え方の変化が、自らの行動の変化を促し、それが結果的にチームの成果につながっていく、という図式です。

そううまくいくものか、という疑問は当然でしょう。しかし、ちゃんと聴くことから始めなければお互いの理解の促進も信頼関係の構築も不可能だと断言して間違いないと思います。

忙しい実務を抱えている以上、現実にはなかなか難しいことだというのはよくわかりますが、だからこそ、こうした考え方を強く自分の心に植えつけて、日々自らに言い聞かせつつ、部下・後輩と接していくことが大切ではないでしょうか。聴くスキルよりも大切なものが、真剣に聴こうとする「気持ち」なのです。

 

【POINT】スキルに頼らず「聴こうとする気持ち」を大切にしよう

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

 


 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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