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相手を否定せずに指導するのは難しい~コーチングQ&A

相手を否定せずに指導するのは難しい~コーチングQ&A

(2016年4月26日更新)

 
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相手を否定せずに指導していく話術の難しさを痛感しています。

仕事意欲に欠ける者に意欲を湧かせる方法があればご教示願いたいと思います。

 
(小田二郎・メーカー営業所長〈仮名〉)
 

*   *   *

 

まず最初の点、揚げ足を取るようで恐縮ですが、「否定せずに指導する」とか「話術」という表現が少し気になりますので、そのことから書かせていただきます。

 

「否定」ではなく「肯定」で

「指導」という概念は、相手の問題点を改善させるという意味合いも確かにありますが、それは相手の「否定」の上に成り立つものではありません。相手が自らの問題点に気づき、それを自ら改善していこうという行動を起こす、そのための気づきのきっかけを与え、改善方向や方法についてアドバイスを与えるのが指導の本質です。主役はあくまで相手ですから、相手を「否定」してしまってはそもそも指導というものが成り立たなくなってしまいます。

もちろん、相手が知らないことは教える必要がありますし、向かうべき方向から外れたときには注意して気づかせる必要がありますが、それは決して相手の「否定」ではなく、相手には素晴らしい可能性があり、答えをもっているという「肯定」のスタンスに立ってこそできることなのです。

 

「指導」の本質とは何か

また、「話術」で相手を指導したり、変えたりすることは、決してできません。相手の成長を心から願い、そのために自分にできるアドバイスや協力は何でもしよう、という「心の姿勢」こそが肝要であり、その強い思いがあれば「話術」などなくても相手の心を動かし行動変容へとつなげることは可能です。

逆に、そういう思いもないのに話術によって相手を指導しようとすると、それは相手を自分の思う方向に動かそうとする「操作」になってしまい、本来の指導とは程遠いものになっていきます。

小田さんは何気なくこうした表現を使われたのでしょうから、こういう指摘は心外かもしれませんが、指導ということの本質をしっかり考えていただくのによい機会と考え、あえて指摘させていただきました。

 

部下の意欲を引き出す二つの要素

二点目のご質問ですが、これは要するに部下の「やる気」をどう引き出すかということですね。これはいわばマネジメントの根本テーマであると言ってもよく、そのために世の中のあらゆる上司・リーダーは日夜悩み、研鑽を積み、努力している永遠の課題であるとも言えるでしょう。

したがって、ここで簡単に「方法」をお教えすることは到底できかねますので、ご容赦いただきたいと思います。ただ、ご参考までに、部下のやる気・意欲を引き出す上で絶対に必要と思われる要素を二つ挙げておきましょう。

 

(1)「仕事の意味」の理解・共感

自分が担当する仕事には、会社や部門にとって、さらには社会にとって、どんな意味・意義があるのかをはっきりと理解し、それが自分自身の成長にとっても価値あることだと認識させることです。これが感じられなかったり、あいまいだったりしたのでは、決して意欲は湧いてきません。こうした点について、上司と部下との間でじっくり語りあうことも必要になるでしょう。

 

(2)上司がよきモデルに

旺盛なチャレンジ精神をもって目標に向かって懸命に努力し、困難に遭遇してもめげずに明るく前進していく姿を上司自身が示すことで、自分もああいう姿で仕事をしたい、ああいう存在になりたい、と感じさせることです。俗に言う「背中で教える」ということに近いといえます。そういうモデルが身近にいると、必ずいい影響が現れるものです。

 

この二つだけで部下のやる気や意欲が必ず向上するなどと言い切ることはできませんが、少なくともこの二つ抜きには、どんなスキルを使いこなしても、部下のやる気をアップさせることはできないと断言してもいいのではないかと思います。以上の点を参考に、ご健闘いただければ幸いです。

 

【POINT】「話術」だけでは人の心を動かすことは決してできない

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

 



 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。

 


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