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相手の意見を否定してしまう~コーチングQ&A

相手の意見を否定してしまう~コーチングQ&A

(2016年7月28日更新)

 
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相手の話しを聴くときはうまく相手の考えを引き出しているつもりでいるのですが、その後、自分の意見を言う時にどうしても相手の意見に対して否定するようなことを言ってしまい、その後で賛同するような話し方をしてしまうので、どうも気まずいことが多くなってしまいます。一応、気を付けてはいるのですが、なかなか直りません。

(岩田一郎・量販店店長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

コーチングを実践し始めたからといって、これまでの自分のコミュニケーションスタイルをすぐにがらっと変えることは難しいですよね。岩田さんもそういう点で戸惑っておられることと思います。

 

考えの「違い」を認めることから

コーチングで最も重要なポイントは、相手の話を否定しないで聴く、という傾聴のスタンスです。

情報や事実認識における相手の誤りは訂正する必要がありますが、その場合でも、「それは違うよ」とすぐに否定して教えるよりも、

「その点は○○じゃないかと思うんだが、どうだろう」

「私は○○のように聞いているけど、一度調べてくれないか」

などの調子で、相手が自分自身の認識を自ら確認するように問いかけるほうが効果的です。

より重要なのは、相手の意見や考え方が違っていると感じた場合でしょう。この場合こそ、相手の話を否定しないでいただきたいと思います。

否定というのは、こちらが正しく相手が間違っている、ということが前提になりますが、そもそも、意見や考え方に「間違い」とか、どちらが正しいということは言えないのであって、相手と自分の考えが違う、ということにすぎません。

その「違い」にこそ、新しい答えを導き出すヒントがあるのですから、「違い」を認めることからスタートしなければなりません。

そのためには否定ではなく、

「なるほど、そういう考えもあるか」

「ほう、面白い考え方だね」

といった言葉で、いったんは肯定的に受け止めることが大切なのです。

 

否定ではそこで話が終わってしまう

これは、相手の意見に全面的に賛同とか、了解とかいう意味ではありません。いったん受け止めた上で、相手がどうしてそういう意見や考えをもつに至ったか、その根拠や背景を聴くことが重要なのです。そこには、ひょっとしたらあなたがまったく知らなかった、あるいは考えもしなかった貴重な事実や発想があるのかもしれません。

否定してしまっては、話はそこで終わってしまってそうしたことを把握できないばかりでなく、相手のいらざる反発や抵抗すら招きかねません。それを解消するにはまた別のエネルギーが必要になります。無駄なことです。

 

考えを深めてもらうための質問法

とはいえ、多くの場合、上司にとっては、部下と自分の考えが違うというより、部下の考えが浅いためにその意見が取るに足らないと感じられるのだと思います。

その場合も、否定から入るのではなく、

「その意見だとこういう場合にはどう考えたらいいかな」

「君の提案を実現するには、どういう障害があるだろうね」

「こういう角度からも考えてみたらどうだろう」

というような質問やアドバイスを投げかけて、相手が違う角度から考え、さらに考えを深めるように働きかけることが大切です。

 

「ほめる」を先にする

なお、岩田さんは「否定めいたことを言って、あとで賛同するような話し方」をするために気まずくなることがあると書いておられますが、これでは結局OKなのかNOなのか、部下も岩田さんの真意をつかみかねて戸惑うことでしょう。

まず「ほめる(認める、賛同する)」から入り、その上で「改善提案」や「問題点の気づきを促す質問」を投げかける、その改善提案や質問に明確に答えられたらこちらも明確にOKを出す、という流れを意識してつくるようにしてください。

大切なことは、「ほめる(承認する)」が先、そして決して「否定」はしない、ということです。

自分の意見に対して否定されたり反対されたりすると、人はなかなかその声を自分の中に受け入れがたいものですが、自分がいったん相手から受け入れられる(認められる、ほめられる)と、相手の注意や反対意見も受け入れる余裕ができるものです。

以上のようなことを考慮に入れて、「否定」は決してしない、まず認めたうえで改善提案を、ということを自分に言い聞かせ、実践するように努めていただきたいと思います。

 

【POINT】「否定」ではなく「受け入れる」ことから始めてみよう

 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 



 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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