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相手の内面が読み取れません~コーチングQ&A

相手の内面が読み取れません~コーチングQ&A

(2016年9月14日更新)

 
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コーチングにはすごく魅力を感じ、できるだけ実践したいと思っていますが、難しさも感じています。

例えば、部下それぞれのよいところを見つけてほめることに注意し、おだやかに話すように努めていますが、相手がどこまで心を開いて話しているか、相手の本音は何なのか、なかなか見極められません。

表面だけで読み取ることでいいのでしょうか。

なお、コーチングの時間については、もっと話せる機会を作りたいと考えていますが、勤務時間中は仕事に追われている状態です。今までは、年に2回、個人面談として業務や私的なことで悩みや考えはないかと20分ほど話す機会を設けておりましたが、さらに朝の出勤時などの表情、声などにも注意して話しかけるようにしています。

(沼田三郎・サービス業・課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

コーチングの基本が「傾聴」であることは、研修で学ばれたとおりです。

 

「聞く」と「聴く」の違い

この「聴く」は、「聞く」とは根本的に異なり、後者が耳に音が入ってくるといういわば受動的な聞き方であるのに対して、音や相手の声だけでなく、その裏側にあるもの、つまり相手の気持ち、心理状態、感情といったものまでを聴き取る、ということを意味します。気持ちや感情は耳では聞けませんから、目と心を相手に向けて、真剣に、全身全霊で読み取る姿勢が必要です。

これが「聴」という文字の意味であり、コーチングの基本です。そして、本当に真剣な気持ちで相手に目と心と耳とを向けて聴けば、相手の表面だけではなく、その内側の本質まで把握することは必ずできます。

沼田さんが「なかなか見極めができない」と書いておられるのは、コーチングの初心者でありこれまでそういう聴き方をしてこなかったのですから当然のことですが、意識して全神経を相手に向け、その表情や身振り、声のトーンなどに注意を払う習慣をつけていけば、必ずできるようになります。

といっても、相手のすべてがわかると言っているわけではありません。そんなことは不可能です。しかし、仕事に必要な範囲で相手の真意をみ取ることは、それほど難しいことではありません。ぜひ継続的に努力してください。

 

「ど」のつく質問を心がける

また、話す時間がなかなかとれないということは、現場第一線の管理監督者に共通の悩みです。しかし、まとまった時間をとらなければコーチングができないかというと、そうとは限りません。もちろんきちんとしたコーチングは無理ですが、ほんの二、三分でも、コーチングスキルを使ってより有効なコミュニケーションをとることは可能です。

沼田さんが書いておられるような、出勤時の挨拶や声かけなども大いに有効ですが、それに加えて、「どつき質問」を一つだけ返す、という練習をしてみてください。部下が「これ、どうしましょうか」と聞いてきたら、「こうしたらいいよ」と教えたり指示したりする前に次のように質問するのです。

「君ならどうする?」

「どういう方法があると思う?」

また、何か提案してきたら、それは無理だとかだめだとか言う前にこう質問してみましょう。

「その提案を実現するには、どんな障害があるかな?」

このように、「ど」のつく質問を一回だけ返すのです。二つも三つも質問する必要は、当面はありません。まずは沼田さんがそういう質問をすることに慣れることです。

そのうちに部下のほうも慣れてきて、自分の意見や考えを予めまとめてから持ってくるようになります。そうなれば、もっと突っ込んだ質問を続けることができるようになるでしょう。

こういう一つのちょっとした質問で、部下との関係は大きく変わり始めます。傾聴や承認のスキルをベースに、できるだけいい質問をしてあげられるよう、毎日訓練し続けていただきたいと思います。必ず好ましい変化が生まれてきます。たゆまずがんばってください。

 

【Key Word】

限定質問・拡大質問

コーチングの最重要スキルである質問は、大きくこの2種類に分類できます。

「限定質問」とは、答えが限定(特定)されており、“イエス”か“ノー”、あるいは事実をそのまま答えるような質問です。記憶さえしていればすぐ答えられるのが特徴で、主に事実や意思の確認に使います。

「拡大質問」は、相手の考えを自由に答えさせる質問で、答えの幅が広く、すぐには答えられないのが普通です。そのために、相手はより深く、創造的に考えるようになるので、コーチングでは意識的にこの質問を多用します。



【POINT】「どうする?」「どんな?」のような「ど」のつく質問で相手の自発性を促そう

 

 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 



 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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