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対話時間のつくり方を教えてほしい~コーチングQ&A

対話時間のつくり方を教えてほしい~コーチングQ&A

(2016年10月25日更新)

 
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現在私が担当している店は、社員に欠員があり、全員が多忙をきわめています。そのような状況下、通常業務の中で部下と対話を行なう時間の生み出しに苦慮しています。勤務時間以外でもコーチングを行なうことは、相手の都合が良ければ可能なのでしょうか。

(浅田三郎・自動車販売会社支店次長〈仮名〉)

 

 

*   *   *

 

抽象的なご質問なのでお答えも一般論になりますが、アドバイスさせていただきましょう。

 

対話時間の不足を補う三つの方策

部下の人数や勤務形態などによって差はあるものの、部下と会話する時間がなかなか取れないというのは、貴社に限らず多くの管理職共通の悩みです。これに関しては、一応、以下の三つの対応策が考えられます。

 

(1)とにかく声をかける

部下に対して、日常の挨拶や簡単な声かけを基本に、指示する前にひと言質問を投げかける、といった、いわばワンポイントコーチングを実践することです。

とにかく、毎日、できるだけ多くのメンバーに、ほんのひと言でもいいから声をかけるよう心がけてください。このこと自体がコーチングの効果を生むことはあまり期待できませんが、話しやすい雰囲気づくりには効果があり、コーチングの土壌づくりになると言えるでしょう。

 

(2)面談時にコーチングスキルをフル活用する

目標設定面談、評価面談など、年に何度かは業務上定められた面談の機会があることと思います。

この時間を、従来の「説明・伝達」中心から「質問・傾聴」中心へと軸足を移すのです。面談時間がどうしても長くなるというマイナス面がありますが、そのマイナスを補って余りある三つの成果が期待できます。

それは、

イ.相手の考え、本音がわかる

ロ.相手のモチベーションアップにつながる

ハ.浅田さんに対する相手の信頼感・親密感がアップする

の三つです。

 

(3)勤務時間外の時間を活用する

これは浅田さんのご質問にもありますが、大いに活用すべきです。浅田さんがお酒が好きで、相手もそうであれば、ノミュニケーションも大いに結構でしょう。ただし、基本的な留意点が二つあります。

一つは、無理に誘わないこと。仕事ではないのですから、相手の都合や意思を優先してください。

もう一つは、説教や自慢話はタブーで、相手の話を聴く姿勢に徹することです。

この二つの条件を満たすためには、誘うときに、例えば、

「今の職場の問題点について少し意見を聞きたいんだが」

「職場風土の改善について相談したいんだが」

というように、君の意見・考えを聴きたいというスタンスを明確に示すこと、そして実際にそういう話題をメインにすることです。

上司に誘われると警戒心を持つ人も多いので、こういう配慮も忘れないでいただきたいと思います。

 

上司の役割とは何か

最も大切なことは、「上司にとって、部下の話を聴くことは最優先課題である」というスタンスを浅田さんの心の中につくりあげることです。

実質的に仕事をしているのは部下であり、その部下が最も仕事をしやすい状態、能力と主体性を最も発揮しやすい状況をつくることこそが上司たるものの最大の役割です。そのためには「聴く」ということが絶対に不可欠なのです。

このスタンスがあれば、改めて「対話の時間」を生み出そうとしなくても、有効なコーチングが自然にできるようになるはずです。そう信じて、がんばっていただきたいと思います。

 

【POINT】リーダーとして部下の話を「聴く」ことを最優先しよう

 


 

【Key Word】チャンクアップ・チャンクダウン

「チャンクアップ」とは、多くの具体的な事柄を、より大きな、あるいは包括的・抽象的なイメージや概念にくくり上げるためのプロセスです。

具体的で小さな目標を達成していくことによって得られる夢やビジョンなどの包括的イメージを明確にしたり、細分化されたさまざまな業務を包括する組織のビジョンを明確にしたりすることです。

「チャンクダウン」はこの反対で、包括的・抽象的な概念を具体的な言葉や方法などに落とし込むプロセスで、これによって具体的な行動が起こしやすくなります。

このプロセスの多くは、いずれも、相手への質問という形で進められます。

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 



 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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