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相手の目を直視して話してしまう~コーチングQ&A

相手の目を直視して話してしまう~コーチングQ&A

(2016年11月 8日更新)

 
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・部下と話をするとき、意識して相手から目線を外そうとしているのですが、どうしても相手の目を直視して会話してしまいます。

・どうしても相手の話を最後まで聞けずに、途中で自分の意見を言ってしまいます。

・相手の動きに合わせたり、相手のことばをオウム返ししたりすることが上手くできません。

(飯田二郎・商社営業課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

飯田さんは、特に傾聴のスキルの実践面でご自分の問題点に気がついておられるようですね。

気づくことは改善への第一歩ですから、大変結構なことです。コーチングを身につけようとする人は誰でも、多かれ少なかれこうした「壁」にぶつかり、それを努力して乗り越えることでスキルを自分のものとしていくわけですから、ここであきらめずに、がんばってクリアしていっていただきたいと思います。

では、順次アドバイスさせていただきましょう。

 

部下に圧迫感を与えないように

第一項目はいわゆるアイコンタクトですね。相手の目を見て話を聴くというのは、相手の話に対する関心・共感を示す上で非常に大事なことです。意識して目線を外そうとしておられるようですが、それはなぜでしょうか。その必要はありません。

ただし、相手の目を直視したままですと、相手には相当の圧迫感を与えてしまいます。特に相手が部下・後輩の場合には、いたたまれなくなってくるでしょう。ですから、相手の目を中心に、おでこからネクタイの締め際ぐらいまでの範囲で、少し目線を上下させるように意識してください。

相手の目を見るのは、会話の時間の三分の一から半分ぐらいをめどにするといいと思います。なお、視線を左右にずらすと、関心がよそに移ったという印象を与える場合がありますから、上下が望ましいと覚えておいてください。とにかく、意識して練習することです。

 

コーチングと指示命令の使い分けについて

第二項目は、傾聴のスキルで最も避けるべきことです。しかし、時間がない時や、相手の話がだらだらとして要領を得ないときには、つい口を挟みたくなることがあるのはよくわかります。

そういう場合には、

「すまないが時間がないんで早く結論を言ってくれないか」

もしくは、

「わかった。それはこうしてくれ」

というように、途中で発言したり締めくくったりしてもいいと思います。

というのは、飯田さんはコーチである前に管理職・上司であるわけですから、常にコーチングを使い続けなければならないなどということはないのです。マネジメント上必要であれば、どんどん指示命令しても構いません。それが仕事なのですから。

ただし、相手の自主性や能力を本当に発揮させ伸ばしていこうと思うなら、可能な限りコーチング的な接し方をすることが望ましいのです。このことをよく心得た上で、状況に応じて使い分けていただきたいと思います。

 

基本をマスターすればサブスキルは自ずとついてくる

第三項目の前半は、いわゆるペーシングのことですね。相手の話し方や声のトーン、姿勢、身振りなどに合わせると、相手が話しやすくなるのです。また、後半の「オウム返し」は、キーワードのくり返しのことでしょう。これも傾聴のスキルの一つです。

いずれもうまくできるに越したことはありませんが、現時点では、あまり意識する必要はないように思います。

何といっても飯田さんはまだコーチング修行をはじめたばかりなのですから、そうした細かなサブスキルよりも、相手の話に興味関心をもって全部聞くという傾聴の基本スタンスをしっかりととることに意識を集中すべきでしょう。それさえできれば、サブスキルは必要最低限のレベルで自然にできるものです。

逆に、そうしたサブスキルを使うことに気を使っていると、本来の傾聴のスタンスが不十分なものになりかねません。サブスキルはいずれしっかり身につけるとして、まずは基本スタンスが自然にとれるようになることを最大課題としていただきたいと思います。

なかなか思うようにいかないことも多いと思いますが、相手にとっても自分にとっても必ず大きな成果となって返ってくると信じて、たゆまず努力し続けていただければ幸いです。
 

【POINT】細かなサブスキルよりも、まず、基本的なスタンスをしっかり身につけよう

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

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【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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