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どこまで指示・アドバイスすべきか~コーチングQ&A

どこまで指示・アドバイスすべきか~コーチングQ&A

(2015年11月24日更新)

 
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コーチング研修を受講してから3カ月弱が過ぎました。この期間、私自身「部下の能力を最大限引き出しながら、自ら考えて行動できる人材を育成する」ことを目標として、積極的に部下と接する機会を設け、一人ひとりの目標を達成できるように取り組んできました。
その中で、以下のようないくつかの疑問が浮かんできました。
・部下の能力を最大限引き出すために、どのくらいまで目標に対するアドバイスを行なうべきか?
・コーチングとアドバイスは、ある程度、線引きをしたほうが良いのか否か? 
・かかわっていくための期間・周期は考えたほうが良いのか?(目標達成まで責任を持つべきか?)
以上の点についてご教示をお願いいたします。私自身の性格で、相手にアドバイスし過ぎる傾向にありますが、あまりきめ細かく行なうと自立型人間を形成するうえで弊害のようなものがあるのではないかと感じたためです。よろしくお願いいたします。
(福田三郎・信用金庫課長〈仮名〉)
 
*   *   *
 
研修後、福田さんは積極的にコーチングの実践に取り組んでおられるようですね。素晴らしいことだと思います。ぜひ継続していってください。
 

コーチングに縛られない

さて、列記されているご質問のポイントは、上司としての部下へのアドバイスや指示と、コーチングとの線引きをどうするか、ということですね。これはコーチングを学び使い始めた管理職の方々の多くに共通する「迷い」であるようです。
この点についての“原則”を申し上げれば、上司はあくまで上司(マネジャー)であり、部下を通じて成果をあげることを常に第一義とする、ということです。
そのために有効なスキルは何でも使えばいいのであって、コーチングもそのためのスキルの一つにすぎません。ここがプロのコーチと、コーチングを使う上司との決定的違いです。要するに、上司はコーチングにガチガチに縛られる必要はないということです。
とはいうものの、コーチングが部下の自主性と可能性を伸ばし、長い目で見れば必ず成果の向上につながる素晴らしいスキルであることは間違いありませんから、コーチングスキルを磨き続け、できるだけ多くの場面でコーチングを活用するように心がけていただきたいと切に願っています。
 

部下の考えを「聴く」ことを忘れない

さてそこで、少し具体的なアドバイスをさせていただきましょう。上司は、部下が目標達成・課題解決に近づくために、自らの経験・知識の範囲で可能な限りアドバイスや指示をすべきですが、その前に、必ず一度は部下の考えを聴くという習慣を身につけていただきたいと思います。
「どんな方法が考えられる?」
「他に方法はないだろうか?」
「どれがベストだと思う?」
「この方法でやれると思うかい?」
「何か見落としているものはないかな?」等々。
ほんのちょっとした質問を投げかけ、相手の考えをもう一歩深めさせる、そこで出てきた相手の答えに対して承認するか、不足であればそこでアドバイスや指示を与える、という流れをごく自然にできるようにするということです。
 

コーチングマインドだけは忘れない

このような意識をもって接すれば、「アドバイスしすぎる」というご自身の課題もかなり改善されるのではないでしょうか。
とにかく、コーチングをいつまでやるとか、どこまでやるとか、厳密な線引きなど考えず、相手に考える機会をできるだけつくってあげるというスタンスを取り続けることです。
福田さんは失礼ながらまだ「コーチング修行中」の身ですから、すべてをコーチングで解決しようなどと考えず、これまで身につけてこられたマネジメントスキルにコーチングもプラスする、ぐらいの気軽な気持ちでコーチングを使ってもらえればいいのではないかと思います。
ただし、部下には大きな潜在能力がある、必ず答えを持っている、という「信念」だけはしっかりと持ち続けてください。これが「コーチングマインドをもつ」ということで、コーチングスキルは未熟でも、このマインドさえしっかり保ち続けていれば、必要な場面で自然にコーチング的なコミュニケーションがとれるようになるはずです。
スキルは気長に磨いていっていただけばいいのですが、マインドだけは、今この時点で改めて自分の心の中にしっかりと根付かせていただきたいと思います。
 

コーチングの基本スタンス

なお、福田さんのご質問の中に「目標達成まで責任を持つべきか?」という文言があります。これが、「コーチはクライアントが目標を達成するまで責任をもつべきか」という意味であれば、そのとおりです。
コーチはクライアントに対して「“レッツ”のスタンス」「味方のスタンス」を失ってはなりません。言い換えれば、「最後まで一緒にゴールを目指す」ということで、これはコーチの基本スタンスです。
「責任」という言葉は少しそぐわないように感じられるかもしれませんが、それぐらいの意識がないとコーチングは成り立ちません。まして、上司であればなおさらです。
そういうつもりで、今後の部下指導や日常のマネジメントに取り組んでいただければと思います。
 
 
【POINT】
コーチングとは、最後まで一緒にゴールを目指していくためのスキルである

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。

営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。

現在、(株)PHP研究所客員。

 


 

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