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自分より年長の部下とのコミュニケーション~コーチングQ&A

自分より年長の部下とのコミュニケーション~コーチングQ&A

(2017年5月 2日更新)

 
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年上の部下に対するコーチングについて、注意点・要点を教えてもらいたいです。数カ月ほど前に人事異動があり、現在新しい職場環境で仕事をしています。

部下も初めて一緒に仕事をする人ばかりなので、1人ひとりの能力・性格等に関心を持ち、観察していますが、その中には年上の人も在籍しています。よろしくご指導のほどお願いいたします(上田三郎・サービス業・課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

新しい職場に移られたばかりで大変でしょうが、積極的にコミュニケーションをとってメンバーの性格や考え方、能力などを早く理解把握するとともに、「上田さんは話しやすい人だ」「上田さんは人の話をよく聴いてくれる」という印象をもってもらい、一日も早く新しい雰囲気に溶け込まれるよう期待しています。

 

年長者と日常で接する際の三つのポイント

さて、ご質問の「年上の人」に対するコーチングの留意点ということですが、コーチングそのものに関して言えば、相手が年上であるかどうかは関係ありません。

上田さんはその人をマネージする立場にある(つまり、相手が「年長の部下」である)ということでしょうから、部下の可能性を伸ばし能力を最大限に発揮してもらうという「部下本位」の基本スタンスで、他の部下とまったく同様にコーチングスキルを使えばいいでしょう。

ただし、その人との日常の接し方という点では、留意していただきたい点があります。以下、そのポイントをあげておきます。

 

(1)敬意を忘れない

現在は部下であるとはいえ、人生においても、会社生活においても、先輩です。豊富な経験や知識ももっているでしょう。そうした先輩に対する敬意は、常に根底に置いて接するべきです。

自分は今たまたま上司という立場にあるが、それは会社から与えられた「役割」であって、人間として自分があなたより偉いということではない、自分としてはこの役割を全力で果たしたいと思っている、だからぜひ協力し指導してほしい、という謙虚な役割意識を忘れないことが重要です。この気持ちの有無は自然に相手に伝わります。

 

(2)相談する

年下の上司についた人の多くに共通する心理傾向として、自分の存在価値・存在意義があまり感じられなくなり、そのためにやる気が失せる、といったことがあります。

そこで、上司としては「あなたの存在を頼りにしている」というスタンスに立って、いろいろと相談することが重要です。この組織をうまく運営するために、あるいはこの課題を解決するために、ぜひ知恵を貸していただきたい、という姿勢です。

自身でわかること、判断できることであっても、できるだけ頻繁に相談し、感謝を示し、できるだけその意見を活かす、ということを心がければ、自分の存在がまだこの組織には必要だという感覚がもてて、やる気の向上につながるでしょう。

また、実際に助けられることも多いはずです。先輩だから、うっとうしいから、できるだけ接触を避ける、というスタンスでは、相手との距離はどんどん遠ざかり、相手のやる気はどんどん失せていくでしょう。

 

(3)配慮はするが、遠慮はしない

相手は先輩なのですから、先輩としての立場、心理、面子などにはこまやかに配慮すべきです。しかし、だからといって上司として言うべきことを言わないとか、あいまいでぼかした言い方にするというような遠慮をしてはいけません。遠慮をすると、自身のマネジメントスタイルが崩れ、効果的なマネジメントができなくなります。

配慮はしても遠慮はしない、言うべきことは言い、要求すべきことは要求する、という上司としての毅然たる態度は崩してはいけません。もちろん前提に上記の「敬意」があっての話ですが。

 

【POINT】年長の部下には「敬意・相談・配慮」の三つがポイント

 


 

【Key Word】GROWモデル

コーチングの基本プロセスの一つひとつを示す要素の頭文字を組み合わせて、「GROWモデル」と呼んでいます。

Gは「ゴール」で、まず願望や目標を明らかにします。Rは「リアリティ」、現状や、いま取り組んでいることや、ゴールへの過程を阻害している現実などを正しく認識します。もう一つの「R」は「リソース」で目標達成のために使える資源とは何かです。Oは「オプション」で選択肢(方法論)の創造と選択。Wは「ウィル」でやる気の確認と実行計画の策定です。

この流れを意識しながら質問を投げかけることで、相手が自主的に目標達成に向かうための効果的なコーチングができるといわれています。

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修ベーシックコース

 

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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