課長職にマネジメントの革新を!
RSS

年長で自分の考えに強い自信を持つ部下~コーチングQ&A

年長で自分の考えに強い自信を持つ部下~コーチングQ&A

(2017年5月26日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

私より年上の部下が1名おります。彼はキャリアもあり、自分の考え方にも自信をもっていますが、私の考えとは合わない場合がよくあります。

その部下の考え方を軌道修正し、指示を出すことは想像以上に難しく感じています。

また、明らかに彼の行動が間違っているような場合に厳しく注意することは、先輩のプライドを傷つけることになり、実際に注意したことで気まずくなった経験もあります。

年齢の壁を越えて、「自分の方が先輩だ」という意識を跳ね返し、的確に指示を下してそれに従わせるには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。コーチングを活用する上でアドバイスをお願いします。(野田一郎・営業マネジャー〈仮名〉)

 

*   *   *

 

一般に、年長の部下に対しては次の三つの姿勢が大切だといわれています。

(1)敬意・感謝

たまたま自分が上司という立場になったが、それはあくまで社命による役割であって、自分が相手より偉いわけではない。人生および会社生活の先輩としての敬意と、経験豊富な先輩と一緒に仕事できることの感謝を常に忘れないで接すること

(2)相談

自分にはまだまだ知らないこと、わからないことが多い。このチームの運営に先輩の経験と知識・知恵をぜひ貸してほしい、というスタンスで、たとえ自分でわかっていることでも何かと相談すること。相手が「自分の存在価値」を感じられることが重要

(3)配慮はしても遠慮はしない

年下の上司につく先輩の心情や、その人の置かれた状況には濃やかに配慮するが、遠慮はしない。上司として言うべきは言い、要望・注意すべきはする。それが上司としての「役割」だからであり、「私心」から言うのではない、というところに自信の根拠を置く。遠慮をすると、自分本来のマネジメント・スタイルが崩れる

 

上司の側から働きかける

以上の三原則はぜひ心がけていただきたいのですが、現実には“言うは易く行なうは難し”でしょう。そこでこの三つの姿勢を貫くためにも、二人の関係を一度きちんと構築しなおすことが必要かもしれません。

関係の良くない人とのコミュニケーションは、質・量ともに少ないものです。簡単に言えば、苦手な人、嫌いな人、ウマが合わない人とは、あまり話をしないということです。

その結果、二人の距離はますます遠ざかっていきます。これを改善するには、コミュニケーションの量を増やし、質を充実させるしかありません。それは(年上・年下に関係なく)部下のほうからではなく、上司のほうから働きかけなければならないことです。

 

相手の「もやもや感」をどうするか

ということで、その方が野田さんの部下となったのはいつからか書いてありませんが、とにかく一度、このチームの運営についてご相談したい、という上記(2)の相談のスタンスでゆっくり話せる場を設定してみてください。一杯飲みながらでも結構です。

名目は相談ですが、主たる目的は相手の話を「聴く」ことです。心ならずも年下の上司の下で仕事をすることになった彼としては、心中穏やかならぬものがあるはずで、会社の評価や処遇に対しても不平や不満を内蔵させている可能性が高いでしょう。

そういうもやもやしたものをコーチングでは「未完了感」と言いますが、この未完了感を抱えたままでは新しい状況を受け入れ積極的な姿勢に転化することが非常に難しいのです。未完了感を「完了」させてしまう必要があります。それにはまず、もやもやを全部吐き出してもらうことです。野田さんが上記(1)の敬意と感謝をもって、共感を示しつつ、相手の話を聴いていくうちに、相手は気分がすっきりし、「こいつはなかなか話せるやつだ」というような印象をもつようになるでしょう。この関係をベースに、常に先の(1)(2)(3)を意識して接するようにすれば、かなり変わってくるはずだと思います。

 

「人情」をわきまえて行動する

繰り返しになりますが、年下の部下から指示命令されることを快く思えないのは当然の「人情」でしょう。そのことをよくわきまえ、自分個人としては相手を尊敬し感謝している、しかし立場上、時として指示命令せざるを得ないのだというスタンスを崩さないことです。

野田さんがそういう立場にあることは相手もちゃんとわかっているはずですから、基本的にいい関係を構築できれば、その方も割り切って(指示命令を)聞いてくれるようになるのではないかと思います。もちろん、現実にはなかなかスムーズに行かない面もあるでしょうが、三原則を忘れず、誠意をもって接し続けていただきたいと思います。ご健闘を祈ります。

 

【POINT】相手の「もやもや感」を解消する一番の特効薬は敬意と感謝と共感の姿勢で話を「聴く」ことである

 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修ベーシックコース

 

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ