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やる気が持続しません~コーチングQ&A

やる気が持続しません~コーチングQ&A

(2015年12月11日更新)

 
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研修後2~3週間ぐらいは、みんなのモデルになるよう、明るく前向きな姿勢を示し、相手に質問をして考えさせるといったことを心がけていましたが、最近ではすっかりその気持ちを忘れていました。
コーチングに限らず、研修受講後はいつも「やろう!」と思っていろいろ行動したり考えたりするのですが、なかなか続かないことに悩んでおります。性格的な問題でしょうか。
コーチングに関しては、相手ができると信じて任せたのに結果が出ない場合、相手にその能力が足りないと見るべきなのか、それとも別に理由があると考えるべきなのか? また、コーチングからティーチングにいつ切り替えるか、そのタイミング判断が難しいと感じています。
(宮田一郎・商社営業マネジャー〈仮名〉)
 
*   *   *
 
 

研修ではやる気になるのだが……

宮田さんが前半に書いておられること(その場ではやる気になり、しばらくは持続するが、やがて元の木阿弥に……)は、およそ研修とかセミナーと呼ばれるもののほとんどすべてに共通する問題点であろうと思います。
これはわれわれ研修・教育事業に携わる者にとってきわめて重要な課題であり、いろいろな工夫もしておりますが、決定的な解決策は残念ながらまだ見出せていません。そこで、せめて受講された方々に次のことを訴え、意識の変化を持続させていただくお願いをしています。
会社が費用を出して社員に新しいスキルや知識を学ぶ機会を提供するのは、それによって各自の能力が向上し、結果的により大きな成果が上がることを期待してのことであるのは明らかです。ですから、学ぶ側としては、「会社のために」学ぶ、はっきり言えば「学ばされる」という意識から抜けきれないのはやむを得ません。
そしてこの意識が残っている限り、研修の成果を実践し続けようという意欲が薄れがちになるのは当然といえるでしょう。しかし、次のように考えてはもらえないでしょうか。
 

「やらされている」ではなく自主的に取り組む

かつてない高度な競争社会になり、年功序列・終身雇用などが崩壊した現在、企業は真に高い付加価値を生み出せる力をもった社員しか必要としない時代になってきました。そうなると個人としては、自らのサバイバルのために、「その企業において絶対必要とされる能力」を身につけておくことが必要になります。
それでもなお、企業の中で生き続けられるという保証はありませんし、企業自体が生き残れる保証もありません。そうなると、「その企業において必要な能力」だけでなく、「どこでも通用する能力」を身につけることが望まれます。
つまり、新しいスキルを身につけ、磨き、能力を高めることは、会社のためだけではなく、その人自身のためなのだと考えるべきではないでしょうか。
それは本来、自らの意志で、自らの費用と時間を投資して身につけるべきものですが、その一部を会社が支援してくれていると考えれば、この学習機会を自分のために最大限に活かしたいという思いになるはずです。研修はいずれにしても入り口にすぎず、そこから本当の学習が始まるのですから、研修で学んだことを職場で実践し、スキルを磨き続けることは、各自の責任であり、各自の自覚によってその取り組みは変わってくると言えるでしょう。
やらされていると思えばどうしても持続の意志は弱くなりますが、自分のために自主的にやると思えば、それは強くなるでしょう。そういう思いをベースにして、取り組み続けていただきたい、というのがわれわれの願いであるのです。
 

「深く考える」ことで「深い答え」を見つける

さて、後半のご質問に対するアドバイスに移りましょう。相手ができると信じて行動してもらった、しかし期待する成果が出ない、ということは、当然あり得ます。というより、そういうケースのほうが多いのではないでしょうか。
特に新しいこと、初めてのことにチャレンジするようなケースでは、その傾向が強いと思います。これは、その人の能力が足りないからだ、とは、コーチングでは考えません。能力以外の何か、手段や方法や手順、時間や資金や情報や人数など、何かが不足していた、あるいは不十分であったからであり、事前にそこまで考えて手を打っていなかったからだと考えるのです。
そこで、なぜうまくいかなかったのかを徹底的に究明し、その原因と対応策を見出すために、適切な質問を駆使して、対話を深めていきます。ここがコーチングの真骨頂です。これは決して詰問や責任追及ではなく、純粋に「原因」という事柄を追究する質問です。
そしてその答えは必ず相手の中にあるのですが、最初からベストの答えが発見できるとは限りません。浅い考えからは浅い答えしか生まれません。失敗したら、その失敗に関して徹底的に深く考え、深い答えを見出すようコーチしていく。これによって失敗は「単なる失敗」から「フィードバック」に変わり、成功への土台となりうるのです。
 

失敗から徹底的に学ぶ

一度も失敗せずうまくいったというケースは、事前に見出した答えが完璧であったというよりも、他のラッキーな要素によってたまたまうまくいったにすぎないことが多いのです。そして、うまくいったことによってそれ以上考えようとしないため、浅い成功で終わってしまう可能性が大きくなります。
一方、失敗は、そこから徹底的に学び直すことによって、より大きな成功を掴み取るための必要なステップとなりうるのです。
そううまくいくか、という疑問は当然起こるでしょう。それに対しては、そう信ずるのがコーチングであるとしかお答えできません。相手にはそのために必要な能力や可能性は必ずある、と信じることから、コーチングは始まるのです。このことを、改めて強調しておきたいと思います。
 

コーチングとティーチングの切り替えについて

なお、コーチングからティーチングに切り替えるタイミングということですが、これは一概には言えません。相手がどこまで考えつくしたか、残された時間がどれだけあるか、といった条件によってさまざまですが、もうコーチングでは無理だと思ったら、コーチングスキルはあっさり手放してティーチングに切り替えて構いません。
上司はコーチすることが仕事ではありませんから、コーチングスキルにしがみついたり、縛られたりするのは、本末転倒です。ただし、ティーチングモードに切り替えてからも、相手には無限の可能性があり、答えを持っていることを信ずる、というコーチングマインドだけは、根底に置いておいていただきたいと思います。
 
 
【POINT】
新しいスキルを身につけ、磨いていくことは、会社のためではなく「自分自身」のためと心得よう
 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。

営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。

現在、(株)PHP研究所客員。

 


 

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