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マクレガーのX理論・Y理論とコーチング研修

マクレガーのX理論・Y理論とコーチング研修

(2015年11月21日更新)

 
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コーチングなどのスキル研修で効果が出ない要因はどこにあるのでしょうか? マクレガーのX理論・Y理論を参考に、事例から考えます。
 
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スキル研修は役に立たない?

ほとんどの研修は、「スキルを教えること」が目的になっている。仕事にはスキルが必要であるが、まず何よりも大切なことは「考え方」である。京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の成功の方程式は、その本質を突いている。
 
人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力
 
能力とは、才能や知能といった「知能・運動神経や健康など先天的な資質」であり、熱意とは、情熱や努力する心といった「後天的な努力」である。考え方とは、哲学や思想、倫理観といった生きる姿勢、それらをすべて包含した「人格」を言う。
稲盛氏によると、最も大切なものが「考え方」である。「能力」と「熱意」は0点から100点までの点数があるのに対し、「考え方」はマイナス100点からプラス100点まで存在する。どのような研修であっても、「取り組む姿勢」「物事の本質」を間違えると、正しいスキルをいくら学んでもうまくいかないことを物語っている。
 

【事例】コーチング研修の効果が出ない

「コーチング」は、上司にとって必須のスキルである。一時、コーチング研修が大流行した。研修後のアンケートでは「大変満足」という評価であったにもかかわらず、教育担当者からは、「コーチング研修をやっても全然効果が出ない」という愚痴をよく聞いた。受講者からは「いろいろ試してやってみたが、まったくうまくいかない」という不満もあった。
果たして、コーチング研修は効果があったのか、なかったのか……。本質的な問題は、部下に対する姿勢が否定的なまま、部下との信頼関係がないままにコーチングスキルを学んでいることにある。つまり、上司がコーチングを学んでもうまくいかなかったのは、研修内容が悪かったわけではない。ましてや、上司に実行力が足りなかったわけでもない。部下に対する上司の本質的な考え方・見方が変わらないまま、スキルのみを実践していることが間違いだったのだ。
 
 

研修効果を出すための対策

「人間は皆、善に向かう素質をもっている」という「性善説」を唱えた孟子の教えから、私たちは学ばなければならない。
1950年代後半に、アメリカの心理学者、ダグラス・マグレガーが、『企業の人間的側面』という著書で「X理論」と「Y理論」という人間観で発表している。X理論は、「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されたりしなければ仕事をしない」。Y理論は、「生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」。これら2つの異なる人間観を示し、マネジメントスタイルを提唱したのだが、マグレガーの結論は、「Y理論」を中心とした人間観で企業経営をしなければならないということだ。理解と信頼による管理が、高い業績を生む秘訣だと教えている。
上司が正しい「人間観」を持たない限り、コーチングスキルは活きてこない。部下の欠点にばかりに目を向ける部下指導や教育では、逆に部下はやる気を失う。人間の本性を「善」と捉える人間観があってこそコーチングが機能する。上司の部下に対する意識改革を促すことなく、コーチングのスキルだけを実践している上司に問題があったと言える。
 
 
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき) 
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月、(株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子(まつした・なおこ) 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

 


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