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リーダーは感性を鍛えなければならない

2015年8月 6日更新

リーダーは感性を鍛えなければならない

「知りませんでした」「気づきませんでした」――このセリフで言い逃れをするリーダーには、社員や世間の批判が集まっています。リーダーには「気づく力」が求められます。物事を意識してみないと「気づき」は得られないものです。感性のアンテナを意識して立てる方法を、『実践 社員教育推進マニュアル』に学びます。

変化に気づく能力

リーダーに必要なスキルとは、「責任感」「問題解決能力」「コミュニケーション能力」「マネジメント力」「指導力」の5つだが、この中で「問題解決能力」「コミュニケーション能力」「指導力」につながるのが「気づく力」=「観察力」である。
今までは個人の責任範囲のみで仕事をしていたものが、部署や部下まで視野を広げなければならなくなる。「知りませんでした」「気づきませんでした」が通用するほど、管理者の責任は甘くない。実際、多くの官公庁や企業で不祥事が発覚し、このセリフで言い逃れをする責任者にはマスコミの批判が集まっている。
感性のアンテナは、意識すれば立てることができる。好意を寄せている人の表情や服装が気になるように、自分のチームや部下に最大限の「関心」を持つよう指導したい。

虫の視点・鳥の視点

●「虫の視点」物事を現状に即して見る視点の据え方。観察や体験を積み重ねて深い洞察を得る、専門的な仕事に必要な視点。

●「鳥の視点」
物事を全体的に俯瞰して見る視点の据え方。変化や問題を発見しやすく、論理的に判断できる。リーダーや経営者に必要な視点。

技術系の社員や専門職は「虫の視点」であることが多いが、会社の利益や時代の流れといった大局には目が向きにくい。管理者は「虫の視点」を尊重しつつも、「鳥の視点」で担当部署や会社全体・業界全体を眺めて「変化」に気づかなければならない。

複眼視点で物事をとらえる

大人になると「子どもだった自分」を忘れるように、管理者になると「一社員だった自分」を忘れてしまう。上級管理者になればなるほど、過去を忘れて「今年の新人はまったく使えない」などと言う。人は生きているうちに、何度か新しい視点を手に入れる。「子どもの視点」からスタートし、生徒になり、新入社員になり、先輩社員になり、管理者になり、プライベートでは「夫あるいは妻の視点」「親の視点」を持つ人もいるだろう。視点が増えていく際に、「過去の視点」を失わないことが重要となる。別の言葉で言えば「初心忘るべからず」である。
それに加えて、管理者は自分が持ったことのない視点を増やすように努めるべきであろう。管理者になるということは、経営者側に立つということである。「経営者の視点」で自分の部署を眺めたときに、期待される成果はなんだろうか。
また、「自分と環境が異なる部下の視点」も必要になる。異性の部下の視点、子どもが生まれたばかりの部下の視点、パートやアルバイトの視点である。
「相手の立場に立って物事を考える」ことは、共感能力を高めることになる。相手の立場に立つには、精神的な「立ち止まる余裕」がないと難しい。

管理者が持ちたい視点

1)部下の視点
体調、通勤の労力、家事育児負担、経済状況、仕事以外の趣味や社会活動、転職歴、人生における仕事の優先順位、興味関心など

2)上司の視点
目標意識、仕事量、部下への期待値、仕事の優先順位、過去の実績、過去のポジション、過去のミス、今後のキャリアプランなど

3)経営者の視点
目標に対する執着、会社への愛着、創業からの経緯、売上、利益、コスト意識、企業経営における理想、競合他社との比較、業界におけるポジションなど

管理者として特に意識したい視点はこの3つだが、これ以外にも業務内容によって「開発者」「卸先」「他の部署」「顧客」「取引先」などの視点が求められる。

鈍さは罪。鋭さは諸刃の剣

管理者の感性が低いと、部署内にいる「アンテナが高い」部下の苛立ちを溜めやすい。身近な例で言えば、家庭内のことに疎い父親が、主婦である母親に「家のことは何も知らない」と怒られるようなものである。サービス業ならば、「鈍い」スタッフはお客様の信頼を損ねる。店員を呼んでいるのに気がつかない、床にゴミが落ちていても見えない、来店回数が減っているのに気がつかない。小さな鈍感さが積み重なると、会社にとって取り返しのつかないクレームや不祥事に発展することがある。
管理者は、部署内の変化に最も敏感でなければならない。職場でのメンタルヘルスが盛んに言われるようになった昨今、部下の体調や心理を表情や受け答えから読み取るのも上司の役目である。部下の気持ちを無視する傲慢な上司は明らかに「悪い上司」だが、「気づかない」上司も同等に「悪い上司」なのだ。
「鈍さは罪」であることを、管理者として企業人として胸に刻みたい。

一方、ひたすら「鋭敏であること」が大事とも言えない。気づいたことを次々と指摘し、部下を追い詰めてしまう可能性があるからである。気づいていても「出しどころ」を考える余裕を持つことが重要である。

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

松下直子 (まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』」(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』」『部下育成にもっと自信がつく本』」(ともに同文舘出版)ほか。

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