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リーダーの感情コントロールとメンタルヘルス

リーダーの感情コントロールとメンタルヘルス

(2015年8月24日更新)

 
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リーダーは自らの感情をコントロールし、健康で明るい組織をつくるために、メンタルヘルスに気を配る必要があります。『実践 社員教育推進マニュアル』からご紹介します。

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負の感情をコントロールする

人はいくつかの顔を使い分けて生きている。親として、妻や夫として、地域社会の人間として、会社員として。意識しなくても、自然とスイッチを切り替えているが、いくつかの顔の中でも特に「リーダーの顔」を続けるには、演技力が必要となる。

企業や官公庁の謝罪会見を見ていると、よく分かるだろう。記者の執拗な追及に、つい仮面が外れて失言をしてしまったり、表情に出てしまったりするリーダーは多い。

目標を達成して嬉しい、部下の成長に感動するといった「正(プラス)の感情」は、全開にして構わない。むしろ大げさなぐらいのほうが、周りの人を巻き込んでいい空気をつくるだろう。しかし、怒りや苛立ちといった「負(マイナス)の感情」は、コントロールしなければならない。「負の感情を出すな」という意味ではなく、「感情のまま放出せず、必要な場面では効果的に使う」ようなコントロールがリーダーには求められるのだ。

 

【事例】「負の感情」でチームを盛り上げる

プロ野球チームの外国人監督が判定に抗議して、納得が行かず怒りを表して1塁ベースを投げたことがある。無論、退場処分になってしまったが、監督の怒りは選手達の結束を固め、勝利を呼び寄せた。数日後には選手・スタッフが前面には「DANGER!(危険)」、背面には「MY MANAGER THROWS BASES(うちの監督はベースを投げるぞ)」とプリントされたTシャツを着用し、監督への親愛を示した。この後もこの監督は数回の退場処分を受けるが、その試合はすべてこのチームが勝利。「彼が抗議するのは選手を守るためで、彼が退場になると選手が盛り上がるんだ」と、コーチの1人は言う。

 

これは、負の感情をチームの中に向けるのではなく、チームを守るために使うという事例である。企業活動に置き換えると、「顧客のために値上げや偽装に怒ってくれる企業」や「部下のために外敵と戦う上司」は魅力的に見える。

部下への苛立ちの原因を分析し、本当に怒るべき相手は誰なのかを考えることも、感情コントロールに役立つ。よく考えてみれば「怒るべき相手は自分だった」ということもあるのである。

 

 

管理者の健康管理とメンタルヘルス

怒りや苛立ちの原因を追求すると、実は自分の睡眠不足や体調不良が原因であることがある。慣れない責務を果たそうと無理をして、健康を省みなくなる初級管理者は多い。近年、「メンタルヘルス(心の健康)」という言葉がよく聴かれる。財団法人社会経済生産性本部の調査によると、半数以上の企業で、最近3年間の「心の病」は増加傾向にあり、年齢別に見ると約6割の企業が「30代に多い」と答えている。若手リーダーの年代に当たるのでセルフチェックと上司による目配りを促したい。

ある営業部の管理者は「自分が倒れたら部署が回らない」と無理に無理を重ね、倒れてしまった。仕事を気に病みながら入院したが、スムーズに業務が回ってしまい、空虚な思いに駆られたという。部下を育てる意味からも、自分の健康を守る意味からも、「適切に休む」ことは不可欠であり、リーダーの義務ととらえてほしい。

リーダーの「覇気・元気・やる気」は、表情の明るさや機敏な動作、大きな声になって現れる。逆に、疲労をにじませた表情でいれば、部署内の空気が澱む。部下から見えるところで、イライラしながら仕事をすれば、部下の仕事の生産性にも影響する。部署を明るく照らし、活発な空気をつくるために、管理者はリーダーとして心身の健康管理をしておくことが求められる。

 

 

仕事を楽しみ、責任を果たす

「心の健康」のためには、仕事での悩みを引きずらないよう心がけることである。言葉では簡単だが、思い悩む性質や責任感が強い人には難しい。「リーダーの顔」は必要だが、本当に弱っているときに無理に演技をし続けることは、体調や精神状態を悪化させる。

防止策としては「弱いリーダー」として、悩みを打ち明ける場や相手を持ち、悩みを共有すること。そして仕事や逆境を「楽しむ」発想を身につけることである。

 

【「仕事の楽しさ」を生む要素】

・やり遂げたという達成感 →「やるべきこと」からの解放感

・仲間と協力した楽しさ → 共通の記憶(思い出)の保有

・スキルが上がったという手ごたえ → 新たなハードルへの意欲

・誰かを喜ばせた幸福感 → 自分の存在価値への自信

 

この他、単純に報酬や昇進といった物理的なものがある。困難があればあるほど、乗り越えたときの達成感は大きい。ただ、達成感だけでは、私たちはハードルを乗り越えられない。

「責任」が存在しているからこそ、辛くてもやり抜く。その先に、喜びがあるのである。そう考えれば、仕事上の困難のほとんどは「喜びの種」ととらえることができるだろう。

 

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

 


 

【著者プロフィール】

茅切伸明  (かやきり・のぶあき)

慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。

平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。

平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。

著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

 

松下直子 (まつした・なおこ)

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。

神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。

「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。

著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』」(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』」『部下育成にもっと自信がつく本』」(ともに同文舘出版)ほか。

 


 

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