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部長の役割と責任――「大課長」になっていませんか?

部長の役割と責任――「大課長」になっていませんか?

(2016年6月21日更新)

 
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部長の仕事を課長の延長線上の仕事ととらえ、「大課長」になってしまっているケースが多く見られます。部長が本来、組織の中で果たすべき役割と責任を考えてみましょう。

 

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部長=「大課長」ではない

一般的に管理職研修は実施されますが、部長研修を実施している企業はごく稀です。課長と部長をひとくくりに管理職として研修を実施するケースがほとんどです。

しかし、実は、課長と部長の役割と責任は全く違います。研修を企画する人材開発担当者・責任者や経営者は、「部長以上はサラリーマンの出世コースに乗った人」だと認識しているため、「今さら研修を受けさせるのも……」と思うようです。また人材開発担当者にとって、多くの部長は、上司や先輩にあたり、研修を企画しにくいようです。

そのために、部長の仕事は課長の上のポスト、課長の役割と責任の延長線上の仕事ととらえているケースが多く見られます。肩書だけは「部長」に変わったものの、実際には「大課長」の役割しか果たしていないということです。部長が「大課長」になってしまっているケースで大きな問題となるのが、部門のかじ取りをする人、つまり部門のビジョンや戦略を考える人がいなくなるということです。

 

部長は部門経営者である

課長という役職は、数人から10人程度のチームを管理することが仕事です。部長の指示のもとにチームの目標達成とチームワークの醸成、業務と部下の管理をします。課長時代は、上司として部長が存在し、部長の指示を仰ぎながら仕事を進め、最終的に部長が責任を取るというポジションでした。

しかし、課長とは違い部長は、部門の最終的な意思決定者であり責任者となります。つまり、「部門の経営者」です。多くの意思決定は自ら判断しなければなりません。またその意思決定は組織に大きな影響をもたらします。

つまり、部長には、部門経営者として、人・モノ・金の経営資源をうまく使い、「今日の飯」、「明日の飯」でなく「将来の飯」を創り出すことが求められています。それぞれ具体的に説明していきます。

 

(1)人・モノ・金の経営資源をうまく使うこと

部長は部門の経営者として、人・モノ・金の経営資源をどう使うかという権限と責任を与えられています。課長のときには多くの場合、プレイヤーとして担当業務を抱えるプレイングマネジャーであったでしょう。しかし、部長の役割は、経営者の方針と戦略に基づいて経営資源を使うことで、部下を活かして業績を創り出し、組織や部下を成長させることです。もはやプレイヤーではありません。直接的に組織を引っ張っていくのではなく、業務がうまく回る仕組みをつくり、部下にイキイキ働いてもらう環境をつくることで、間接的に組織を動かしていくことが求められます。

 

(2)「今日の飯」、「明日の飯」でなく「将来の飯」を創り出すこと

私は、会社の業務は「今日の飯」「明日の飯」「将来の飯」で成り立っていると説明しています。つまり、経営者の理念や方針を理解した上で、戦略を考えて組織を編成し、業務体系を設計することが部長の仕事です。いつまでたっても現場を飛び回って戦術レベルの仕事をしていたのでは、課長の域を越えていないということでしょう。

ここで「今日の飯」「明日の飯」「将来の飯」を簡単に説明しておきます。

「今日の飯」:直近1カ月の短期の目標達成や業務の進捗管理、部下支援

「明日の飯」:直近3カ月〜1年などの中期の目標達成や業務改善や業務プロセスの設計、部下育成

「将来の飯」:1年から3年先の長期の戦略の立案や業務体系の構想、組織開発と能力開発

今までは課長として、「今日の飯」「明日の飯」を創る仕事をしていましたが、部長に就任したからには、「将来の飯」を創り出すことに着手しなければなりません。組織が継続して成長していくために、戦略を立案し、事業を方向づけ、将来に向けた課題を設定していくことが求められます。

 

部長は部下が働きやすい環境をつくる

部長が組織を運営する上で、一番大切なことは何でしょうか? 私は、「部下のモチベーション管理」と「チーム・ビルディング」と考えています。

課長研修、係長研修で部長に対しての不満が出ることがあります。一番は「部長は自分たちや現場を理解してくれていない」「経営者や役員の顔色ばかりうかがっている」「自分の仕事に追われている」「経営者の指示命令を伝えるだけで、何も考えていない」など。

つまり、「課長レベルの仕事で満足している」「部長の役割を理解していない」ということです。現場で率先垂範して働くことに慣れている課長時代と同じ働き方をしていることが大問題です。そうではなく、部下を支えて盛りたてるのが部長の役割です。

 

そのために、私は部長に「部下が働きやすい環境をつくり、部下をヒーローにしてあげてください」とお伝えしています。「おだてる」ということではありません。「部下一人ひとりを理解し、期待して、彼らの行動と成果を公平に評価してあげること」です。そして、「ダメならきちんとフィードバックしてあげること」です。そうすることにより、部下との信頼関係を強固なものにしていくことができます。

 

課長と部長のちがいこのように課長と部長では求められる役割が大きく変わります。部長は、組織の将来を左右すると言っても過言ではありません。組織を成長させていくためには、部長就任時にしっかりと部長の役割と責任を研修で学んでもらう必要があります。

 

 

部長研修

 

【著者プロフィール】

茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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