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部下の幸せを実現するのが部長の役割

部下の幸せを実現するのが部長の役割

(2016年11月25日更新)

 
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仕事を通じて部下の幸せを実現するのは、部長の役割です。1日8時間働くとすると、1日の3分の1は仕事をする時間。この時間が充実していれば、人生もおのずと充実したものとなります。

 

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多くの会社で研修をしていますと、いい会社は社員の満足を重視していることが分かります。会社の売上や利益は、もちろん追求しなければならないのですが、いつの時代も、成長し続ける会社は社員を大切にしています。

その社員の満足や幸せに、最も影響を与える人は誰でしょうか? 誰しも経営者・経営幹部・部長など、上司と答えるでしょう。

今回は、今の社員は何を幸せに感じるのか、そして部長は部下の幸せを実現するために何をすべきなのかをお話します。

 

幸せは育った環境や背景、価値観によって違う

まず、理解しておかなければならないのが、人の幸せが大きく変化しているということです。

現在40歳以上の人は、20世紀、「物の時代」に育ってきました。ですので、物を所有することや成功に幸せを感じる人が多くいます。一方、30歳未満の平成生まれの人は、「心の時代」に育ったため、絆や自分らしさ、成長に幸せを感じることが多いと言われています。

つまり、幸せの定義が「モノ」から「コト」へと変化しているのです。

あなたは上司として、部下は何に幸せを感じて、何をしたいのかを考えたことがありますか? 昭和世代と平成世代では、価値観が大きく違うと実感したことはありませんか? 世代間にみられる価値観の変化には、そもそも気づいていない、価値観が共有できないのは部下の問題と感じている上司も多いものです。

 

21世紀は価値観の多様化の時代といわれ、同じ世代でも人によって幸せの定義が大きく異なります。職場でも、部下一人ひとりに、「やりがいを感じることは何か。何をしたいのか」を聴いてあげて、その実現をサポートしてあげることが大切です。

ただ、20歳代では、自分でも「何が幸せか、何をしたいのか」をわかっていないことも多いのです。そんな部下には、まず目の前のことに専念することを勧めてあげてください。仕事は慣れないうちや成果が出ない時は楽しくないものです。しかし、ある時点からコツをつかみ、仕事の成果が出始めます。成果を継続して出し始めると、上司やお客様からほめられます。そうすることで喜びややりがい、自己重要感を感じます。一つの仕事で3年くらい経つと、自分のスタイルを築き、自分の進むべき道が見えてきます。

やはり、人は楽しいこと、我を忘れて一生懸命になること、人よりも優れていること、人からほめられることに幸せを感じるものです。

 

仕事時間は人生の中で一番長い

1日8時間働くとすると、1日の3分の1は仕事をする時間です。仕事が充実していなければ、人生が最も充実している20代から60代の40年間が充実していないことになります。逆に考えれば、仕事が充実すれば、人生で一番充実した時間を生きる40年間が充実するのです。

仕事が充実すれば、給料が増えていき、お金に余裕ができるので、プライベートでやりたいことができます。そうすることで、仕事以外の自由な時間も充実してくるので、人生に幸せを感じます。つまり、仕事を充実することで、幸せになっていく善循環になります。

しかし、多くの社員はこのことに気づいていません。目の前の損得や好き嫌いを考えて、すぐに諦めて努力をしない部下が多いという声を、現場の管理職や経営者からよく聞きます。

 

上司や周り、部下のおかげで成長してきた

部長は、厳しい競争を勝ち抜いてきた世代です。理不尽なことに耐えて、人よりも努力してきたからこそ部長になれたのです。その部長の世代から今の20代の部下を見ると、ふがいなく思えるのは当然です。

もう一度考えてみてください。部長まで登りつめたのは本人の努力もありますが、上司の指導や支援、周りや部下が頑張ってくれたおかげでもあります。上司にしてもらったことを今度は自分の部下に返すことが大切です。そして周りや部下の努力に感謝する心も必要です。

その気持ちがないまま、部下の足りないところに目を向けて指示命令ばかりすると、部下指導は失敗します。まずは感謝の心を持って、上司だけではなく部下に恩返しをすることが大切です。

また、新人時代には、自分の努力だけではなく周りの支援があるからこそ仕事ができることに気づかせるのも部長の仕事です。

その上で、部長は部下に自己実現(自分の目的、理想の実現に向けて努力し、成し遂げること)してもらうために、生理的欲求、安全への欲求、社会的欲求、自尊欲求を満たすように環境を整えてあげることが求められます。(アブラハム・マズロー「欲求段階説」)

 

仕事を通じて成長、自己実現

仕事を通じて幸せをどのように実現していけばいいのでしょうか。研修ではよく、人生の幸せ曲線ともいえるライフラインを書いてもらうワークをします。そこでは、「人は皆、幸せな時があるのは、不幸を乗り越えてきた過去があるからで、その経験が成長のために必要だった」と気づきます。(ライフラインとは、幸福感の度合いを縦軸に、年齢を横軸に設定し、1本の曲線でグラフを描く自己分析の手法)

もうひとつ気づくことは、人は誰しも「ライフラインが下がった時に、不幸だと感じる」ということです。そのため、私は、短期的に上がり下がりはあっても、長期的に「収入・責任・貢献などが右肩上がりに上がっていくこと」が幸せな人生だと考えています。決して「プチ成功」で満足することなく、楽をして成功しようとか、自分だけ幸せになろうとか考えてはいけません。

そのためには、企業も部長自身も部下も成長し続けなければなりません。成長をしていくと、自己実現の領域に入り、さらに幸せになるでしょう。

 

部下を育て、部下が幸せになることで自分も幸せに

部下を幸せにすることができると、マネジメント・スキルもどんどん身に付いていきます。そして、ある段階になると、部下育成に手間がかからず、自立的に成長していく部下になります。それができると部長は役員に昇格することができます。

つまり、「部下を幸せにすることで、自分も幸せになる」のです。そのためにまずは、部下に関心を持って部下の話に耳を傾け、部下一人ひとりの価値観をつかむことから始めるといいでしょう。

 

 

 

部長研修

 

【著者プロフィール】

茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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